入学式は幕を閉じる。
調子よく手が動いたので書きました。書いてる途中でコイツ、フラグ建てたなと思い、書き直したりしましたがw。やはり、狩馬君には一級フラグ建設士のチャラ男のおバカさんという位置づけがお似合いですね。ある意味この人が主人公かなと思います。レンヤもシンも中々いいのですがね(笑)
キンコカンコーン
俊光たちが会話している途中で予鈴がなった。
予鈴の音を聞いた瞬間にばっと顔を上げた狩馬学生、おおよそ自分が何のためにここに来たのかを思い出したのだろう。放送を聞く前からそわそわしていた狩馬学生は何か恐れているようだった。一方の九条とライトは至って普通に和気藹々と話をつづけた。
ジ・・
新入生の皆さんは、担当の先生の指示に従い速やかに各々のクラスへと向かってください。
普通科普通コース一組はA100教室、二組はA101教室、三組はA102教室・・・・・・・・・・
なお、クラスが分からない、はぐれてしまい迷子になったなど相談事がありましたら腕章をつけている風
紀委員もしくは生徒会役員に尋ねてください。
ここで、生徒会からの呼び出しがあります。ヒッ!!
『生徒会役員、生徒会長の学雪江です。生徒会役員、副会長九条眞兎くん至急生徒会室まで来てください。もう一人の生徒会役員も直ちにきてください。以上、生徒会からでした』
た、直ちに来てくださいね。コワイ
ブチッ・・・・・
キンコカンコーン
シュタッ!!と勢いよく狩馬学生は軍隊よろしく立つ。九条と俊光は依然気にせず話している。
「マウさん、さっきの放送聞きました!?ねえc、生徒会長、キレてますよ!?やべぇっす!?ぱねぇ!?」
混乱しすぎて変な言葉遣いになっている狩馬学生を制して九条は一旦俊光との話をやめる。
「あのねぇ~。雪ちゃんと戦うなら怒っている時の方がいいんだよ~」
「な、なるほど......なるほどじゃねぇー!!何で戦うことが前提なんだよ!?戦うってなんだよ!?」
落ち着いている九条と慌てふためく狩馬学生。この構図ははた目から見るとお兄ちゃんを諭している弟と情けない兄である。
次第に狩馬学生の表情は苦悶に満ち溢れた。
「さて」
九条は一言おいて悪戯する子供の顔をして俊光の方に向いた。
「ごめんけど。トシ君、ちょっと付き合ってくんないかな~?」
「私がですか?」
「マウさん、何企んでんですか...」
何故自分が?と不思議そうに九条を見る俊光と九条の所業を常日頃から見ているためやらかすことは確実だと訝しむ狩馬学生には不敵な顔でいる九条の思惑を読み取ることはできなかった。
「僕に策あり、だよ~。」
気の抜けた声で九条は生徒会室へ向かった。
生徒会室。
ガヤガヤと通路では新入生たちが春の陽気さにつられて、和気藹々としながら盛り上がっているが、それとは対照的に生徒会室では一人の女生徒を中心に真冬のブリザードが吹き荒れていた。横に控えている男子生徒はもう既におびえた表情になっている。
「マウめ、自分がめんどくさいがために私に押し付けるとは許さん。今日という日を最後にアイツを更生させてやる!皆もそう思っているよな!」
「「「「は、はい!!」」」」
彼女以外の男女生徒は、舌をかみそうになりながらも即答した。
「それにしても、愚弟も愚弟だ。常日頃から見張っておけと言っているものをいつもいつも逃しおって!」
歯噛みしそうになりながら、手に持っている扇子を強く握りこむ。ビシッと扇子がきしむ音に横にいる男子生徒はヒッと情けない叫び声を出した。
"こんこん"
凍えるような雰囲気を壊すノック音がした。しかしながら、かの女生徒は表情を緩ませない。
誰かが来たと言うことは100%、自分のこの感情の原因になった者なのだから。
ガチャ
ノブ式の扉が開かれると女性とは訝しんだ。
何故なら、自分の予想外な、見知らぬ人物が一緒だったからだ。
そして、自分がよく知っている愛らしい顔をした男子生徒が自分に目を向けた。
「失礼します~。生徒会本部からの招集がりましたので参りましたが、如何なる用でしょうか~?」
発表会に張り切っている子供のような顔をして白々しい発言をしてくる男の子に一層と険悪な顔をした女生徒は、横にいる愚弟に事の次第を話させようと問いかける。
「これは、どいうことかね、学書記?君には連れ戻してこいと言っていたはずなんだが?この状況を見るに君は九条副会長と会えたにもかかわらず、招集があるまで連れてこなかったように見えるのだが?」
「い、いえ、生徒会長。マウ副会長とは放送が始まる直前にあった次第でしてその様な意図はまったくありません。」
生徒会長、学雪江の棘のある発言におどおどした様子で書記の狩馬学生は言葉を詰まらせながら答えた。
その場に居合わせていないので、どうとでも言い訳のつく都合のいい狩馬の発言に雪江は眉を寄せた。
「そうだよ~。ガっくんとは少し前に会ったんだ。雪ちゃん早とちりしすぎ~」
話し方がいつもの通りに戻っている九条のおちょくっているとしてか思えない発言にブチッと何かが切れたような音がしたかのように見えた。場が凍る。
「そ、それよりも、そこの男子生徒はどうしたんですか?」
雪江の隣に控えていた男子学生は、口早に九条に聞いた。
「そうだった~。そうだった~。」
今まさに、気づいたとでも言わんばかりのわざとらしい言い方に鬼が解き放たれようとしたが、雪江は一旦息を吐いた。
「そうだな、まずはそこから聞こうか。」
生徒会長の貫録なのか落ち着き払って雪江も九条に問いかけた。
九条はこれ幸いとばかり話し出した。
「彼は新入生の透原俊光くんだよ~。」
「...どうも。」
まずは、自己紹介とでもいうかのように生徒会の面々に紹介した。
「まあ、それは分かるが。まあ、いいだろう、三年、生徒会長の学雪江だ、よろしく。」
「三年、書記の上岡沙綾です。よろしくお願いします。」
「二年、副会長の野崎練也です、入学おめでとうございます」
「二年、庶務の轟陣だ。」
「二年、会計の多田野島凛です。君、髪長すぎない?」
雪江は美人と言う形容が最も似合うロングヘアーの黒髪美人、上岡は華やかな印象の良家のお嬢様のような美少女、野崎は正義感にあふれた爽やかイケメンで女子受けがとても良さそうだ、多田野島はポニーテールの雪江と比べると幼さが感じられる美少女。轟は......ガンバレ、......別に不細工では...かといってイケメンでは......地味の一言で終わりそうな人物?という顔だ。
何か、デジャブっているかのよに感じられるが、この男女の印象は以上だ。
「そうだな、髪の毛が顔にまでかかって顔が隠れてしまっている。切らないのか?」
「...髪留め忘れたので......」
「あ、じゃあ、髪留め貸してあげる。」
「...ありがとうございます。」
雪江と多田野から髪について言及された俊光はとっさに嘘を吐いたが、それが仇となって断るにも断れない状況をつくった。しかし、あることを思いつき、多田野から髪留めの輪ゴムをもらい実行した。
「言ったのは、後ろ髪じゃなくて、前髪なんだけど......。」
前髪は変えず、後ろ髪だけまとめた俊光に多田野は口を出したが、それ以上何も言わなかった。
「で、話がそれたが、彼とはどうしたのだマウ。」
「僕が生徒会から抜け出したのって彼が落し物していたからなんだよ、ね?トシ君。」
話を戻し九条に問いかけ治した雪江に事の次第を話し、俊光に確認を取った。俊光は事前に打ち合わせされていた通りに黙って肯定した。
しかしながら、いつもいつも飄々と自由気ままなマウの発言を信用できない雪江は半信半疑と言った様子だ。それを見て、狩馬学生はあわあわとしだした、今の彼の様子を雪江に見られたらきっとギルティになるだろう。それをさせない、マウの人の視線を集める言動が気付かれていない最大の理由だろう。それこそがマウの最大の強みであり、副生徒会長たる所以なのだろう。
「マウ、それでその落とし物とやらは何なのだ?そいうことなら、生徒会全員で見つけてやるぞ。」
暗に嘘をついているかどうかの確認ともいえる発言をした雪江に余裕の笑みでマウはかぶりをふった。
「大丈夫、もう見つかったんだ。ガっくんが落し物として拾ってくれていたんだよ。」
「ほう、そうなのか、狩馬?」
マウは予想通りの言葉に台本通りの返答で答えた、そして当然その発言で雪江の視線は狩馬学生へと向かった。ここが、狩馬学生の正念場である、自分のことをよく知る姉にどう嘘を吐くのか狩馬学生はここに来るまで頭を悩ませていた、そして今それが試される。
「ハ~イ、ソウアルネ。オトシモノ、ヒロッタアルネ。ミツカッテ、ヨカッタアルネ」
怪しい中国人口調に棒読みと言う阿保でもわかる嘘のつき方だった。
コイツ、馬鹿だ。それが、みんなの総意であった。
狩馬学生は自分がやっちまったことで機能を停止した。
そして、仕方ないという顔をしながら九条は話した。
「あ~あ、折角ガっくんが怒られないように言ってあげたのに。しょうがないなあ~。」
「さあ、嘘もばれたことだ。真実を話せマウ!」
雪江は裁判官の如きオーラでことの真相を問わせようとした。
ちょっと笑い気味にごめんごめんと言いながら九条は答える。
「本当はさあ、トシ君の落とし物を探していたのは真実なんだけど~。ガっくんが途中で昼寝をしていて、サボっていたからこれじゃあ雪ちゃんに怒られるんじゃないかなと嘘ついちゃったんだ~、本当にごめんなさい。」
「マウ先輩を付き合わせた私にも非がありますので、マウ先輩の嘘を吐いた非は咎めないでください。」
誠心誠意を装って嘘八百を並べた謝罪をする九条にかぶせる形で俊光も謝った、見事な連係プレイにさしもの雪江もうむと頷いた。嘘をというのははじめがばれれば、あとも嘘と思われるとよく言うがそれは、一般な嘘つきだけであり、上手なものというのは、自分をも騙して気持ちは本物に見せるものだ。
そして、雪江の鋭い視線は九条から狩馬学生のみに絞られた。狩馬学生はようやく機能を再開し始めたが時遅く、雪江にひきずられながら、生徒会室から出て行った。
「敵を騙したければ、最初に味方を騙せの計、成功~。」
九条は俊光にだけ聞こえる範囲で小さく呟く。
恐ろしい、とは思わずに見事だなと思ってしまった俊光であった。
さて、お気づきの方も多いでしょうが、それは当然、暗黙の事実ということでどうか(笑)。狩馬くんの小説も書きましたがそちらは亀になってしまうのであしからず。評価・感想よろしくお願いします




