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83.後宮の異世界人と私2

「あ、あなただって囲われてるくせに

 贅沢してるのに、私を追い出そうとするの

 自分が住む為なのっ」

ヒステリックな声が響く

「いいえ、私は結婚もしてませんし

 誰かに囲ってもらってるわけじゃないです」

「そんなわけないじゃない

 そうじゃなきゃ・・・そんな・・・」

「綺麗でいられないって?」


「はい」

と見せたのはメイドさんの手だ

まだかさかさしてるけど、しっとりしてきた

フィルルンの治療と、クッカリカの油はよく聞く

それに、ノネさんのエステ術があるもんね


「えっ・・・」

というのは、たぶん、彼女の部屋付きのメイドさんなんだろう

メイドさんは、憎いという顔をして、彼女を見て

そして手を示してるから


「私は、このスライムたちを使うことのできる使役獣使になりました

 学校で学び、日々の糧を得るためギルドに登録して

 冒険して、魔物退治や薬草を取ったり、精製したりして

 毎日頑張りました

 そのころ貴方達は何をしていましたか?」

「・・・何もしなかったわ」

小さな声で答えた人がいた


「何もしてないなら、まだましですよね

 この人たちがこんなに傷を負ったのは誰のせいでしょうか

 そして、貴方達のことを好きではないと思うのは」

誰一人として、彼女たちをかばおうとしない

むしろ、兵士さんは、何かあったら私をかばおうという姿勢だ


ラムムンがいるから大丈夫だけど、うれしい


「そして、王様たちがなにも言わないことをいいことに

 自分でできることもしなくなりましたね

 贅沢三昧しましたね」

「だって・・・いいって・・・」

「誰が言ったんですか?」

「王様が」

「どういう風に?ちゃんと言ってください」

「異世界人は保護すると・・・」

「ですよね、贅沢していいですよとは言ってないですよね

 地球にいた時、保護って贅沢させますっていう意味でしたか?」

ふるふると首をふる子、うつむく子

あ、子といってますが、全員大人です


「自分の事ちゃんとしていた人っていないんですか?

 掃除や洗濯、メイドさんと一緒にしようって思わなかったんですか?」

「していた人はいたけど、みんな出ていきました」

「どうして出ていったの?」

「・・・結婚して・・・」

「じゃぁ、本人が望んだことだったんだ

 おめでたいね」

そういうと、あ、と目を見開いた

まるで、後宮から落ちたみたいなレッテルだったんだろうね

だから次第にみんな自分のことをしなくなり

横柄な態度になっていった


実は、異世界人の保護してるところ別にありまして

男の人もいるんですよね

そしてその人たちすぐに出て行っちゃうそうです

有る程度説明し、言葉が通じる

自分は切り離されたもう一人の自分だと聞くと

心配事がなくなった、じゃぁこっちで無茶して死んだらその時だよね的な感じで


ただ、ここみたいにいびつじゃないけど

囲われている異世界人がいるのも事実で、そういう扱いされてる人もいるって聞いた


運がいいのか悪いのかわからない

その人が幸せと思っているのなら、運がいいのだろう

不幸せと思うなら、運が悪かったのだろう


私がこうなったのは私は運がいいと思ってる

だけど他の誰かはそう思うだろうか?という問題

まぁ私は他の誰でもない私で

ラムムンや皆がいる今が好きだから運がいいと思う


しんと、静まり返った中、みんな先生に叱られた生徒みたいにしゅんとなった


「じゃぁ、今から変わりましょう

 王様は置いてくれてます

 我がままは許してくれてたんじゃないんです、放置されてただけなんです

 ただ、最近、貴方達が使うお金がかかり過ぎて

 他の人たちが怒ってます

 それについてどう思いますか?」

そう聞くと、誰も答えられない

王様だから、お金持ちでしょう?な表情や

ごめんなさいと、反射的に思った人や

いろんな表情が見えるけど

やっぱり解ってない


きっとみんな子供だったんだよね

ここに来た時、大人な人もいたかもだけど

ここの人たちのいう大人には私もなれてないから

ここにいたら、同じようになってたかもしれない


「お金は、自分で稼ぐものです

 自分で稼いだものだけ使えます

 それが常識です

 ここの世界では、男の人だけが稼ぐ場所ではありません

 女の人も稼ぎます」

え、と顔をあげた人がいた

うん、そうなんだ


「財産は各自で管理します、なので、旦那さんが稼いだお金は奥さんに渡されません」

「え・・・え・・・っじゃぁどうやって生活するのよ」

「自分で稼ぐんですよ

 私もそうしてます」

「え・・・なんで・・・助けてくれないの?」

「助けないんじゃないんです、自分でするんです、ただそれだけ」

シンプルなこと、自分の命は自分で護る

護れないなら、人を使う

人を使うなら、お金がいる

そして、貴方達は、自分たちが生活する為にたくさんの人をつかってますね


それすべてがお金です

なので、貴方達は莫大な借金をしています


と、言うと、真っ青な顔になった


まぁ、実際はしてないけど、理屈としてはそうなんだよね

ここを宿と考えてサービスをうける

この人たちはお金がないとなれば、借金している状態


お金とか大好きそうな人が多くて、この説明は功を奏した


「あと、メイドさんたちを傷付けた方は治療費代も必要ですね」

「だってそれは、この子たちができなかったから」

「そりゃぁできませんよ」

「じゃぁメイドじゃないわ」

「ええ、貴方の思うメイドはこの世界の中どこにもいないと思いますよ」

そう言うときっと睨まれた

「じゃぁ、なんの為にいるのよ」

「何もできない貴方が生活ができるようにするためですよ」

そう言うと、真っ赤になった


「お風呂も自分ではいれない、掃除もしない、片づけも洗濯もできない

 手のかかる大きな子供ですから

 なのに我がままいっぱいできっとメイドさんたちは大変でしょう

 あ、それに癇癪持ちですね」

そう言うとますすま真っ赤になった


「何で私がそんなことをしなきゃならないのよっ」

きぃっと響く声で言われたけど、なんでって

自分のことだからですよ


「え、貴方何様ですか?」

と私は聞いた

「・・・私は・・・わたし・・は・・・」

頭は悪くない、だから、さっきいった、王様の寵姫とはもう言えない


「ただの異世界人ですよ、貴方は」

私は、言葉を繋ぐ

赤い顔が真っ白になる

後ろ盾を失って寄るべき所が無くなったと顔に書いてる


「死ねっていうの・・・」

うーん、なんでこう短略思考なんだろう

「死んでどうするんですか?」

「だって、貴方が・・・」

「私が?」

「死ねって・・・」

「言いましたか?」

と聞いて、周りを見る


大人しい子や、黙っていた子が、小さくふるりと首を横にふってくれた


「言ってないわ」

トップに立っていただろうグループの一人の子が言った

「この人は自分の事を自分でしなさい

 自立しなさいっていってるのよ

 死ねなんて一言も言ってない」

「だって、借金だとか、今までの生活はさせないとか」

「ええ、させてもらえないでしょうね」

「だったら・・・死ねってことじゃない」

「貴方・・・馬鹿?いつものどうしたの?」

と、静かに紅茶を飲んでいた、うん、この人一人どこ吹く風だったのな人が

ぽそりと発言した


「自分でしろって言ってるだけよ

 私がしてるみたいにね」

そう言うと、私ににこと笑いかけた


「負け犬の行動は勝者の行動だったみたいね」

彼女は立ち上がる

そして、一人の兵士さんに近づく


「私は、ここ出ていくわ

 明日にでも、結婚して頂戴、そして、またいろいろ教えて頂戴」

「ええ、私の姫、その申し出受け入れましょう」

きゅっと抱きしめると、やめて頂戴と

身をよじるけど、照れてるー

きゃーっラブロマンスーーっ


顔がにーやーけーるーっ

意志の強い人は、どこにでもいるもんなんだね


「じゃ、わかったと思うのでメイドさんたちも一緒にきてくれる?

 地球式のお掃除の仕方とかお風呂の仕方教えちゃいます

 それと、ちゃんと叱ってください

 この人たちは王様でも貴族でもないですからね」

そう言うと、メイドさんたちははいっと声をそろえて答えた


それから、皆で掃除をしたり、お風呂の入り方などいろいろお話した

だけど、それがこちらの常識ではないというのはくどくど言って

そうしたいなら、水場がある場所とか

温泉の沸いているところじゃないと、川や池でのお風呂か

盥でのお風呂となります

と、メイドさんに盥風呂の実演をしてもらって

かつ恥ずかしがらないことを説明しました


私にとっても不思議だけど、兵士さんもいるのに

さっさか脱いで、しゃっしゃと裸で盥風呂しちゃうんだもん


メイドさんから、皆さん見せられないほど醜くもないのに

隠す理由が不思議でしたとのことで

みんな唖然茫然

私も内心そうなんだけどね、そっか自信があるから見せちゃうのね

魅了させちゃうんですね、ああはい・・・


それと異世界の恋愛の常識を言うと、できない・・・っと沈む子

王様の御手つきさんたちは、哀しそうな顔して

なによ・・・と呟いてた

うん、でも、いやだったらしないから、その点は自信もっていいと思うんだよね


というと、そうね・・・と少し震えてたけど持ち直した


私がいなくなったからといって元には戻らないから

と言って、私は去っていく

メイドさんたちとさっそく喧嘩を初めて容赦ない言葉の応酬が閉まる扉から聞こえてきたけど

うん、これが始まりだよね


頑張ってください


そう思ってると兵士さんがナイススマイルで敬礼してくれちゃった


よーーーし、これで終わり

後は王様に我がままさせないように言って

1週間後ぐらいは無理やりでも

もう一人の自分があの世界にいること

こちらの常識伝えてどうするか選んでもらおう

そして一年後には出ていくように


秘密文書なんだけどね

と、王様がこっそり図書室に誘ってくれた

ティエリさんとカールさんがいやーな顔してたけど

図書館には興味があるんですーっ



「和王の言葉だ、読めるか?」

開くと書かれていたのは日本語だった

丁寧な文字、そして、間違いなくボールペンの字

和王さんは異世界人で、そして私たちに近い時代の人だということが分かった


「人というのは、立場を忘れ

 いつしか、自分に甘く周りに辛くなる

 そうならないように、異世界人を保護し放ってくれ、ですね」

「そか、保護しか読めてなかったが、そうか・・・」

王様は、感慨深そうだ

まさに、なことやっちゃったもんね


「アン」

「はい?」

王様を見ると、なんとも言えない表情

哀しいとも嬉しいとも、たくさんの表情がいっぱいになって浮かんだ妙な顔

「本当に王城に、来てはもらえないか?」

そっか、その所為だったんだ、その表情

嬉しいけどね、私も意志は変わらないんです


「ごめんなさい、王様」

私はそっと手を取る

無骨で、節だくれた大きな手

テッラさんは、剣を持つもので王にあこがれないものはないというぐらい

強い人らしい


「お誘い最初はびっくりしたけど嬉しかったです

 王様のことは好きですけど

 王様の周りの人や環境は私にはきっとあいません」

そう言うと、それはわかると言うように、頷き

手を握り変えされた

 

「それに好きな人がいます

 結婚してくださいって言いたいんです」

「そうだな」

優しい顔をして、微かに笑い王様は頷く

「カールを頼む、不幸にしかしてやれなんだ」

「はい」

王様はいい人、だけど、王様という立場で周りがあって規則がある

だから、カールさんと別れ、人を使って今回みたいに上手くいかなかった


王様がもし、直接きて、宿のお客さんでお話してたら少しだけ

王都に興味をもって数年だけ勤めさせてくださいなんて

話もしたかもしれない

だけど、それは今はもう言えない

私には私の地盤がある

王様には王様の


たしかに、私と王様は似てるのかもしれない


「ありがとうございます」

「君に会えてよかった」

王様は、ぎゅっと私を抱きしめた

私もぎゅっと抱き返す


こんなとこ見られたら大変だよなぁーなんて頭の片隅で思っちゃうけど

家族みたいな人だなって考えちゃって拒絶感はない


「また、旅先になれば、お互い会おう

 そして、耳を傾けよう」

「そうして下さい、あの地でお手伝いできることがあれば教えてくださいね」

私たちはもう一度抱きあう

今から、いろいろ大変なことがあるだろう

王様の場合は、私が分からないものっともっと大変な何かが

だけど、きっと乗り越えていけるよね


そう誓い合って私たちはわかれた

さぁ宿に帰ろう

そして、私たちの街に!

ということで、中学生との戦いもおわり、王様ちゃっかりセクハラし終了

あと1話とその後編(まだ書いてない)

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