こうして友人と連れだった
相変わらず、会話が多くて申し訳ない・・・
翌日、大学の講義が昼前からだったので
少し遅めに家を出る。
第7講義室に着いて、荷物を置くと
「おい、裕也。」
「おう、修。」
修の方から近寄ってきた。探す手間が省けた。
「修、召喚士ってどういうステ振りしたらいい?」
「召喚士?
聞いたことないな。
どんなジョブなんだ?」
「たぶん、魔法職に分類されると思うんだが・・・」
キャラを作ったこと、クエストを手伝ったらLv5に上がったこと、
召喚士に転職したこと、自分のステータスを上げると召喚獣のステータスも上がったことを話す。
ミャーコさんのことと種族についてはあえて伏せた。
「う~ん、なんとも言えんが
召喚士ってのは、オンリージョブかもしれんな。」
聞きなれない言葉が出てくる。
「オンリージョブ?」
「平たく言や、ハルゼルトの中でお前だけってことだよ。
他に召喚士は居ないってこと。」
「?」
「そのツラは分かってないな。
条件は不明だが、ハルゼルトの中でたった1人しか就いてないジョブが3つあるんだわ。
ドクター、調律師、編集者の3つ。
ドクターは僧侶系以上の回復のスペシャリスト。
こと回復においては、最上級職のハイプリーストを超えるらしい。
その反面、支援はできんらしいがソロでも戦えるらしいぜ。
こないだ、笑いながらLv320級のドラゴンを捌いてたらしい。
ハルゼルトで仲良くなったヤツの
婆ちゃんの妹さんの嫁ぎ先の義弟さんの
ゲートボール仲間の茶飲み友達の俳句友達の
息子さんの同僚の息子の狩り仲間のギルドマスターが目撃したそうだから間違いない。」
笑いながらドラゴン殺すって、何その化物。
そして、とんでもなく関係が遠いな、その目撃者。
そこまでいくと、もはや完全に赤の他人だよな。
あと、なんでそれで間違いないって言い切れるんだ。
「調律師は支援のスペシャリストだな。
彼女のバフはこれまたハイプリーストを凌ぐとか。
ぶっちゃけ、その気になったら彼女1人だけでLv600級ダンジョンに潜れるらしい。
別スキルだから可能だと思うが、ハイプリーストの支援も重ね掛けしたら
Lv900級ダンジョンでも制覇出来るんじゃないかと言われている。」
こっちもスゲェ。
本人のLvが幾つか知らんが、
とにかくスゲェ。
「編集者は真逆で武器生産のスペシャリスト。
ハルゼルトの中でたった1人だけ、本を制作できる。
しかも、任意のエンチャント付きで。
編集者だけあって本しか作れんらしいが、
エンチャント効果が高くて魔法職垂涎の逸品だそうだ。
オークションに1冊だけ出た時は、ある魔法職ギルドのギルマスが
ギルド資産を使ってまで競り落としたが
その使い込みが切っ掛けでそのギルドは解散したそうだ。
余談だが、そのギルマスは行方不明。
召喚士ってのは、案外4つ目かもしれん。
お前、誰かに召喚士だって言ったか?」
「あぁ、昨日クエスト手伝った人にな。
なにせ、ビギナー過ぎて
右と左は分かるが、協会の位置が分かんなかったから
案内してもらったついでに転職についても教えてもらった。
そん時に立ち会ったし、Lv上げるのも手伝ってもらったからな。
当然、俺の戦い方も見てる。
ところで、そのドクターの目撃者って
普通は赤の他人と言わないか?」
「ぶっちゃけると、その目撃者ってのは黒旋風こと、うちのゼミの中嶋だ。」
「中嶋かよ!?
それならそうと言え。
つか、何その厨二臭いキャラ名!?」
「世間の狭さを回りくどく言っただけだ。
黒旋風ってのは、中嶋のキャラ名じゃなく称号。
あいつは戦士系の中の剣士系列、最上級職の双刀ファイターだな。
で、スタイルは双刀が示す通り二刀流で、
防具はフルオーダーメイドの黒一色。
その斬撃が風のように速いってことで入手した称号らしい。
称号の入手条件は、
『一度もダメージを受けずに同じ相手に100Hit達成すること。』
ちなみに、Lvはもうすぐ317だそうだ。」
中嶋のLv高ぇな、おい。
どんだけヤリ込んでんだ?
「まぁお前の右と左のボケは置いとくが、
俺はこの講義が終わったら、あとは取ってないし
興味湧いたから、ちょっと調べてみるわ。
お前は残りの講義終わったら・・・
そうだな、図書室に来い。
あそこならPCあるし、多分俺も調べてると思うから。」
「OK。3限目が終わったら行く。」
修はそれだけ言うと、自分の決めた指定席に着席する。
自由席なんだから俺の隣に居りゃいいだろうに、
ヤツにはヤツのベストプレイスがあるんだそうな。
それにしても、オンリージョブか。
やっべ、ワクワクしてきた。
・
・
・
3限目が終わるとすぐに図書室に向かう。
修は何かつかめただろうか?
図書室に入って修を探す。
入口近くのPCの前に陣取ってたので直ぐに見つかった。
「どうだ?
何か分かったか?」
「いや、さっぱりだ。
ただ、オンリージョブは新しく2人確認されたらしい。」
「そうか。」
「公式にも攻略にも掲示板にも
召喚士ってジョブは記載されてない。
他のオンリージョブも同じだ。
まぁ、公式は基本職しか載せてないが。
ってこたぁ、ますますオンリージョブの可能性が濃厚になってきたな。」
「ワクワクすんなぁ、おい。」
「たしかにな。
で、お前以外の召喚士を目撃して轟沈するとw」
「オチをありがとよ。
で、どうする?帰るか?」
「そうだな。実際に見てみたいし、帰ってハルゼルトやろうぜ。
なんなら、Lv上げ手伝うし。」
「OK。で、どこに行けばいい?」
「お前、まだLv1桁なんだよな?
ってことはお前に合わせたほうがいいから・・・
お前、最初に居た街はどこ?」
「トレンカーズ?トレッパーズ?
なんか、そんな名前のとこ。
赤の国の首都とか言ってた。」
「トレッカースな。
じゃ、トレッカ-スの協会前でな。」
くだらないことを言いながらも、すでに大学からは出ている。
だって、図書室で喋ったら迷惑じゃないかw
修と別れてから気づいたことがある。
今日も金渡すの忘れた。
家に帰って荷物を置くとすぐさまハルゼルトにログインする。
5分もしないうちに、天使っぽいのがやってきた。
たぶん、スカイヤーズだろう。
「裕也か?」
「修か?」
「今の俺はシュートだ。
お前のキャラは?」
「ユウだ。一文字削っただけ。
お前の方はなんで文字数増えてんだ?」
「シュウもサムも使われてたんだよ・・・」
「そか。
で、どこ行く?」
「う~ん、そうだな。
Lv7だったよな?
だったら、西門を出て暫く行ったところにあるトゥス山脈かな。
Lv12からだけど、Lv7でもパーティ組んだら結構狩れるし。
中腹より上に行かなきゃ大丈夫だろ。」
「OK、行こう。」
「待て、俺をパーティに入れろ。」
「お前が入れろ。やり方知らん。」
「しゃぁねぇ。ほらよ。」
【パーティ申請/シュート(11) Yes No】
修、じゃなかったシュートのパーティに入る。
それにしても、このLvってことは・・・
「お前、ちゃっかり楽する気だろ?」
「あ、バレた?」
「まぁ、いい。
案内しろよ?」
「アイアイサー。」
ウサス湖への道のりと同様、街道沿いに歩く分にはモンスターは襲ってこない。
親切な設計だ。
程なくして、山に入る。
「この辺かな。」
「OK。【召喚:光霊】【召喚:闇霊】」
光霊と闇霊を召喚する。
ステータスは
名前:NoName
種族:光霊 職業:召喚獣 称号:なし
Lv:04
HP:38/38 MP:56/56
攻撃:物理/魔法:08/08
防御:物理/魔法:08/08
体力:17 魔力:26
腕力:17 知力:17
魅力:17 敏捷:17
名前:NoName
種族:闇霊 職業:召喚獣 称号:なし
Lv:04
HP:42/42 MP:52/52
攻撃:物理/魔法:08/08
防御:物理/魔法:08/08
体力:19 魔力:24
腕力:17 知力:17
魅力:17 敏捷:17
装備品に頼る項目と魔力以外は完全に負けてる。
「やっぱり、見たことないな。
弱そうだけど大丈夫か?」
「魔力以外は俺より上だぞ。」
「参考程度にステは?」
「基本17。光霊は魔力26、闇霊は体力19の魔力24。」
「一部俺よりも上じゃねぇか!?」
「そなのか?」
ちなみに、後で聞いた話だと
この時点でのシュートのステはこうだったらしい。
名前:シュート
種族:スカイヤー 職業:戦士Lv7 称号:駆け出しウォリアー(体力+1)
Lv:11
HP:65/65 MP:35/35
攻撃:物理/魔法:19/08
防御:物理/魔法:12/07
体力:28 魔力:12
腕力:27 知力:11
魅力:10 敏捷:30
ノービスソード(攻撃力:+5/2)
ノービスバンダナ(防御力:+1/0)
アルミプレート(防御力:+2/2)
草履(防御力:+1/0)
召喚獣の方がLv低いし、
大雑把に言や召喚獣の方が弱いんだがなぁ・・・
装備品について
数字は上昇数、物理/魔法 で表示されています。
ノービスソードだと、物理攻撃+5、魔法攻撃+2
ってことですね。
ついでにもう一つ。
修は召喚獣をLv7(=裕也のLv)だと思ってます。
召喚獣が修と同Lvだと基本はこんな感じ。
名前:NoName
種族:○霊 職業:召喚獣 称号:なし
Lv:11
HP:43/43 MP:43/43
攻撃:物理/魔法:08/08
防御:物理/魔法:08/08
体力:16 魔力:16
腕力:16 知力:16
魅力:16 敏捷:16
これに、各召喚獣に応じたモノと
ユウのステータスの一部がボーナスとして加算されるので
実際はもっと強いです。