第4話 彼女の計画 あのドタキャンには“理由”がある
前回のお話、お読みいただきありがとうございます。
ドタキャンのことを思い出したのは、その夜だった。
数週間前、拓はXで知り合ったフォロワーと会う約束をしていた。十日ほどやりとりした相手だ。性的な会話を何度か交わし、会うことになった。
その日は、もともと瞳と会いたいと思っていた日だった。でも瞳は「予定がある」と言った。悶々とした気持ちが抑えられず、フォロワーと会うことにしたのだ。
しかし、当日、ドタキャンされた。
「ごめんなさい、行けなくなりました」
それっきり、相手からの連絡は途絶えた。アカウントはまだある。でもやりとりは止まったまま。
その時は、ただの偶然だと思った。相手の都合が合わなかっただけだと。
純のメールを受け取った今、あのドタキャンは何だったのか。あのフォロワーは誰だったのか。
考え始めると、止まらなくなった。
――もし、あのフォロワーが純だったら?
いや、ありえない。あのアカウントは、純に教える前にやりとりしていた。でも、もし純が、もっと前から俺のアカウントを知っていたら? もし、あの「偶然」のカフェでの相談も、仕組まれていたものだったら?
考えすぎだ。そう思いたい。でも、一度芽生えた疑念は、簡単には消えなかった。
その頃、純は自分の部屋で、別のスマホを手にしていた。そこには、もう使っていないアカウントがログインされていた。拓とやりとりした、あのアカウントだ。
「ばれていないよね」
彼女は呟いた。でも、その声に、罪悪感はなかった。ただ、かすかな興奮があるだけだった。
――彼は、私が誰か、知らない。でも、私は彼の全部を知っている。
その非対称な関係が、純にはたまらなく愛おしかった。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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