14.初仕事
今かと待ち構えていたおばさんは、プロロンたちをみんな撫でてる
赤に近いピンクでみんな照れてるけど
おばさんのこともおじさんのことも大好きだから
全然問題なし
ご飯は、あるし、水場もあるので
そう問題は起こらないだろう
「疲れたら、物陰に隠れるように言ってますので
そういう仕草したら、部屋に入れておいてください」
「まだ、ちびちゃんだもんねぇ」
そうなんですよね、だから、こんなに早くデビューするとは
ですが、でも、待ち構えられてるし
やる気があるんだから、お任せしちゃいます
水をいっぱい飲んで、お風呂洗濯もがんばるみたいだから
無理しないようにまずは、朝とお昼の二時間仕事にすることで
決着がつきました
コムムンたちには、学校の各所各人に渡して
お掃除をがんばってもらう予定にしてます
図書館の掃除をってリーナさんから懇願されてるの
みんな知ってるもんね
あそこは埃がすごいからやりがいがあるって
ラムムン経由でコムムンたちのやる気満々度合いを伝えてくれた
あとは、喫茶店のカールさんのところ
上はきれいにしてるけど
細かなところがね、と、裏事情を見せてくれたけど
見ない方が精神衛生的によかった
そういえば、この宿に最初来た時、ベッドの下の埃とかに泣いたよね
使ってなかったから当たり前だけど
ラムムンのおかげで天井から床まで、ぴっかぴかのつっやつや
ワックスのようなものもかけてくれたらしく艶ピカで
たぶん宿の中で一番きれいな部屋です
「おはよーございますー」
みんなでぺっちょんぽっちょん降りていきますよ
あとでろでろとも
階段の掃除おしまいです
うんうん、無駄がないそつがない
「おはよう、アン」
「あれ、今日卵の日でしたっけ?」
大量に割られた殻
「ちがうわよ、好きでしょ」
うん、ラムムンたち卵の殻好きですよ
「今日からがんばってもらうからね、ご褒美だよ」
最初に渡していいのかなって思っちゃうけど
みんな釘付けだから、もう今しかないよね
「じゃぁいただきますね」
おばさんが、どうぞ、といった途端、割り振りが瞬く間にされて
もんぐりと殻は吸収されていった
しあわせーと黄色い核に変わる
「あらあら卵みたいになっちまってからに、焼いちゃうよ」
そう言われて青くなって
おばさんはからかって遊んでる
シーツは本来剥がなくてもいいんじゃないか
という話が従業員の人から出たけど
ラムムンが、でろりと広がらないといけないし
どうせ敷き直すなら、新しいのに変えるほうが早い
今日から、おばさんと私はシーツを剥ぎ取って五部屋毎に
プロロンを放り込む
自分で移動できるから、開いてる五部屋を勝手に移動してくれる
シーツは、真ん中にいるラムムンに放り込み
コムムンたちに食堂や廊下などの掃除を任せる
部屋の中には当然荷物もあるから、終わったらさくさくと閉めていく
まぁこの時間はみんな外出てくれるから
大丈夫だけど、もしもってことがあるから、見張りは必須
「楽だねぇ」
おばさんがそう言った
私は頷く、いつもより数倍早く終わった
部屋もチェックしたけど、問題なしで、もう一人前といってもいいかも
「完璧だよ、プロロン」
どやぁは引き継がれてました、うん、どゃぁしていいよ
ほんとすごいもん
一回目で、掃除してない部屋もスライム掃除出来そうだね
と朝食を取れるぐらい時間ができた
みんなでそろって食事提供前の朝食って、ほんとに久々かも
「これはいい」
おじさんが嬉しそうに笑う
つむりと、プロロンをつつくと、好きよーときゅるりと巻き付き
その巻き付かれた指を握手するようにおじさんは上下に小さく振った
ちびちゃんのプロロン 大活躍の巻きー




