62.ギルドと騎士(騎士テッラ視点)
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わーいつの間にですがっ嬉しいですねーっ
ありがとうございますっ
「使役獣使としての彼女の役割は少ない
ただ、彼女のセンスを用いれば、王妃をはじめ女性陣はすてておかない
重要人物となるだろう」
二人は頷く
「彼女の容姿を見ると異世界人と見積もっても
あまりにも綺麗すぎる
顔かたちではない、質感というのだろうか肌や指、爪が
あまりにも健康で美しい」
「そうだろうなぁ~
あれは貴族もびっくりだろうさ」
くすりと、大男は笑う
「赤子のような肌っていうんだろうな
ありゃぁ、女どもがうるさくてなー
なんの化粧品つかってんだとか
一時期聞かれて
ラムムン風呂とクッカリカの油と言うと
お風呂はできるけど、油が・・・とか嘆いてたな」
「アンちゃんは実は贅沢でできてるんだよね
ただし、自分で取ってくるから価値はわかってないんだけど」
くすくすとこびと族が笑う
夜以外で機嫌のよいこびと族など前代未聞だ・・・
「それは宿でも聞いたな」
ララリンクルの香りのする宿などあり得ない
それもあんな低級な安宿で・・・
しかし中は驚くほど高級品と清潔感と安らぎにあふれていた
「アンちゃんにとってあれは『普通』らしいからねー」
「普通か・・・」
「普通みたいだよ」
と若干呆れたように言うのは、その差が大きすぎると示していた
「ほらラムヤンだって・・・」
いつのまにか肩で飛び跳ねていた彼女のスライムが
べちょりと壁に張り付いている
「気に入らないらしいよ、ここの掃除が」
二人がため息まじりに言う
三人でスライムの様子を眺める
天井から壁
燭台、棚、床と宿と同じような状況に持っていくと
満足したようにぽちょんぺちょんと変な音を立てて
戻ってきた
ふるるっと震え、こちらに何かを示すので
とりあえず、アンがするように撫でると
中の核の色が変わり手に吸いついた
それを転がし続ける
気持ちいい
「後宮の一角に異世界人の宮があるのですが
そこもそんな風に磨こうとしてますね
たしかに・・・掃除婦を増やせと言うわけだ」
「まぁそれが普通なら、そう言うだろうけど
そいつぁー大変だな」
「大変どころではない、国庫をどれほど使えばと
頭が痛い問題らしい」
「そういう意味でアンちゃん一人が行けば、たしかにすべてをまかなえるね」
「そう、しかし、それだけではない
今朝、プリンというものを食したが・・・」
というと、二人は笑いだす
「ああ、初めての甘味でプリンは
もう駄目だろう」
「うん、この人王都に帰れないんじゃない?」
二人はおかしいと笑う
「いや、戻るが・・・あれは・・・よくでるものなのか?」
たしかに、プリンを食べに来たいと思うぐらいには
気に入った
「多いほうだろうな
皆が好きだ」
ああ、あれは、好きにならない方がおかしい
口の中でねっとりととろけ、甘味が広がり
底にある甘苦いソース・・・たまらない・・・
「おーい」
「はっ、失礼した」
「まぁわかるけどね~」
こびと族はにまりと笑う
「初体験であれは衝撃的
まるで俺の夜の魔法みたいだろ」
なんて軽口をたたくなど・・・
本当にこいつはこびと族なのか
「いいかげんに、俺本人を見ない?
騎士のぼくちゃん」
すっと目を細め、無表情になるこびと族
ぞくりと背徳感とともに腰骨にうずきを感じる
こびと族が、一夜の相手を選ぶ時に使う魔法らしい
基本こびと族は、無表情だ
彼らは子供のような体格で、大人びた・・・いや大人の表情をする
だから、彼らが子供ではないのがすぐさまわかる
積み重なった情報は、男女関係なく彼らを見ると性と繋ぐ
彼らもまたその舞台で踊る
自分を餌に最良で最善の舞台を作る
にこり、と笑いかけるのは、今宵の役者
今の俺のように、骨抜きにされる
その感覚をもっと、と求めてしまう
脳裏に描く快感を超える快感を共にしたいと願い
それはこびと族に伝わる
そして、彼らは、そのイメージを選ぶ
おいしそうだと・・・
「ふーん、アンちゃんじゃないんだ」
「彼女はいい子だが対象じゃない」
「ならいいけど」
彼らが執着する、それは恋愛対象ということ
これは・・・と思う
だから、このこびと族は笑うのかもしれない
もう夜の舞台に立たないと
恋人ができた後のこびと族の噂はそう多くない
ただ、ぷっつりと夜の世界から足を洗うだけだと伝わっている
泡立つ肌に、熱が集まる体
これ以上はまずい・・・
「ぐっ・・・わかった、やめろ」
「解ればいいんだけどね」
ふっと、熱が冷めた
はーっと深い息を吐き出しちらりと見る
巨体の男は、ふふ、と笑い
こびと族は、無表情のまま
「テッラフィリートだ」
俺は手を差し出す
「ティエリだ」
「ベッゼだ」
二人の手を握る
やっとまともな関係を築けそうだ・・・
大半は自身が招いた事故だが
アンちゃん、君はどうしてこんな曲者と付き合ってるんだ・・・
男たちの戦い中+同盟
楽しいです




