父親、現る!?
やばい、考えが纏まらない。
一回、造り直そっかな?設定とか全部まとめて...
人物も作り直せれば完璧かもな...
ここ最近、やたらと情念の悪感情が自分に向けられている。
何か恨みでもあるのかと視線の方向を向いては見るが一瞬で視線を外される。
何故だろうか?
最近変わったことと言えばゲームをし始めたことだろうか、それで睨まれるのか、理不尽すぎるな。
「俊光様、俊光様?」
と最近の取り巻く環境の変化に疑問を抱きながら少々ぼうっとしていた俊光は、リーナの声で意識をはっきりとさせた。いつの間にやら街道を抜けて、田舎道に入っていた。
「なんだ?」
素っ気ない俊光に香織とリーナは別段に気にしている様子はない、ここ数日過ごして、俊光のこの反応は不機嫌なのではないと分かっているからだ。
リーナが何か言おうとする前に意外にも香織が先んじた。
「ぼうっとしてた、危ない。」
「心配してくれたのか、気を遣わせたな。」
心配そうな顔を浮かばせている香織に俊光は意味のないことに気を散らかせすぎたなと深く考えるのを止めた。どうやら、香織もいきなり黙り込んでいた俊光を心配していたようだ。
次こそはと、リーナも俊光に何か言おうとこちらに顔を向けるが、足元をおろそかにしたせいで躓いてしまった。なんというか間が悪い。
「ホントですよ。気をつけてもらわないと、こちらが困ってしまいます。」
リーナは躓いたことで決まりの悪さに顔を赤らめさせながら俊光に注意をし、そんな顔を見られるのが恥ずかしかったのか少し足早に歩く、リーナの後姿を見ながら俊光は心配してくれているんだなと温かみ感じ、考え事を他人に言うのもいいかと思い率直に言った。
「すまないな、この前からいやに邪な情念の視線が周りからきているものでどうしてだろうかと考えていたんだ。」
リーナと香織は、それを聞いてきょとんした表情になった。
「情念って......というより、それは......もしかして、気づいてないんですか?」
俊光に嫉妬の感情つまりは、女性に正しくは美少女に囲まれている俊光を羨み妬んでいる男たちがこちらに視線を寄越しているのは目に見えていてリーナや香織にしても気付いていたが、そのような羨み妬みの感情には中学や小学の時に慣れているので有象無象と無視していた。
なので、俊光が明確なこの状況に気付いていないことに驚きリーナは再度尋ねてしまった。
分かりやすく言えば、俊光も小学生の時にはモテたはずだと踏んでのこと。
「何を?」
「嫉妬。」
簡潔に言う香織の言葉に俊光は理解が出来ない。森の生活をして二、三年間嫉妬という感情は森の生活ではほとんどないに等しい、人と接することもないのだ仕方なかろう。
「香織、嫉妬と言うのはうらやむ気持ちからくるもの、私には合わない。」
知識はあるにはあるようだが、どれが人から嫉妬をかわれることになるかなどは全然わかっていない。
否、獣たちに慣れすぎた俊光にとって人の好意というものが容姿などで決まるというのにいまいち常識として考えられないからだ。顔を隠せば、印象が薄くなると考える俊光の独特の感覚といえよう。
「俊光様、分かってない。」
「俊光様、執事を目指しているのでしたらその辺の機微も分からないとだめですよ。」
二人から呆れ混じりの冷たい目線にさしもの俊光も沈黙と言う、古人の教訓に行動を移した。
俊光の家の山周辺でカラスたちがアホ―アホ―と鳴いている。
家に着くと甚平を着た20代ぐらいの男が玄関に立っていた。
リーナと香織は訝しむようにその男を見ると、こちらに気付いたのかへらへらとした顔つきでこちらに手を振ってきた。
男は俊光たちに近づき俊光たちを何度も見てにやりとした表情で口一番に、
「トシ、お前ハーレムでも作るつもりか?」
と茶化してきた、どうやら俊光の関係者だそうだ。
男の容姿は目つきは悪く、茶髪で髪にウェーブをかけており全体的にチャラ男の風体だが、顔自体は整っているため女性受けが良さそうだ。
「ハーレム?」
いきなりの男の発言に俊光は、何語喋ってるの?という目つきで男を見る。
「失態だった。コイツにピンク色の言葉は通じねぇんだった。」
男は、少々おちゃらけながらもマイペースな調子で話し出す。香織とリーナは、その言葉には説得力があると内心で思った。
「父さん、どうしてここにいるんだ?」
俊光は、男のマイペースさに負けず劣らず、事の次第をいきなり聞き出す。そのような会話をしているうちに、俊光が帰ってきたのに気付いた小動物たちが俊光に少しづつ群がってきた。
「お父上なのですか?兄上か従兄の方だと思ってました。」
「若い......」
そんな動物には気にもせず、ただ俊光たちの話を聞き入っていたリーナと香織はここにきてようやく男が俊光の父親だと分かった。それにしても、およそ30代、40代には見えない。
「お嬢さんたち、ありがとさんよ。」
この父親、地獄耳なのか、それとも女性からの言葉には敏感に反応できるのかリーナの言葉はともかくと香織のつぶやき気味だった言葉も聞き取れている、そして自然な笑顔で応対している。なんというか肉食というか、さぞかしモテそうだ。
リーナと香織たちに目を向けて紳士的な態度をみせてくるが、嘘くさいふざけた感じが漂ってくる。
「横にいる君たちは、あれか?桜木さんの召し仕えかい?」
俊光なんて放っておけと言わんばかりに乗り出し気味にグイグイと香織とリーナに話しかけてくるが、その言動に嫌悪感をしめしたり、拒否感が否めないということはないのはある種のカリスマと言えるだろう。もし、コンパに行ったら中心で盛り上がれる人だろう。
「メイド見習いのリーナです。」
「香織です。」
香織とリーナは、正しい礼儀作法は抜きにして一礼だけで俊光の父に自己紹介をした。
「よろしく。透原玄だ。玄とでも呼んでくれよ。」
俊光の父親も、自己紹介をしてリーナたちに彼氏いるの~?クラスではアイドルなんじゃない?とか次から次へと彼女たちに質問していった。嵐のようだ。
「なんというか、チャ、奔放な人ですね。」
「自由人...?」
オブラートに包みこんだ言葉で言おうとするが、的確な言葉しか彼を表すことはできなかった。
「はっはっはーー言ってくれるねぇ。まぁその通りなんだけど。」
自覚アリの自由人は、笑い飛ばしながらうなずいていた。俊光に全然似てない。
「鍛冶の仕事はどうした?」
「いやぁ、今日は休みなのさ。」
そろそろ話を戻そうとした俊光に、目が泳ぎ気味であいまいに誤魔化そうとする玄。
だが、誤魔化してくるなら聞かないという人間というわけでもない俊光はずばっとダウトと言う。
「休みなわけがないだろ、一応は人間国宝に認定されている男が。」
透原玄はこれでも人間国宝の一人。持ち前のチャライ性格を叩き直そうと竜之介が友人の鍛冶師に頼み込んで玄を入門させたのがことはじまりで、そこから地獄の修行により性格こそは直せなかったが、玄の師匠つまりは竜之介の友人が玄の才能をかって鍛冶師としての人生を歩み始め今では師匠と共に人間国宝とされている。ちなみに、地獄の修行は玄の記憶にはもう無いのだとかなんとか、今思い出すと頭痛を起こすという。
「人間国宝!?」
「すごい...人?」
褒められれば誰でも嬉しいと思うはずなのだが玄の顔には謙遜と苦笑いしかない。
「いやいや、誰でもなれるんだよ血反吐を吐くぐらい頑張れば、ね。......ぐぅ!?」
玄が喋っている途中で頭痛のように頭を押さえ、俊光は、またかと思い、リーナは心配するが大丈夫と玄は手振りをした。
「天皇の親族に確か献上する禊の小太刀を作っているんだろ?」
「......良く知っていたな、気持ち悪い。」
玄の鍛冶は、特殊の仕事である以上、天皇やら鍛冶関係の人、コレクターなどが多いので、特に天皇であっても新聞にも載らない事柄であるので俊光が知っているのは、確かに可笑しいことでもあるのだが竜之介などに教えてもらっていたので知っていた。
玄は、言葉と裏腹に嬉し恥ずかしと言う表情である。息子に自分の仕事を気にしてもらえていることに嬉しさと恥ずかしさがあるのだろう。
「なんだか嬉しそう......」
「俊光様がお父上の仕事に知っていることに嬉しいのですよ。」
俊光は、肩にのっているイタチを可愛がりながら、玄に目を向けず話す。
「で、何の用なんだ。」
竜之介ではなく玄がここにきている以上、竜之介には伝わっていないつまりは、竜之介には言えないこと。そんなことはろくでもないこと、と俊光は勝手に思う。
「冷てぇなぁ、よし要件を言う。お前、好きな奴いるか?」
やはり、ろくでもない。
「くだらん、答える意味もない。」
迷いもせず、バッサリと容赦なく言い切る俊光に、玄は中学にほとんど通っていなかったことを考えても枯れていると苦笑いした。
「ぐっ、お前本当に男かよ。聖人の類かと思うぜ。まぁお前が少しは女性を気にしているのは分かってるんだ。強がりは寄せ。」
それでもめげない、男性なのだから女性を気にするのは本能、いくら坊さんでもそこは違わないだろう。これで女性に興味ないとか言ったらゲイと言ってやろうと決心した。
「それこそ、男だから仕方なし。だが、既にわが心女人に惑わされること非ず。」
な、なに!?と目を見開く玄。二人の異性もまさか俊光からこのような言葉が出てくるとは思わず驚いた表情をしている。
「お前、俺の子供か!?俺はそん時の頃は女の子たちと楽しんでいたもんだ。いつも桃華に殺されたがな。」
自分のチャラ男度合いを見せつけるのが如く玄は話す、しかしそれは仇だ。玄以外の三人の目つきはとても冷たい。
その中でも一番冷たい目線を送る俊光は、いま思いついたとばかりに玄に話し出す、心なしかとてもサディスティックな表情で。
「そういえば、愛子義母さんは元気か?」
愛子とは、俊光の義理の母。俊光の母親が俊光が8歳の頃亡くなって以降、仕事に励みに励んだ玄が、過労で倒れた時に看病してくれたことから、付き合い始め俊光が14歳の時に結婚した人。俊光との仲は良い。
ちなみに怒ると後ろに鬼が現れたり、とても怖い。
「ゆ、許して、愛子に言わないで......って、違う、話を逸らすな!」
地獄の修行の次に恐ろしい光景を思い出した玄は震えがいまだに止まらない。
「逸らしてない、ただ聞いただけだ。」
ここまで言えば、もうよかろうと俊光もそれ以上言及はしなかった。
「そうかい。でだ、好きな奴がいないんなら話が早え、お前、桜木さん所の彩愛ちゃんと婚約しないか?」
彩愛?頭の中で検索する・・・・・・・・・
「彩愛?誰だ?桜木さんに子供がいたのか?」
分からない、妥当なとこはそれだろう。
「ああ、一人娘だそうだ。」
「成程、桜木さんの娘か......。」
感慨深い、恩人に娘......
「どうだ?あちらには既に話してあるし、まだ婚約だけだ。」
「すまん、父さん。桜木さんは恩ある方だが、それを今の気持ちの絆しにして婚約するわけにはいかない。自分の道は自分で決める。たとえ親と仲たがいになってもな。」
そう、私は、私の道を行く。俊光にとって恩人の娘さんが悪いとか、どうこうよりも自分の道に誰にも邪魔させないということが重要なのだ。玄もやはり父親なのかそこのところは分かっているらしい。
「婚約だけで!?、まあ分かっていたけど。でも、今は整理つかないだけなんだろ?」
分かっているからこそ、俊光が信念を先に置き、物事の良し悪しを理解しようとしていないことも分かっている。俊光は、そんなあたかも自分のことが分かっていますよと言わんばかりの知ったか野郎に怪訝な表情をして反抗する。
「見たこともない人と結婚するなど正気の沙汰ではない。父さんもそう思わないか?」
ある意味正論とも取れるこの言い方はただの文句に等しい。
「美人だぞ?おしとやかだぞ?胸でかいぞ?」
かと言ってこっちの父親も馬鹿な売り文句しか言えないのだが、これには二人分の視線が一層と冷たく現に突き刺さる。
「私が見て、私が決める。」
俊光は、もう聞かんとばかりに身をひるがえそうとするが玄の次の言葉で中断する。
「しょうがねえ、明日から彩愛ちゃんここに住むから。」
何か聞き間違えたのかと思い玄を見たがこの自身のありよう、にやけ顔、間違いなく本当だ。
「彩愛様が!?」
「あやめ、来たら嬉しい。」
こちらの二人も聞いている以上間違いなどではない、しかし俊光はあえて冷静にことに対処しようとする、玄はしてやったりとホクホク顔をしている出し抜いたと思っているのだろう、それにしては気が早いというものだが。
「君たちは知らんのも無理はない、桜木道山さんが決めたんではなく、桜木彩子さんが決めたんだからね。」
親切にも次々と喋る玄の話である言葉に俊光は驚きを示す。
「何、桜木さんは聞いてないのか?」
そう、桜木に聞いていない。何はともあれそこが欠け落ちている以上、俊光にとってそれは非常に看過しがたいことなのだ。
「桜木さんが聞いてみろ、絶対暴れ狂って止めるだろ。」
あの桜木さんが暴れまわるだと何の冗談だ?
俊光は、首をかしげそうになりながらも隣のリーナたちにも聞いてみる、もしかすると彼女たちは自分の知らない恩人の表情を見ているのかもしれない。
「桜木さんのそんな一面見たことない。香織たちは見たことあるか?」
俊光のこの問いに二人は同じ表情をする。
「え、ええ、まあぁ。」
「親バカ。」
なにか生暖かい視線を送るようなそんな表情、いくら俊光でもその度合いがどんなものかというのはよくわかったというよりもあの人今、50近いよなと呆れながら、そう思った。
だが、それでも......
「ふむ、桜木さんを裏切る行為はできん。出直してこい父さん。」
「お前、おれが殺されてもいいと?」
誰に?とは言わない愚問だ。多分、彩子さんという人なのだろうなんでも昔ながらの知り合いで頭が上がらないとかなんとか。
「ふむ、なんとかしろ。でなければ愛子さんに先のこと話す。」
俊光は、ここで玄をハメた、本人の俊光は自覚していないだろうがこれはひどすぎるまさに前門にとら後門に狼である。
「無茶振りかよ!?というより、明日には来るんだぞ、無理に決まってる!!」
玄は、必死に俊光を説得する。藁にも縋る、という形容がふさわしい様子で。
「そうか、ではその時、断ろう。」
決断は早い、むしろ清清しい。
「お前、鬼だな。」
玄は、この頑固者には何を言ってもだめだと自分の今後の生命が身の危険にさらされる覚悟をした。
「ということで、父さんもう帰りなさい。」
「ああ、そうするよ。......なんでもっと俺のように遊び人気質が無いんだろう。俺の子供かよ、本当に。」
そうすれば・・・・・・と玄はたらればの話をブツブツ言いながら帰って行った。
俊光たちもまだ肌寒いこの季節に外にいるのもと思い、家の中へと入って行った。
家のでの会話
「俊光様、彩愛さまをここにおいてもらうことはできないですか?」
「リーナたちは、あったことがあるのか?」
「親友。」
「というよりも、桜木の人にはほぼ面識がありますし、それに彩愛様は、同じご学友ですよ久二ノ宮の。」
「桜木さんも教えてくれればいいものを。」
「俊光様に奪われそうだと思って、隠していたんですよ。」
「俊光様カッコいいから...」
「ありがとう。」
「彩愛様が来た時は一度話し合ってみてください。その上で追い返してしまうのは構いませんが...」
「承知した。」
「フールオンラインしよ...?」
「そうですね。」
「そうだな。」
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