20.大勝利後の失敗
「やったぁぁぁぁぁっ」
と全員で拍手喝采っ
もうその場で座りこんじゃうぐらい
頑張りました
最初羽うさぎとか、鳥とか狩って
ハネムンたちに吸収してもらってたんだけど
ラムヤンたちが、もっと強いのをっていうので
ちょっとどころじゃなく頑張りました
鳥上山っていう鳥がいっぱいいる山というより
塔みたいな崖
それをまさにぐるぐると上がっていくんだけど
そこには大量のこわーい鳥さんたちがいるわけで
さらに上に行けば行くほど強くて怖くて
しばらく鳥が見たくないぐらい鳥三昧でした
はー、怖かった
ラムヤン曰く
羽うさぎごとき(ほんとにこう言ったらしい)では
羽1枚分にすらならないよって
たしかに、ラムムンが羽が生えた経緯を考えると
その言葉は頷ける
ラムムンは使役獣のあの子の羽だもんね
だから、ゲームでいうところのボス戦をしまして
現在勝利して
ハネムンたちいけるっとか言ってるので
その内生えそうです
なので現在ふよふよとラムムンに包まれて移動中です
あー、楽ちん
ちょっと寝ちゃおっかなぁー
と思ったらぐんっとラムムンの飛ぶスピードが速くなった
こらこら、まだ下に運動と戦闘しながらついてきてる子たちがいるんだから
回収して飛ぼうよ
「忘れてた」
こらこらラムヤンとクロムンが可哀想じゃないですか
ぺちょっと飛び降りて
みんながさっと入り込んできた
あれ、なんか慌ててる?
「大変」
え?
ラムムンの中にいるから、核の色は見えない
だけど、ラムムンがかつてないほど猛スピードで飛んでる
景色がびゅんびゅん飛ぶように変わって
ジェットコースターにのってる気分になる
街にある日時計を見ると、まだ時間は早い
だけどラムムンは治療院にするりと降りると
私がちゃんと立ったことを確認して
どろりと離れた
「急いで」
私は走り出す
ラムムンがそういうんだから何かあったらしい
「何かありましたかっ」
「アンちゃん・・・」
振り返ったのは、ティエリさん
あれ、なんでギルドの職員さんたちとおにーさんがいるんだろう
「契約書はある?」
きりっとした顔で固い雰囲気のティエリさんとギルド員さんたち
「あ、はい」
ラムムンから取り出して提示しお渡しすると
真剣に確認にしている
「フィルルンは?」
ラムムンが、一生懸命探してる
困惑と動揺そして心配と核の色がめまぐるしく変わる
ここの治療対象者は歩ける人が多いから
もともと私が借りていた場所と机と椅子をそのまま借りて
机の家にフィルルン二匹と木の板をもらって
看板をつくった
治療やお風呂希望の人は椅子に座って
フィルルンにお金を払って開始形式で合意した
いろいろ細かなことまで聞かれて、ちょっと大変だったけど
お互いが納得いく契約ができたと思ってた
ちゅるりとピンクの体が壁の木の隙間からみえた
「フィルルン、私だよ、アンだよ」
ぷにょりとその体をつつく
びくっとして私の手を確認するように包むと
するりとその体を出してきた
「もう一人は?」
そう聞くと、ぺっと吐き出した
真黒な核の色
隠れてた子も黒に近い灰色
ラムムンが真黒になった時は私が夢をみていて
間違ってかじった時だけ
あれ以来私はこんな真黒の核を見たことがない
「頑張ったね、ありがとうね」
ごめんね、は言わない
たぶん、それは間違ってるから
黒灰色の核の色が灰色混じりのオレンジになった
嬉しいという
だから、ありがとうで正解
私は泣きそうだった
だけど、泣いてる場合じゃない
こうなった経緯を知らないといけないし
ギルドさんたちが来てる理由も聞かないと
「じゃぁラムムンの中でおやすみししてようね」
私はゆっくりと話しかけ
二人を撫でる
茫然自失だった片方の子も私の波動を感じたのか
ぺっちょりとくっついてきた
うんうん、頑張ったいい子
何度も、言って撫でる
ラムムンがその手にくっついてきたので
そのまま渡した
ぐい、と袖で涙をぬぐう
こらえきれない感情が涙になってあふれて落ちていく
「お話を聞かせてください」
私は前を見て言う
逃げません、隠れませんと示すように
何人かの読者さんの心配が・・・という感じでしょうか?
避けて通れぬ道であります




