おはようございます 只今の気温23.5℃ 湿度45%です
人間の女の子が美味しいご飯を食べたくて頑張るお話です
ピピピッピピピッ
無機質な音が部屋の中に響き渡る。只今朝6時00分。
無透明なカプセルが徐々に透明になって、パカリと開く。
私はぐーんと背伸びして、大きな欠伸。まだちょっと眠い…。部屋の電気は時間が来たら自然に電気がつく。まぶしい…。
ともかくこのままと言うわけにはいかないのでカプセルから足を出す。
「おはようございますID-2543様、4083年8月4日只今の気温「23.5℃ 湿度45%です、今日もご勤務に励んでください」」
部屋に備え付けてあるAIの言葉は今日も変わりない。毎日毎日同じセリフだからすっかり耳についちゃった。今では完璧にハモれる。
「今日も変わらないなぁ、会話機能とか付けてもいいと思うんだけど」
そう呟いても答える者はいない。虚無。
はぁ、とため息をつき、朝の準備を始めることにする。
クローゼットを開け、服を取り出す。真っ白で穿いて上まで上げた後チャックを閉めるだけの簡単で飾りっ気のない制服。
あいにく私たちが着れる服はこれだけだ。毎日毎日おんなじ服。それになんかノースリーブだし丈も太ももまでだし…無防備な気がする、男性は足首まで全部隠れるのに…。襲われることはないけど。
その後は朝の栄養補給。部屋に提供口と返却口が備え付けておりそこから配給されるのだ。
朝はゼリー飲料しかもらえないのであんまりテンションが上がらない。
今日の朝はオレンジ色のゼリー飲料だ。透明なスパウトパウチに入っていて『B-46889』と書いてあるのだが他にも種類があるのだろうか?
確かに青色とか緑色も見たことあるがそれぞれ最初のアルファベットがGだったりEだったりする。つまりそれぞれなんか違うのだ。実際違いはよくわからないけど…。
「ともかく…いただきます」
チュー…と『B-46889』を摂取する。ん~…ゼリー状だから当たり前だがプルプルしている。でも昨日より硬さはなくのど越しは柔らかい。
味は最初口に含んだときは強い酸味が口を襲ってくるのでびっくりした。その後、酸味に紛れて甘みがあるようなないような…後味に苦みが引く。あんまり好きじゃないなぁ…。
微妙においしくないゼリー飲料を食べ終え、返却口にプレートごと入れる。
さて、そろそろ仕事に向かおう。
現在6時50分
ピッとドアのロックが解除された音がした。
手首に印刷してあるバーコードをかざしたら、ウィンとドアがスライドする。
外の光がまぶしくて、うっと目を瞑る。でも、やっぱり外の空気はすがすがしいな。
これまた真っ白いブーツを履いて
白い床を踏みしめる
今日の天井プロジェクションマッピングは晴れ
晴れは嬉しい!真っ青の青と流れる雲がきれいだから
今日も素晴らしい日が始まる。
一つ不満があるとするなら、私は……
もっと美味しいご飯を食べたい!!!