80.王様と私たち1
「良く来た、異世界人アン」
「お招きいただきありがとうございます」
そう、そうなんです
ついに、王様と御対面になりました
私が目覚めた日に、テッラさんとカールさんが中心になって
王様と穏便にどうやって会うか
かつ、他の人たちに邪魔されないようにするか
それも、こちら主導で、私らしい発言ができる空間に
とか言われたけど
私らしい発言って・・・なんですか・・・
と、いうことで、非公式お茶会を開催してもらうことになり
例の件への感謝を表したいという王様側の依頼を受けた形で
お互いの目的を果たしたっていう状態です
しかし、びっくりするほど早い
起きた日に、皆が決めて
翌朝には、返事が返って来て
3日後の今日にはお茶会だもん
なんか王様と会うとか、そういうのって1か月ぐらいかかるイメージだったけど
かなり早かった
「だから、うちの王城に列ができないんですよ」
とテッラさんが笑う
「その分宿で留まる人が少なくてねぇー」
と女将さんが唸る
たしかに、一長一短だよね
昔の感覚を知ってる人からすれば、客足が遠のいたって気分だよね
「だけど相談者も多いから、とんとんね」
と言うぐらいだから、やっぱり王様凄い人なのかもしれない
ちなみに、起きてからは恥ずかしくて二人とは寝てなくて
リーナさんと寝てますが
リーナさんとでも十分恥ずかしいです
私の魔法がまだ切れてなくて、私の体力が漏れだしてる状態
ラムムンたちとうまく循環させてはいるけど
漏れだしてる分、どこかで補填ということで
雪山よろしく裸でくっついて寝てたんですが・・・はい
ちなみに、してなかったということで、
えーとそのーな状態で、な、感じにすると回復量が早いといいますか
多いので、いざとなれば、するつもりだったが、ぎりぎりまで粘ったんだからねと
二人に言われましたが、ほんとっありがとうござます
リーナさんと裸で寝てますが
うう、豊かなものがーーっ豊かなものがーー
そして、引き締まった腰がぁぁぁ
なまめかしいですっ
だけど、まぁ、こんな体験もないだろうから堪能させていただきます
その変わり日中は先生がたや、二人にぺっちょりくっついています
リーナさんの生気ばっかりもらったら
せっかくの美貌が台無しになりますからっ
山先生はいいんだけど、アーヴィン先生はきつい・・・
いや、助けてくれたし、過去文句は言わないと言ったけど
きらっきらな感じで抱きしめられると死ねます
ヒーメ・ロディ先生は、いつも通りに人をからかうし
グナータッド先生は、禁呪をーとか、言うし
普段なら、山先生と同じぐらいいい先生なのにーっ
だけど私はお口にチャックして南京錠で鍵しますからね
ということが有りつつ
皆さんのおかげで体力も戻り、魔法も終わったみたいなので
ご招待に預かりました
名目上は非公式だけど、なんかいろいろいっぱいいるので
これが私の最終決戦の場所
よしっと気合を入れて、入室したけど
アットホームな雰囲気だった
「さぁさぁ、座りたまえ、君はまだ体も本調子ではなかろう
あれほど大きな爆撃魔法やスライムによる境界保護魔法を使ったんだ
体に負担を残しているだろう」
「はい、ありがとうございます」
いや、違いますけどね
私は爆撃魔法なんて使ってない
境界保護魔法とは言わないかもだけど、まぁそれに似た感じはしたけど
ラムムンが、頑張ってしてくれたことだから
私は関係ないんだよね
うーんどこまで伝わってるんだろう
お土産にお菓子でも作ろうと思ったら
皆さんが猛反対、テッラさんまで反対した
心残りができるようなことは断固反対で
かつ、おいしい思いなどさせてあげてどうするんですか
とか怖い笑顔うかべないでください
と、いうかテッラさんとカールさんなんか似てませんか?
というと、二人から「似てない(ません)」と言われて
背中に冷や汗が流れた
うん、よく似てるけど、黙ってます
「しかし、君のスライムは素晴らしい
スライムというものを初めて素敵に思えたよ」
「ありがとうございます
それは、私が使役獣使で彼らと心を通わせ
一緒にできることを考えた結果なんです」
そうこれが大事、まずありきですよと示す
「王様には騎士さんを始め素敵な臣下がいらっしゃいます
私には、この子たちがいたんです
王様たちがするように、皆で話し合って
やりたいことできること、食べていくこと、ゆっくり眠れること
楽しむことを大事にしてます」
「そうか」
ふぅむ、と髭をなで王様は考え
こくりとお茶を飲む
「すべての国民は幸福であってほしい」
うん、そう思う
理想であるかもしれないけど、夢みたいかもしれないけど
みんなが幸せなのは一番かも
私が頷くと、王様はにこりと笑った
なんか、やっぱり・・・いい人に思える
もっと傲慢で我がままなイメージだったけど違った
ほんと、うがった見方しちゃってるなぁ
「私は、その手伝いを君にしてほしいと思うよ」
「ありがとうございます
今のままでお手伝いしたいと思います」
そう言うと、王様は少し残念そうに
だけど、面白そうな顔をしている
「私は、あの場所にいるのが一番いいと思うんです
他は全然知りません
だから、今決めつけてしまうのは早計かもしれませんが
旅に出て、そこで、また十年十五年と暮らして
その街を楽しむのもいいかもしれません
だけど、私、そうするとあっという間にお婆ちゃんになっちゃいます」
そういうと、くすくすと周りの女の子たちが笑った
そう、いろんな人が同席してる
たぶん、彼女たちは、異世界人の子たち
金髪の子もいるし、私と同じ黒髪の子もいる
似通ってる子もいるから日本人の子もいるのだろう
「私も、結婚して、大好きな人と一緒にいたいんです
お仕事もあるし、大事な家族もいる
良い狩り場もあるし、収獲所もある
王都では、今はどれもないんです」
そういうと、彼女たちは、少しむっとしている
王都が一番と思う彼女たちとは相いれない考え方かもしれない
「どうしても、出仕は拒むと」
「はい、お話をいただけて嬉しかったです
そして、お会いできたことも」
私は、もうこのお話はおしまいと示す
「実に残念だ・・・」
「残念だけではすませない事実もございますよ」
す、と立ち上がるのはカールさん
え?こんなの台本になかったんですけどー
「・・・カーレンスルークか?」
「ええ、御無沙汰しております、できればもう二度と
お会いすることはないと思っておりました」
ざ、とひざまずくカールさん
ええ?
かっこいいけど、何だろう
それは、テッラさんによく似たしぐさだったから
臣下の礼っていうやつなのかな
「私もだ・・・」
王様も感慨深そうに言う
「王よ、今回の事件の全容をお話しても?
その前に邪魔なものは退室していただきたい
大した頭もない、口さがない小鳥は必要ありませんからね」
そう言うと、王様は、頷き退室を促した
うう、怖いこわい
女の世界だよー
絶対むりーーーっ
だけど、私はその後、彼女たちとしっかり話をすることになるのは先の話
やっと本人同士会えました
甘味は、皆さんが防ぎました・笑




