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あくせく

作者: 尚文産商堂

あくせく働くのが急にバカバカしくなった。

なんでこんな発想に至ったかは全く自分でも理解できない。

でも、仕事を辞めてさっさとリタイアすることが最優先になっていた。


何かしたいというものはなかった。

でも今のままじゃだめだという漠然とした不安がからだ中を駆け巡っていた。

ともあれば、口座にいくばくかの金しかないわけだが、突然仕事を辞めるなんていう突飛な行動に至ったわけだ。


だから何かしたいというものはない。

ただ、昔からしたいと思うものはいくらかある。

一つが温泉巡り、そして旅に出ることだ。

日本中にあるいろんな温泉に入ってみたいという思いは昔からしたいことの第一位だった。

これは好機だ。

きっと自分はこれをするために仕事を辞めたんだ。

その謎の確信のおかげで、今、自分はキャンピングカーで旅をしている。

いろんな土地をめぐり、いろんな人と出会い、そしていろんな温泉や寺社仏閣に行っている。

あの時仕事をやめなければ、と思うこともある。

でも、今のこれが一番幸せだ。

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