このオヤジ只者ではない/学園
終わった(;´・ω・)
こじんまりとした雰囲気の室内のカウンターテーブルで俊光はコーヒーを飲んでいる。
結局のところ、あの変態から逃げようとリーナたちを連れて喫茶店から去ろうとしたのだが、彼女らが必死で説得し、不承不承ながらも俊光は了解した。
あの変態、名をキャサリン・キャメロットというらしい。絶対、偽名だ!!
性別は、秘密らしい。普通にどっちか分かるよ!!
そして、彼氏募集中と言わなくていいこと言い、俊光に熱い視線を送ってきた。
コイツはここで屠らねばならないと、俊光は完全犯罪計画を考え始めた。
認めたくはないのだがココのコーヒーは控えめに言ってもうまい、そう思いながらも目の前の変態を見るたびにため息の出そうになる俊光を見てリーナは、空気を変えるために話をした。
「俊光様は、あの絡んできた者たちに何をなさったのですか?」
先ほどの不良らのことを言っているのだろう。俊光は、戦いの話になったことでいつもの調子に戻り、種明かしをした。
「鎧通しだ。これは、刀の名そのものであるから、祖父が勝手に付けただけなんだがね。
そもそも、刀の鎧通しは鎧を貫き相手を刺すこと第一に考えられ造られたものだ。
一方、私が使ったのは外部に傷を残さず内部のみに衝撃を与えるというものだ、これは
人間に普通に使うと簡単に死に至らしめるから、相手は仕掛けてきたとはいえ一般人並
の素人だから手加減はしたんだけどな。これが全てだ。」
まさに、体自体が刀そのものであるかのようだ。
外部ではなく内部にという、えげつない技を手加減したとはいえ、俊光に対して賞賛すべきか、恐れるべきか、リーナたちは、不良たちにわずかながら同情の念を抱いた。
「それと思ったのだが、いちいち敬語や~様などつけなくてもいいぞ。」
俊光は特に考えもせずそういったのだが....
リーナと香織はブンブンと顔を横に振って拒否をした。
「い、いえ、そうさせていただいたほうがワタシたちにはいいのです!!」
「ダメ...絶対。」
何が彼女らをそう掻き立てるのだろう。俊光はこれ以上はなにかしら彼女らが困るだろうと今後はもう問いはしないと決めた。
しかし、香織は始めから敬語など使っていないのだが。
思わず心の中で突っ込んでしまった俊光である。
「私は、今VRMMOというのか?それを桜木さんから貰ってやっているのだが、
リーナたちもやっているのか?」
「あらん、当然じゃない、うふっ。」
キャサリンが俊光の横に現れてそう答えた。
俊光は、反射的にその場を飛び去り、隠しナイフを出し、変態めがけて投げつけた。
光速を迫る速度のナイフをキャサリンは華麗に避けた。
俊光は、いきなり変態が出てきてナイフを投げつけてしまったことをほんの少し後悔したが、まさか避けられるとは思っていなかったので戦闘モードに入ってかの変態を確実に仕留めようと本気になった。
「あはん、危ないじゃないの、そっち系の人なの。
早く言ってよん。大丈夫、アタシはどっちも
イケるわよ。」
「変態.....やるな。私に気配をさとらせんとは。
不覚、..次で仕留める。」
「一剣術門徒、透原俊光参る!!」
「うふん、アタシも名乗るわ。愛沙屁荒場好良師範、キャサリン・キャメロットよ。一杯可愛がってくれるわ。」
ここに仁義なき戦いが始まろうとした。
しかし、リーナと香織が俊光とキャサリンを抑えてなんとか勃発せずにはすんだ。
俊光にしては、このような馬鹿なことをするのは珍しい。
それほどまでにこのキャサリンに言いようもない脅威を感じたのだ。
この変態、只者ではない。
リーナと香織にしてみれば、振り回されっぱなしだったので、非常に怒った表情で二人を叱りつけた。
そして、改めて先程の話をした。
「友達......みんな...やってる。」
「ハイ、そう普通の人なら多分ほとんどの人が持っているんじゃないでしょうか。
世界中でも沢山の人がやっていますよ。VRMMOの技術でおよそ四倍速になってい
るので、少しの時間でもたのしめるということで人気のものですから。
最近では、世界中挙げてのイベントも開催される通知がありました。」
「ネット犯罪、ハッキングは大丈夫なのか?」
俊光は、一番想定した中で起こり得ることを言った。
「当然のことです。そもそも、ハッキングの手段を通じさせない造りで、しようとしても
どのような通信または、起動がなされているか分からないようで、噂ではそのことを知
っているのは、社長と管理責任者だけのようです。その他にも、安全セキュリティーが 施されていたり、プレイヤーの健康状態を計ったりして、制限をしたりするものもあり、 比較的に安全を保障されていますよ。それ故の人気でもあるんですよ。」
リーナは、楽しそうに話す。段々と口調が砕けている。やはり、無理をして喋っていたらしい。
敢えてそのことは指摘せず俊光は、リーナたちのゲーム内でのことを聞いた。
「二人は種族はなんだ。」
「ワタシはフェアリーです。」
「香織......吸血人。」
「ほう、二人ともランダムを選んだか。」
「ハイ」
「うん」
成程、私が別に珍しい種族ではないのだな、しかし、それにしては、やけにアーミは驚いていたな。
幸運な人らが近くにいたので間違った考えをする俊光である。
「アタシは、ニュー人族よ。」
「....聞いてない」
本当に多いのであった。
喫茶店から逃げるように去った(俊光だけ)彼らは、次に今度から通う高校に向かった。
久二ノ宮学園。
その校舎は、古いもので平安時代に造られた建造物があることで有名だ。
しかし、単に古いというだけではなく、幼小中高大のすべての教育機関があり、小さいころから通っている生徒は勿論のこと、ここに通う生徒らは安定した職場やエリートコースに確実に行けるといわれている。であるからして、ここに通いたいと思う生徒は、毎年万単位だ。
この学園その他にも著名な作家・音楽家など芸術の分野にも手を伸ばしており、凄いことに帝王学を学ぶ通称貴族コースやそれに仕える執事・メイドコースがあったりしている。
なお、執事・メイドのコースの者は、貴族コースの人の誰かに仕えることを目的としている。
そんな、珍学園のスタイルは自由。
何もかも生徒に託し生徒が生み出す。
行動する者は、磨かれ、しない者は、落ちぶれる。
そんな超実力主義の学園。
久二ノ宮高等部区域。
毎年、新設、改装されほとんどの利用施設が、最新鋭のものであり、ある技術会社とも提携しているため、試作機なども設置されている。
歴史ある学園というより、未来の高校のような雰囲気だ。
ここに、俊光が受験に来た時、この建物を見ては驚いていた。
今日は、春休みの末ではあるが学校は休みなのだが、随分と騒がしい賑わいがある。
運動部の声だけではなく、遊びに来ている生徒が騒いでいる音がする。
それほどまでに、ここの学校が自由であり、なおかつ生徒が楽しんでいるというのがうかがえる。
ここでひとつ言うと、俊光は一般でこの学園に合格したと前に述べたが、その時の倍率は、108倍である。当の本人は、そんなこと知らなかっただろうが。
門の前に来て、俊光は一度入る前に一礼をした、俊光なりの礼儀である。
俊光は、リーナたちとこの学園を見学した。
「私は、久二ノ宮学園の執事科を受けたのだが、リーナと香織はやはりメイド科か?」
「ハイ、この学園にしかメイド科という特殊な学科がありませんでしたので、
必死に勉学に励み、ギリギリ合格できました。」
「勉強...もう嫌。」
「そうなのか。」
小学校で分かっていた範囲が、ほんの少しだけ難しくなった程度の問題ばかりだったと考えていた俊光は、彼女らの努力を感じて、軽はずみに言葉を言わず良かったと思い、。
「君らは、ここの学生?。見たことがないんだけど。」
ボーイッシュな女の子が話しかけてきた。
肌は日に焼けていて、スレンダーな体つき、絶対男より女の子に人気のある美少女だ。
フランクな物言いで、こちらに接してくる、そのような立ち振る舞いを見ると、多分クラスでも人気の生徒なんだなと感じさせるものがある。
「私たちは...今度入学してくる......新入生です。」
この人は、私にとって苦手の部類の人だ。と俊光は直感的に思った。
「へえ、そうなんだ。これから、よろしくね。
ボクは、幸崎純奈。君たちの一つ上の先輩だよ。
君たちは?」
「透原です。」
「メイド科の服部リーナです。これからよろしくお願いします。」
「メイド科、佐藤香織です。よろしくお願いします。」
俊光の態度にリーナと香織は、少しながら不信感を感じたが特に今は触れずに、先輩に話をした。
俊光は知らない、この後、幸崎がこれからどのように自分と関わってくるのかを。
それは、彼には、いいことか悪いこと分かりかねないが。
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