45.行きと帰りの足取りは
「はー、戻りたくない」
と呟いてしまうのは、骨を埋める発言についてが
頭をぐるぐるまわっちゃうから
なので、戻りたくなーいっと呟いては
足が止めてしまう
他のことについては、皆さんといっぱいお話したい
アイスクリームは、先生がたに大人気で
後で話を煮詰めたいとのこと
あと、王都出仕お断りの件とか
聞いてほしい
そちらの方が重要かもしれないけど
けどっけどっ・・・
ううう、プロポーズもどきの方が頭から離れませんっ
「何独り言言ってるんだい?」
って今空耳が、いや、って本人が目の前に
「落ちつくっ」
ラムムン、無理、今むりっ
って、ハネムンの裏切りものーーーっ
カールさんの肩で、ぷよよんと楽しげに揺れてる
終わったよ報告なんてしなくていいんですよー
そして、お手紙は私に渡してねーっと言いたいけど
今回のことは、かなり助かったから
あとでいっぱい褒めてあげるけど
カールさんは呼びにいかなくていいと思うよ
「ふふふ」
近いちかいっおにーさん近い
って、ぎゅってされた
「話、聞いたよ」
「えっ」
カールさんは、何も言わない
ただ、私を抱きしめる
ううう、どのことですかーなんて内心思うけど
おもった以上に体温が心地いい
緊張してたんだなぁって、今更だけど、思う
「リーナさんが早く帰ってきてって待ってるよ」
「はい」
私は、頷く
「このまま抱きしめていっていい?」
カールさんは楽しそうに聞く
うう、駄目です、絶対駄目です
首を横に振ると、くすり、と笑われ
「それは、特別な日にしようか、ね」
と、超絶笑顔で言われましたが
特別な日ってなんなんですかーーーっ
誕生日とかですよねぇぇぇ、って誕生日って、そういえば
ここではあんまり重視されてないよね
私も、すっかり忘れてたし
まぁ暦が違うから、何月何日っていう感覚が違うから
ここに来て、一年ねーとか、そんな感じしか無かったかな
「じゃ、せめて手ね」
ぎゅっと繋がれて、意識が戻った
あ、うん、なんか私今もったいないことしたかも?
いや、してって言えば、ぎゅっとぐらいしてくれそうだけど
言えませんよぉぉぉ
だけど、手をぎゅっと握り返すぐらいなら私でもできるんですっ
握り替えしたら、カールさんに、ふふっと笑われて、手を引かれた
「おかえり」
リーナさんが、固い笑顔で、立ち上がって私をきゅっと抱きしめた
「リーナさん、大丈夫です
私は行きませんから」
「あの人も・・・そう言ったの」
声が震えてる、その震えは体にも伝播して
私にも伝わってくる
ぎゅって力強く抱きしめる
「私は行きません、どうしてもなら、逃げます」
そう言うと、くす、とリーナさんが笑った
「その時は一緒に行くわ」
えっリーナさんとですか
「その言葉は、俺に言わせてほしいなぁ」
とカールさんがすねたように言うものだから、二人でくすくす笑った
ラムムンが、ちゅっとリーナさんの涙を吸い取る
ついでに小回復もしたみたいで
リーナさんがほっこりと笑う
「学長をはじめ、学校側の意志も同じで心強いんです
私の言う言葉は、王都には行きません
この街と学園でがんばりますの二つなんですよ」
そう言うと、二人、ううん、聞き耳を立てていた人たちが笑い始めた
「アン先生ー」
そう言って立ち上がって、周りを囲まれた
「駄目もとで親に連絡とります
伊達に五大貴族じゃないんで、反対票だします
名目は、学園での教育者とそのたぐいまれなる教育センスに触れる機会を奪うな
でいいですよね?」
「さすが、だな、その言葉借りる」
「いいぜ、頼む」
そう言ったのは、あの裁判で、最後の最後まで残って
私に説明してくれた使役獣使のおじさんのところの貴族さんらしい
そっか五大貴族さんだったのか
どうりで立派な人だと思った
「うちの事・・・もしかして、知らなかったんですか?」
頷くと、全員からため息が漏れた
「私の事は?」
ふわりと、長い髪をカールさせた女の子
使役獣は、鳥の子で、がんばって成長してる
「ごめんね、貴族とか全然わからないかも・・・」
「そ・・・そうですの」
愕然とした表情
「アン先生は、本当に、王都に行かない方がよろしくてよ」
うん、だから、行きたくないってば
と思うけど、そういう表情じゃない
「一学年から臨時講師でいてくださってよかったわ
私たちの勘違いをすぐにただしてくれますもの」
ん?私そんなことしたかな
「先生は、優遇なさらないでしょう?
どんなものを差し上げても、いいよー自分で使ってねーですものね」
「袖の下だったんだぞ?」
と言われて、あ、と思い当たる
「だって、普通に採取できるものだったし・・・
ねぇ」
とラムムンをみるとぷよりとゆれて、ぺっと吐き出す
もってるよーみたいに
「お金や物でつられない、とは思ってましたが
まさか私たちを知らないとは思いませんでしたわ」
「ご、ごめんね」
あまりの愕然ぶりにとりあえず謝ってみた
「いいんですの、私、そこで目が覚めましたもの
叔母上から最初から、無駄よと言われましたもの」
「おばさんから?」
「覚えてらっしゃらないかしら?」
そう言ってふわりと、髪をかき上げる
うーん、その仕草に覚えはある
「ノネ、の名はもうお忘れ?」
「ううん、覚えてる
元気してる?」
裁判でさようならした人の一人
アーヴィン先生派のリーダー格のお嬢様の人
ラムムンの羽は実は彼女の使役獣のなんだよね
「ええ、いつか、お会いしたいと手紙で書かれてます
内容は秘密ですが、悪い意味ではございませんことよ」
私の表情を読み取って、彼女は言葉を繋いでくれた
「私もいつか会いたいって、言ってね」
「はい、叔母上が聞くと喜びますわ」
にっこりと笑った彼女と周りの人々
うう、みんな楽しそうだ
ある意味祭り・・・なのかな?これって・・・
恋愛ポイントがちょっとはいりましたーーっ
それでいいのか二十五歳っ
カルボナーラのように絡んでいってます、いや、食べてませんよ
たぶん(未来はわからない・笑)




