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闇の反射  作者: Mavi


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第1章 夢と影

闇の反射――

誰もが見過ごす日常の影に、秘密は潜んでいる。


光に包まれた世界で、少女たちは自分でも気づかぬ恐怖と向き合うことになる。

一歩踏み出せば、現実と夢の境界は崩れ、影が彼女を呼ぶ。


この物語では、光と闇の狭間で揺れる心の物語を描く。

あなたはその闇を覗く勇気があるだろうか。

挿絵(By みてみん)


霧が立ち込める森の中、夢原ひかりは必死に走っていた。

呼吸は荒く、胸が締め付けられるように痛む。

枝が揺れるたび、囁き声が耳をかすめる。

「ひかり……」

「ここにいる……」

まるで森そのものが、彼女を試すかのようだった。

足を前に出すたび、地面がふわりと沈む感覚。

不自然な森の匂い、湿った土と苔の匂い。

空は見えず、月明かりだけがかすかに差し込み、彼女の影を長く伸ばす。

遠く、かすかな光の中に、ひとりの少女が立っていた。

黒髪が腰まで伸び、静かで深い瞳を持つその少女――りん。

「逃げ続けるなら……自分を見失うよ」

その声は、森のざわめきに混ざっても、不思議と耳に届いた。

ひかりは立ち止まる。

足が鉛のように重く、体が言うことを聞かない。

世界が揺れ、森が崩れ落ちるような錯覚に陥る。

「……りん……?」

声は震えていた。

しかし、その瞳には、恐怖ではなく、圧倒的な確信が宿っていた。

りんは手を差し伸べる。

その手は冷たくも熱くもなく、ただ真実を示すかのようだった。

「つかまえなさい、自分を」

ひかりは一歩踏み出す。

しかし足は空を切るように重く、まるで森自体に押し止められているかのようだった。

その瞬間、森がざわめき、枝が伸び、空気が光に裂かれる。

閃光、悲鳴、虚無――すべてが一瞬で彼女を飲み込む。

目を開けると、汗だくでベッドの上。

心臓は早鐘のように打ち、呼吸は荒い。

しかし、鏡を見た瞬間、凍りついた。

そこに映る自分の顔は、歪んで笑っていた。

りんの微笑みと同じ形で。

瞬きをすると、笑みは消え、自分の反射だけが残る。

「……ひとりだ」

ひかりは小さくつぶやいた。


黒金あゆみにロッカーに押し付けられる日々。

「ひかり、お前は邪魔だ。惨めでいるのは飽きないのか?」

周囲は笑う。

声を出したくても出せない。

助けてくれる人はいない。

胸の奥に、重く痛む鼓動だけが響く。

心が締め付けられる。

放課後、田中あおいが追いつく。

「大丈夫?今日、いつもより元気なさそうだったよ」

ひかりは微笑む。偽りの笑顔。

「大丈夫……」

声は震えながらも、必死に平静を装う。

白崎みかも、心配そうに見つめる。

「最近、私のメッセージ返してくれないね。何かあった?」

ひかりはまた微笑む。

その笑顔の奥で、胸の痛みは消えない。


その夜、再び夢を見る。

霧の森、かすかな光、そしてりん。

ひかりは、恐怖よりも先に好奇心を覚える。

「……なぜ、私の前に現れるの?」

問いかける声は、森の静寂に吸い込まれる。

りんはゆっくりと近づき、手を伸ばす。

「自分を守る必要があるのよ。私が、あなたを守る」

ひかりの目から、涙があふれる。

怖いけれど、逃げるだけでは終わらない。

心のどこかで、りんの言葉が温かく響く。

森の中で、枝が微かに揺れる。

生き物の気配、誰かの囁き、そして闇の深み。

ひかりは知る。

自分の中に、何かが目覚めていることを。

「……私、強くならなきゃ……」

その瞬間、夢は消え、ひかりは目覚める。

汗だく、心臓は早鐘のまま。

しかし、目には小さな決意が宿っていた。


この物語は、影と光の間で揺れる少女たちの運命を描く。

読者のあなたにも、心の闇と向き合う時間が訪れるだろう。

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