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慧充傳  作者: 大友うさぎ
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妃と皇后

孫皇后の前任である元肅皇后が亡くなった時、皇子がいるという理由で立后が議論された。しかし、皇子がいることだくで士族の娘を皇后にはできないとして「芳妃」に冊封したのである。一度は皇后になりかけた芳妃はその地位に就いている孫皇后を妬んだ。嫉妬は凄まじいもので嫌がらせや嫌みは日常茶飯だった。そのたびに孫皇后は極度に反応した。それが芳妃の気晴らしだった。

「それでは、秦王殿下は皇后さまにご挨拶できますね。嫡母に挨拶するのも母に対しての挨拶にあたります。長子なれば、尚更でしょう」

林惠が口を挟んだ。芳妃は彼女の言葉に口を開いて目をぱちぱちしている。

「さあ、秦王殿下、ご挨拶を」

林惠に促されて秦王は皇后に顔を真っ赤にして挨拶をした。

「母后、ご機嫌麗しく。叔母さま、ご機嫌麗しく」

秦王の挨拶を聞いた皇后は微笑んだ。そして手招きをして隣に座らせて菓子を手渡した。

「母后、食べられません」

「秦王、どういうこと?」

「母妃が気安くものを食べてはいけないと」

気まずくなった芳妃は秦王の手を引っ張って亭を後にした。長公主としては大きな気晴らしになったが、皇后には後味が悪い。

「お義姉さまは誰に対しても優しすぎるわ」

「私には子どものいないから……」

「陛下も陛下よ!こんな優しいお義姉さまをほったらかしにして女官に入れあげるなんて」

長公主が言っている「女官」とは尚功局所属の董舜英(とう・しゅんえい)のことだ。噂によれば、皇后が輿入れした夜も陛下は彼女のもとを訪れたらしい。そこに沈尚宮(しん・しょうきゅう)がいそいそと現れた。


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