こうして幼女と知り合った
「【トライスラッシュ】!!」
「グギャァ」
シュートが両手剣で3連斬りを放つと、猿の魔物が倒れる。
基本的に召喚獣で釣りとタゲ取り、
ある程度敵が弱ったらシュートが止め。
俺は座ってMPを回復させつつ、召喚獣に指示を出し
召喚獣が弱ったら【召喚解除】→【召喚】。
昨日今日で分かったことは、
・召喚獣のLvは召喚士、つまり俺のジョブLvと同じ。
・各召喚獣には他の召喚獣より高いステータスがある。
・俺のステータスの一部が召喚獣に加算される。
・召喚獣が倒したモンスターの経験値が俺に入る。
くらいだ。
3時間ほど狩り続けたおかげで、
種族Lv13、職業Lv8にはなった。
シュートはLv15まで上がってる。
職業Lvは13らしい。
「今日はこのくらいでいいか?
そろそろ晩飯の時間だわ。」
適当に釣ってきた猿を倒し終わったシュートが声をかけてくる。
「もうそんな時間か。」
言われてみると、辺りは夕方。
日が沈みかけてきている。
昨日は夕方前にログアウトしたから
夕方になること自体知らなかった。
「んじゃ、帰るべ。」
「おう。」
召喚を解除し山を降り、
道のままトレッカースに帰る。
道のあるがままにあるけば、懐かし?のホームタウンだ。
協会前でシュートと別れ、ログアウトしようとすると
腹に何かが当たった。
下を見ると、大きな杖を持った、
小柄を通り越して子供の竜人っぽい子が居る。
おそらくドラグノイドだろう。
「悪ぃ、じゃねえや。ごめんな。」
相手が小さいのでしゃがんで相手の目線に合わせて謝る。
フルフル
頭を横に振られた。
気にしてないということだろう。
それならばと、立ち上がってログアウトしようとすると
今度はしがみつかれた。
「嬢ちゃん、俺に何か用なのか?」
質問すると、今度はコクコクと頭を縦に振る。
人違いじゃないだろうか?
昨日から始めたばかりの俺には、幼女の知り合いはいない。
「人違いじゃないか?」
頭を横に振る。
どう見ても否定だ。
「俺に用がある?」
コクン
「言いにくい?」
フルフル
「俺に何の用か、教えてくれないかな?」
幼女にしがみつかれたまま
幼女と会話する俺。
そして、俺の周囲に集まりだすプレイヤー。
可愛いは正義 とまでは言わないが、
俺が他のプレイヤーの立場だったら、
俺の立場に居るヤツを悪人だと思うだろう。
「・・けた。・・・・め。」
え?
「ごめん、聞こえなかった。
もう一回言ってくれないか?」
今度は聞こえた。
「みつけた。あなたが8にんめ。」
8人目?
何の?
「こいつぁ、参ったな。
お嬢ちゃんがどっか安心出来る所で話してくれないか?
このままじゃ、俺が悪人扱いされちまう。」
結構本気で困った。
興味本位で見てたヤツの中に、
『幼女に手ぇ出すんなら黙ってねぇぞ、ゴルァ!!』
とばかりに睨んでくるヤツらが増えてきた。
スーパービギナーの俺には恐怖以外なんでもない。
と、グッと引き寄せられる感覚がした。
しがみついてきたお嬢ちゃんが俺の服を引っ張ってる。
「ついてこい、ってことか?」
コクン
「ついていくから、手を離してくれないかな?」
手を離したお嬢ちゃんは俺の方をじっと見ている。
「すまん、見世物じゃないんだ。
そこを通してくれ。」
人だかりに声を上げ、道を作ってもらう。
お嬢ちゃんは既に人ごみの外だ。
「待ってくれ。」
お嬢ちゃんが立ち止まる。
「ほら。」
左手を差し出す。
お嬢ちゃんは俺の左手を小さな右手で握り返してきた。