59.騎士テッラさんと出かけよう2
「今回のクエストです、目を通してください」
「あ、あぁ・・・」
いろいろごめんなさいな状態でテッラさんを連れてきてしまいました
街の入り口まで、だーっと猛ダッシュ
その後はもんぐりラムムンに食べられて移動
その後は現地到着で
唖然としたテッラさんです
だって、今日は午前中から授業があるから
押してるんです
だから急いでって言ったのに
テッラさんはプリンの魅力にメロメロになって
人の話をまったく聞いてくれませんでした
なので、外で待ってる宿の人に
通常行く時間なので、ギルド行った方がいいですよーと声かけして
私はオープンと同時に入るのをあきらめました
昨日は、クエスト0件+学校強制休校
そしてその前もなんですから
いろいろやばいんですよーっ
ご飯的な意味で・・
騎士さん騎士さん、王都ではそれでいいのかもしれませんが
私とは駄目ですからね
明日も同じなら、置いてくからねっ
「はい、みんな、リフランレフラン取ってきて
あとはご飯も食べてね」
そういうと、ラムムンからぽぽぽぽーんっと噴水のように
ちびちゃんたちが出ていく
おかなすいたぁぁぁぁぁぁぁっ
て感じで皆が三々五々ばらばらに跳ねていく
ラムムンお腹すいてるだろうから離れていいのよ?
とぷにょりと突くと
いやーんと体を震わす
うーん、まだテッラさんのことは信用しませんか
マジックサーチを使いながら
ぷちぷちとリフランレフランを摘む
「えーとこの草でいいのかな」
「いえ、それは、ウーデン草です
苦いですが、お茶になりますよ」
「そ・・・そうか」
うん、そうなんです
「先が、少しだけ丸くて
新芽に産毛が生えてるのがリフランレフランの特徴です」
「これか」
「そう、それです」
ぷち、とテッラさんはちぎる
ふわりと香る薄荷系のさわやかな香り
つぶすと湿布薬や熱さましになるし
腐敗防止と臭い防止の役にたちます
あとは、少量ならお茶にいれてもいいけど
大量にいれると、吐き出したくなるほど痛いお茶が出来上がります
つぶして絞って、その液を結晶化させると
うすい水色の透明な結晶ができるんだけど
それが今回のクエストなんだよね
なので、みんなに集めてもらって
フィルルンたちとラムムンで、結晶化して即日納品
鮮度が違いますってことで私の作るリフランレフラン結晶は人気です
一部持って帰って、カールさんとおじさんにプレゼントです
「なかなか大変なものなのだな」
「はい?」
「ギルドのクエストを直接受けることはないんだよ」
へぇーそうなんだ、
あれ、ギルドのランクAでしたよね?
「こちらの学園には騎士はいないのか?」
私がびっくりとした顔をしてたのがばれたみたい
「警邏隊はありますが、騎士というのはいないと思います」
「そうか、自治警邏だな
なら知らなくても無理はない
俺の故郷にもあったから普通だと思ったが
この街は本当に異質だな」
あれ?そちらが変わってるんじゃなくて
こっちがかわってるんですか?
「ん?それも初耳か・・・
アン、君はこの街を出たことはないのか?」
うーん、何だろう
このちょっとかわいそうな子を見る感じの雰囲気は
「クエストでは出ますが
宿の店主候補なんで、私はこのまま住み続けますよ?」
そういうと、まぁそれもそうかって顔だ
それに先生もしてるんだけどなぁ
「君も異質な人材ということか
ま、まず騎士とギルドについて説明しようか」
おおっこの人も論点をずらさず的確な説明ができるタイプの人だ
うーん、いいなぁー羨ましい
私どうも、話が飛んじゃうんですよね
だから、もともと話したかったものが、いつの間にか
遠くになって、もう話の糸口つかめなくて
うやむやに終わっちゃう
恋愛もそうよってリーナさんとハレアさんに言われちゃった
ハレアさんはもう少しで結婚するらしい
きゃーっ、結婚式はーと聞くと
そんな貴族じゃあるまいしって言われたので
ウェディングドレスをきたりとかないらしい
まぁ、戸籍とかもないし、お互いの口約束で
俺たちは夫婦だって示すだけで
公的な書類もない
だから、1年ごとに旦那さんお嫁さんが変わってるなんてこともあって
私からすればびっくりする異世界の常識
だからと二人に言われるのは
さっさと体験して、一緒にくらしてみて
駄目なら別れればいいのよって
なんか一人だけおもたーく堅苦しく考えてると
たしなめられちゃったけど
日本人感覚はやっぱり骨身にしみてます
ってまた話がーっ
もう駄目だよねー
テッラさんの話を纏めると
ギルドと提携してるのは、有事の時用と
ギルドのシステムを借りるためらしい
騎士単体では、余所の国に行ったりした時に
○○国の○○としかならないけど
ギルドカード持ってたら一冒険者としての証明となる
なので身分を偽ったり、お金の引き出し
宿を安価で泊まれたりというサービスがある
だから、騎士登録と同時にギルドカード
そして、そこから実地訓練
貢献度によってランクアップしていく
だから、Aランクでも、テッラさんは貧乏だったりします
クエストうけて、つつましく生活してたら
たしかに、お金余りそうだもん
それぐらいギルド貢献がないとAには上がれないし
実力も必要なんだよねー
それに、私と同じでテッラさんも
鎧を新調したばかりで、お金がないらしい
ううっ同志よ・・・
だから、鎧の下が下着もどきだったんですね
「しかしギルドのクエストというのは意外に高額なのだな」
「通常はこんなに早くできませんから」
というと、テッラさんはえっ?と言う顔をした
うーん、テッラさんが貴族だけど庶民派なのかどうか怪しくなってきた
「今回の結晶ですが
ラムムンがいるから私はその場で作成できますが
通常なら、納期1か月先ですよ?」
「そう、なのか?」
うん、そうなんです
「ラムムンが、万能スライムっていうことで、上手に捏ねて
ラムムンの中を介したおいしい水と混ぜて
一滴も無駄なく液を搾り取ります
その後は私もよくわからないんですが、結晶化する為の条件っていうのが
ラムムンが長年の研究でっと・・・危ないよ」
ってわかったら、そこでどやぁしないでください
落ちますよ、ラムムン
てへっじゃないよーもう・・・落ちてもそりゃぁ痛くはないけど
恥ずかしいでしょっ
「ということで、ラムムンがいるからこそ、1日というか
その場で作れちゃうんです
他も香水やポーションなどもそういう風にできるようにして
ちびちゃんたちにも仕込んでるので
それなりに出来るようになってますが
完璧に出来るのはラムムンと、このピンクのフィルルンたちだけですね」
「そうか・・・
だから、スライムの街か・・・」
「そちらにどういう噂が伝わってるのかはわからないですが
昨日のお風呂、食事、今朝の掃除や店員業務、今の薬草収集や製作など
生活に密着したものを中心にラムムンたちと頑張ってるんですよ
なので、高価な美術価値があるものや
すごい魔法が使えるわけでもなんでもないんです
だけど、私にとっては、それが一番大事で、必要なことだったんですよ」
ってちょっと白熱しちゃったかな
そう思ってちらりとテッラさんを見ると
なんか優しい顔で私を見つめてる
うーん、なんだろういいおにーさんオーラが・・・
ううっなんか居た堪れない
「たしかに、ここにあっての花というのが理解できました」
テッラさんは呟くように言う
「異世界の人ということでいいイメージはなかったですが
そうですか・・・
必要なことをしただけ、ですね」
私は頷く
お風呂に入りたい、綺麗な部屋にいたい
おいしいものが食べたい、甘いものが食べたい
全部自分の欲望から始まったものだ
良くしたいからどうこうしたのって
今の先生業の「使役獣の生活向上」ぐらいだよね
あとは、お金が足りないし
便利になりたいっていうことでがんばっただけだもんね
そろそろ次いきますよー
なんとか書けた分




