第18話 彼女の背中 第2話 彼女が“踏み出した”理由
前回のお話、お読みいただきありがとうございます。
純は、変わらず優秀な部下だった。でも、以前とは違う。
あの出来事の後、彼女は自分の中で何かが整理されたのを感じていた。拓と瞳の関係を見守りながら、自分はどう生きるのか。それを考えるようになった。
ある日、同僚の飲み会で、後輩の女性が相談を持ちかけてきた。
「純さんって、どうやって自分を見つめたらいいんですか?」
「自分を見つめる?」
「はい。私、最近彼氏と別れて、何がしたかったんだろうって悩んでて」
純は、少し考えた。
「私はね、誰かを観察することから始めたよ。自分じゃない誰かを、じっくり見るの。そしたら、自分の中にあるものに気づくことがある」
「誰かを観察する……ですか?」
「うん。例えば、電車の中の人。カフェの隣の席の人。その人の仕草や表情を想像してみる。そうすると、自分の感情も見えてくる」
後輩は、不思議そうな顔をしていた。
でも、純は本気だった。
あの時、拓を「見ていた」日々が、今の自分を作っている。でも、それだけじゃ足りなかった。見るだけでは、何も変わらないのだと、今は分かる。
「見る」から「書く」へ――その一歩を、彼女はもうすぐ踏み出そうとしていた。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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