2010/06/21 1:32
◆2010/06/21 1:32
【●●●……●……】
「……ごめんね?」
月下。暗闇の部屋。明かりは障子からの月からの光だけ。それでもこの部屋にいるのは1人だけだと分かるくらいの光。しかし少女は呟く。まるで自分以外の存在に話しかけるように。
「いたっ……」
【●……●●●……】
布団のなかで苦しそうにする少女。少女は寝巻であろう浴衣から伸びている脚をさすっている。痛みが和らぐことがない。痛みを少しでも和らげようと深呼吸をする。ふと、宙へと視線を上げる。少女の目には確かに、映っていた。
「ひっ……」
【……】
少女はもがく、もがく、もがく。なにかに締め付けられる華奢な体。よわよわしい抵抗。少女はのたうち回る。逃げたい、でも逃げることなど、不可能。なにかは少女を逃がさない。獲物を口にした蛇の様に。決して、離さない。
「あっ……かはっ……く……」
【●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●】
少女の抵抗など、赤子の力なのだろうか。部屋に響く、骨が軋む音。少女の口から洩れる、わずかな悲鳴。布の擦れる音。何もかもが絶望の比喩となっている。
どのくらいの時間が経っただろうか。それでも、絶望の音は鳴りやまない。まるで永遠に続く拷問のように少女を苦しめる。しかし少女の目に絶望は映っていなかった。むしろ何かを分かっているような、悟っているような目をしている。
これが自分に課せられた罰なのだと。
「ご、めんなさい、おじいちゃん……」