第12話 彼女の計画 人妻の“裏の顔”を見てしまった
前回のお話、お読みいただきありがとうございます。まだまだ、話は展開していきます。
その夜、拓は純にメールを送った。
「瞳と話した。全部、分かった」
返事はすぐに来た。
「良かったですね。何があったんですか?」
「離婚の相談をしてたんだ。弁護士と。あの日は、その打ち合わせだった」
「……そうだったんですか」
「ありがとう。あの時、カフェで話してくれなかったら、ずっと疑ったままだったかもしれない」
「私は何もしてませんよ。ただ、知りたかっただけです」
「十分。ありがとう」
少し間があって、返事が来た。
「拓さん、一つだけ約束してください」
「何?」
「絶対に、瞳さんを幸せにしてください。でないと、許しませんから」
拓は、思わず笑った。画面の向こうの純の顔が、目に浮かぶようだった。
「分かった。」
「はい。じゃあ、おやすみなさい」
「おやすみ」
拓はスマホを置き、窓の外を見た。夜空には、星が散りばめられていた。
明日から、また新しい一日が始まる。疑いのない、新しい日々が――そう信じたい。
その頃、純は別のスマホを手にしていた。そこには、拓には教えていない、もう一つのアカウントがログインされていた。フォロワーはゼロ。投稿もない。ただ、拓のアカウントだけを静かにフォローしている。
「おやすみなさい、拓さん」
純は、もう一度呟いた。そして、そのアカウントで、拓の投稿に「いいね」を押した。
それは、誰にも見えない、静かな合図だった。
純は、自分の物語を、永遠に残すための、最初の記録として。
瞳は、帰宅すると寝室の引き出しを開けた。
そこには、誰にも見せたことのないノートが一冊、眠っている。
表紙には何も書かれていない。でも、中にはあの日からのすべてが――非常階段の夜、離婚の決意、拓への想い、そして、純という存在への複雑な感情。
ノートの端が、少しだけ見えていた。
瞳はそれを押し込み、引き出しを閉じた。
まだ、読まれる時ではない。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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