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81.王様と私たち2

「今回の事件の全貌

 それは、貴方が原因ですよ?」

・・・えぇぇぇええええぇぇ?

そんな可愛い感じに小首をかしげて爆弾発言しちゃうんですか?


「事と次第によっては、お前を極刑に処すぞ

 没家カーレンスルーク」

「ええ、それぐらいの暴言ですよね

 ウユン師

 我が家は、没家ではごさいませんよ

 永久凍結貴族なだけです」

「続きを」

と王がうながす


「まずは、ウユン師、これを『調査』または『識別』してください」

とん、と置くのは、レースの切れはし

ちょっと距離をおきたくなるのは本当に苦しかったし

あの光景を思い出したくないから


ノネさんらしい、心残りを無くし新しい人に土地を譲る

ラストパフォーマンスをして

皆さんが全員、無理な体を押して、用意をしてその日に移動していった

だから、王都の街の人たちは何も知らぬまま終わった


私は、昨日、あの地に行った

ラムムンたちは一緒だけど、誰も付いてこないでくださいと

心配する皆さんを振りきって私はあの場所にきた


すごいことになってるぞ、と言われて

土地をもってるノネさん実家が誰も入れてないので

そのままの状態である

もしかすると毒が残ってるかもしれない

先生方も三々五々、行くなと滲ませて私にそう言ったけど

意志がかわらないのをみて、送り出してくれた


ラムムンに包まれ、私はその地に立った

ふさりと、短い緑の絨毯が生えてて涙が出た


この地の精霊たちは、毒にまみれ、人々が苦しみ悲しんだ負の痕跡を消しさり

緑の命あふれる場所にしていた

もう安全だよ、素敵な場所だよっていうみたいに


精霊たちはふわりふわりと集まってくる

ここに座ってという風に円を描く


ふわふわとした新芽をつぶしちゃうのは可哀想だけど

私はそこに腰をおろした

ラムムンもぷよりと、降りて、皆を転がすように吐きだした


支度が整ったみたいに、精霊たちは笑い

私の頬に口付ける

精霊の加護をもう一度というように


そして、私に真実を見せた


私からラムムンへあふれる光が融け込むような世界

きらきらと煌めき渦巻き

微かな光とどす黒く淀んだ気配を漂わす

赤黒いものを包みこんでいく


黒は魔素であり毒

光は命だとわかった


私の命は、毒に犯され汚された人たちを包み命を分け与えていく

しかし、私の命やラムムンたちでは贖いきれなかった

細くなり、ぷつんと途切れるように光の糸は途切れた


そして、私は死んだ


死人が多すぎて、毒がまわり過ぎていた

だから、死ぬ直前の人が多くて少しずつ回復したのでは

全員を生き返らせることはできなかった


人々が赤黒いのに私は赤くも黒くもなかった

ラムムンの核みたいな艶やかな薄い緑青

それに輝く光

それが精霊たちの見る私だった

ラムムンも同じ、だから私は嬉しかった


光は、精霊の女王様がくれた祝福

ラムムンにもといったら、くすくす笑いながらしてくれた

魔物に精霊の祝福して大丈夫かしらなんて

初の試みでラムムンも不安そうだったけど

できて、気持ちの問題ねって、みんなでほっこりした


ラムムンの色のほうが魔素の関係だろう色が濃く見える

だけど、ラムムンらしくていいなって思った


ぷつりと途切れた糸がかすかに漂う

精霊たちが集まりその糸に触れてはじけた


私たちは森に帰ることにした

と精霊たちは語る


精霊たちの意識で、個別契約しなければ個体識別はない

光の精霊なら光の精霊で全員という意識

一人かけても、全然気にしない

なんかすごく変な感じだけど、精霊は力という存在だから

消えたり発生したりが当たり前だから

それが精霊みんなの常識みたい

さっきまで遊んでいた人が急にいなくなってしまうものは

あの時の私には理解できなかったけど

今は理解できる

光がふっと消える

だから見えない、わからないのだ

一つ無くなった森に帰ったということは分かる

怪我してる精霊、毒に犯された精霊

そういう識別はある

だけど、一人を助けるとみんなが、ありがとうというのはそういう理由だった

『私』を助けてくれてありがとうなんだ


彼らの中で、私とラムムンのことは

光の女王様の加護がありたくさんの種類の精霊の加護がある人

そして、精霊を殺していない人


恩返し、だよと言う

精霊にも決められた記しがあるらしく

その対象と示された私に、そうしてあげたかった

生きてほしかった


貴方が願う願いを叶えたかったと

みんなが言う


私は泣く、生かしてくれてありがとう

協力してくれてありがとうと

私は精霊の命の分もちゃんと生きたい


だから、その原因となった毒は、本当に怖いし嫌いで

クロロンたちもそう思ってるらしく

さっきまで、整列していたのに

ぱっと瓶の近くまで行って全員が赤い核に変わった


「ごめんね、みんな、

 クロロンたち、ラムムン」

カールさんが言うと、ぷよりと揺れるけど納得はしてない

そんなもの出さないでと私を含め言いたい


「これ・・は」

スキルや魔法を使って調査したおじいさんは青い顔になった


「ドラゴンヴェノム」

「違いますよ、耄碌されてしまったようですね」

ふぅ、とカールさんはふかーいため息

先生がた、そこ笑っていいんですかーーー

特に、アーヴィン先生とグナータッド先生ーーっ


「簡単なクッキングさ」

ヒーメ・ロディ先生はにたにた笑いながらいう


「材料はじつーぅに、入手困難なはずなんだけどねぇ

 簡単に手にはいっちゃったからね」

くすくすと笑う

おじいさんはじっと、小瓶の中を見つめる

魔法を使ってますな視線

しかし、沈黙し、首を振る

敗北と顔にかいてあるのが見てとれ、それが悔しそうだ


「材料ドラゴン

 血液に、抽出した核、肉に内臓

 みな混ぜ合わせドラゴンの体内に納め腐敗させる

 出来上がるのは?」

ひぃぃぃぃぃ

なんてものつくったんですか、あの人間爆弾さんはーーーっ

きゅっとティエリさんが手を握ってくれた


うう、おにーさーん、私死にかけましたよー

というか死にましたが、生きて帰れないところでしたよーーっ


私の禁呪があったから精霊たちとつなげた

ラムムンとみんなをそして私を繋いで命を分配した

そうしていたから、私に命を流すことができたんだよね


だから、人だけど、精霊属性がついたって感じ

精霊術師さんにはそういう人が多いらしいけど

異世界人では初らしくこれも秘密にしておこうとリーナさんとベットの中で話した

私のことを一番よく知ってるのはリーナさんかも


「ヴェレグッラか・・・」

そう、呟いたおじいさんは、蒼白になった


ぽんと、フィルルンを撫でるカールさん



「『はははははは!!

  血は血よりも濃いっ!!

  帝王ならびに祖王万歳っ!!』聞き覚えは?」

響石が、あの時の言葉を響かす

フィルルン?!なんでそんなもん録音したのっと思ったけど理由は分かってる

情報は力になる、特に弱者の・・・


フィルルンは、治療師になったとき、とてもとても傷ついた

私の支度が悪くて、人に対する認識が甘いのが一番の問題だったけど

支度をして、みんなは悪いことをする人たちに負けないように頑張った

今回もそういうことだろう


「ある」

と静かにいうのは王様だった


「人を探させてあったが・・・そうか・・・死んだか」

そう、重く呟いた



「申し訳ないことをした

 アン、そなたにも、そして、皆にも」

王様は、深々と頭を下げた

誰も止めない、止められない

本当に非公式で人払いししておいてよかった


沈鬱、という言葉が似合う感じに場が沈んだ


それから、非公式である故の話が行われた

まるで私たち全員は長い時間をかけた友のような家族のような

親密な空気をただよわせ話をした


王様は、街の人たちが言ってたみたいな人だった

気さくで、話が面白くて

好奇心が強くて、ちょっといたずらっ子で

だけど、誰よりも国の人たちのことを大事に思ってるって

いい国にしたいっていう気持ちが一言一言重ねるたびに

伝わってきた


私も同じ気持ちなんだよと、そっと心の中で思う

王様は国で、私はちっぽけかもしれないけど、私の周りだけ

それがいつしか街になったけど、私だけの功績じゃない

私が甘い人間で弱い人間だとしってる街の人たちと先生たちや生徒さん

それにお泊りしてくれるお客さんたち冒険者さんたちが

許して、それができる環境を整えてくれた結果

私はその原因と私が理想とする道の第一歩を踏み出し

一人せっせとその道を作っていったただけだもん


そして、今回の事件になった人間爆弾さんもだ・・・


人間爆弾さんは、王子様と敵対するドラゴニア帝国の使者だった


山先生が、この国の過去のお話ともうひとつの国のことを

私に教えてくれたか分かった


それに、私自身

神聖国の産出する水や草

ドラゴニア帝国の方の毒、それに魔石はもっと必要だ

みんなに1つずつは使ってるし、これからも使わせてもらう

どちらの国も必要で、善も悪もないと私に教えてくれたんだ


もし、今王様たちとの話だけで聞いてたら

先入観でそのドラゴニア帝国のことが嫌いになりそうだった

だめだなぁー、まだまだ、自分の事は冷静になれないなと思う

先生方はそういうのが分かって先回りで説明してくれ

教えてくれる

いつか、そんな先生になりたいと私は思う


あと、私も、炎王と和王の話は読んだことがあった

今なお秘密が多い二人の話だから

人によってものすごく解釈が違うから、面白いわよとリーナさんにお薦めされて

読んだし、旅芸人さんっていうのかな、回りながら劇をしてくれる人たちの

演目にもあって、私はわくわくしながら見に行った


解釈は大まかに3つに分かれるんだよね


炎王がすごい人だった派と和王がすごかった派がいつも対立してる


炎王がすごい人だった派は

何もできない和王の為に、炎王が平和を築いて重鎮たちが国を率いた飾りの王

だけど、その飾りであり炎王の理想をたもった和王がすばらしい


和王がすごかった派は

炎王は戦にかけてはすごかった、しかし、その名の通り人も土地も焼きつくして

恐ろしい化け物のような人の唯一大切な人である和王

その願いを叶えるために炎王は戦いそして、死んでいった偉大な王で

その後、命ある世界にした和王はすばらしい


まったく別の解釈で、

こちらの異世界恋愛事情と文化事情かもしれない

こちらの人たちは結婚とかはないし、財産はきっちり自分のものは自分のもの

だから、ある日一緒にいた人が、ある日ふらりと出ていったきり戻らないこともある

お互いにしか分からない約束や話だけできまっちゃうし

子供に関しても、そう、ほとんどが母親が引き取るけど

子供も独立心が強かったり、全然違う人にくっついて、

俺のこと育ててください的なことにもなるらしい

その対象が女の人でも男の人でも全然よくて、だから次の日いきなり子供ができましたもあり

なので、私のこともそんな感じでみんなは思ってて

おばさんとおじさんの子供なんだよね


で、その解釈は、炎王と和王は実はそういう関係だった

しかし、彼らは市井の民ではなく王族

なので、悲恋で、その思いを告げられない炎王のやりきれない思いが

戦と和王の為の国造りになり

その気持ちをわかっていて、受け入れられない和王の悲しみ

だから、炎王が後世に悪し様に言われないように

滅ぼしかけた国をすくったという解釈もあるんだよね


だけど、山先生ほど、詳しい話は知らなかった

炎王と和王が、親戚関係だとか

和王本人が、使役獣や人を使って護らせたとか

本や演劇では他国関連とのつながりの話は全然なかったから

ほんとびっくり


真実を隠して、噂というものは大衆的に広まっていくんだねと言うと

私の事もそうじゃないか、と王様に笑われた


たしかに、と全員が笑う

全然知らなかったことに対してびっくりしたもん


みんな上手にお話してるんだなぁーと思いつつ

それが自分や周りを護り、家や仕事場、街や国を護る方法なのかもしれない

素直はほんと紙一重だなぁと思う

裏を返せばただのバカになっちゃうもんね


まぁそうなってないつもりだったけど、

今まで以上に気を引き締めていかないと

いっぱいいっぱい秘密抱え過ぎてて、ちょっと苦しいなぁとか思ってたけど

甘えだったみたい

リーナさんは司書さんとして、そして過去のことについて

胸に秘めてる思いや責任がある

みんなみんななんだなぁーってわかって嬉しかった


そして、カールさんもだよね

実は、貴族さんだったんだ・・・二度と王都には戻らないつもりだった

だから、あの時断っちゃってごめんね

と今耳元で囁くのはやめてください


カールさんは、毒を片づけてと、王様側に指示してるし

なんか、雲の上の人だったのかなぁー

とか思ってると、ぷにってほっぺたつねられた


「また、見当違いなこと考えて落ち込んでるでしょ」

くすくすとカールさんが笑う


「ちょっと」

というと、もう、と手を繋がれた


うん、まぁでも、いいや

ちょっと落ち着くし嬉しい

形がないこの世界で、一緒にいるよっていう約束みたいだよね


私が一人ぽーっとしてる間も皆の話は進む

非公式で少数人数だけど、私とカールさんみたいに

小さくお話して、みんなに話すなんてことをしてて

ここは会議室さながらで、白熱している


上も下もなく、忌憚なく意見をのべ

それが少し落ち着いたころ王様は

敵国同士だからといって許されることではないと、言った


原因となるドラゴンを放置したのは王様

そして、面倒くさいといって地元の人にその処理を頼んだ

推測ではあるけど、誰かが買い取ったんだと思う

苦情はよせられてなかったし、ギルド側も認識はなかった

ティエリさんの趣味らしく、全ギルドの情報見るのが好きなんだって

こびと族の窓口はお客さんが少ないからね

なんて謙遜してたけど、すごいと思う


だから、確実に問題にはなってない

腐敗させたってことは、ものすごい匂いになっててもおかしくないのに

それで苦情がでないのはおかしいし

あの毒をつくりには殺した怨みののこる場所でと限定されてるから

移動もしてない

かなりの力量のある人たちが関わっているのは確か

特にドラゴンの末裔の彼らならば、核を取り出すことはたやすかっただろうし

怨みを操るのはお手の物だっただろう

国絡みだから当然と言えるぐらい、すべてがうまく隠されて

作られて行った


隣国の王子さまは、すべて分かっているけど

今は喜びと愛に身をゆだねてますよ

と言う様な言い方をして去ったらしい

その時は王様側は、これからいろいろ問題が出てくるでしょうが

今は何も考えずにいましょうという話だと思ったらしいが

すべては、あちら側が上位にいると示されたと

王様側は白い顔をして言ってた


「人任せにするから・・・ねぇラムムン」

と私はもう蚊帳の外な気分で

ラムムンをぷよぷよしながら言うと

その声は意外と響いて、ぷっというカールさんの笑い声

そして、唖然とした王様側だった


「あ・・・すいません」

とりあえず謝っちゃいますが、王様がくっくっくっと笑って

大爆笑した


まぁ、実はここからが皆がかなり仲良くなったんだけどね


「アン、貴方貴族クラッシャーから王侯貴族クラッシャーにレベルアップしたかもね」

なんて、リーナさんまで大爆笑

ひどーーーいっ


その後、いろんな話をした

私は国に関わることはしたくないし、責任はとれない

だけど、たまに、響石同士で友達として会話するのはいいかなって

いう話になった

事件の当事者であり、私というキーマンがなくては

隣国との関係性は一方的なものになるかもしれない

まぁ、ノネさんがいるからそうはならないと思うがと

みんなが言うぐらいノネさんはやっぱり凄いらしい


だけど、次期国王である王子さまの命を救ったことは事実で

むしろ、その結婚を進めて警備を怠った二人にも問題があるとか

ほんと、利権がらみとか、問題責任を誰が取るかとか

二つの隣国さんとうちの国とどういう関係になるかとか

もう、しっちゃかめっちゃかで頭が痛いって感じ

だけど、みなさん平気な顔してるし

むしろ、楽しそうな感じもある


「あれが普通だからねぇ」

とカールさんがいうけど、そんな普通嫌です


「また、恩を売ったよ『ボッティ』」

くすりとカールさんが笑う

お手上げみたいな王様


そっか、仲良しだったんだね


「あと、もうひとつ頼まれてくれないか?」

とテッラさんがいうと王様もうなずく

んー?面倒事はいやですよ

できることならしちゃいますけどね


王様がこっそり耳打ちした言葉に私は噴き出した

カールさんの正体がここで明らかに

小話がまだかけてないっ・笑

そして精霊視点をとアンケでいった方いいよみしてます!

そんな感じで王様編終了

あともう少しでおしまいです

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