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第70話 唐突な終戦

 「ア……アイシアっ!。どうしてここに……」


 「こっちの敵はあらかた片付いたしあんたの方がどうなってるか気になって見に来てあげたのよ。ここの敵も残ってるのは目の前の奴だけみたいだし2人掛かりで一気に片付けるわよ」


 「う……うん」


 僕の援護に駆け付け、目の前に立ちはだかるBS1-52君を倒そうと息巻くLS2-77の転生したアイシア。


 BS1-52君、そしてその後ろに倒れるGGZ-72さんを見逃してくれなどと言えるわけもなく、僕は先程共闘を結ぶ約束したばかりのBS1-52君と戦うことを余儀なくされる状況に陥ってしまっていた。

 

 「(くっ……ど……どうしようか、BS1-52君。LS2-77と僕の2人を相手に……それもGGZ-72さんを守りながら戦うなんて厳しすぎるよね。こうなったらこの場でLS2-77に裏切りってBS1-52君の側につくべきか……)」


 「(いや。そんなことをしたら折角侵入できてるメノス・センテレオ教団でのお前の立場を悪くするだけだ。確かに2人相手に戦うのは厳しいがこの場から逃げ出すくらいならなんとかなるだろう。できればお前も怪しまれない範囲で構わないからそのサポートをしてくれ)」


 「(わ……分かったっ!。BS1-52君の視界を曇らせる振りをして水蒸気で煙幕を起こす魔法を使うから何とかその隙に逃げてっ!)」


 【転生マスター】のテレパシーによる通信で相談を行った僕達はLS2-77から怪しまれないよう普通に戦う振りをしながらBS1-52君とGGZ-72さんをこの場から逃がす算段を立てた。


 まだ僕と双子の兄妹である7歳の子供とはいえ『味噌焼きおにぎり』の《《転生マスター四天王》》の1人であるLS2-77を出し抜くのは難しいだろうがやるしかない。


 LS2-77に悟られないよう互いに本気の姿勢で戦いの臨む覚悟を決める僕達だったがその時……。


 「待って下さいっ!。これ以上の戦いをする必要はありませんっ!。直ちに戦闘を中止して下さいっ!、ヴァン君っ!、アイシアさんっ!」


 「えっ……。ブ……ブランカさん……」


 「はぁっ!。目の前に敵がいるっていうのに戦いをする必要がないって一体どういうことよっ!」


 僕達の戦いが開始される直前のところで僕達の部隊の指揮官であるブランカがこの場に姿を現した。


 大分離れた丘の上から大声を上げて僕達に戦闘を中止するよう命令してくる。


 現在は魔王アークドー軍のアークシア要塞を攻略する為の作戦の真っ最中のはずなのに一体どういうことなのだろう。


 まるで突拍子のない命令に僕とLS2-77も戸惑いを隠せずにいたのだが更にそこへ……。


 「今すぐ戦闘を中止しろっ!、ウィザークっ!。もうこの戦いは終わりだっ!」


 「何だとっ!。それは一体どういうことだっ!、ギルシディルっ!」


 ブランカとは反対側の丘からBS1-52君達魔王アークドー軍側の指揮官と思われる竜人(ドラゴニュート)が姿を現した。


 GGZ-72さんと違って人間の面影はなく巨大な蜥蜴とかげが二足歩行となって立っているような姿をしていたのだが、ギルシディルという名で呼ばれるその指揮官の竜人(ドラゴニュート)はブランカと同じようにBS1-52君達に直ちに戦闘を中止するよう指示を出す。


 僕達の合同部隊とその敵である魔王アークドー軍の両軍に対し同時に戦闘中止の命令が出されるなんて一体何が起きたというのだろうか。


 疑問を抱かずにはいられない状況だが、僕とBS1-52君達にとっては戦いを回避する為の格好の口実ができた。


 「(全く理解できねぇ状況だが俺達にとってはラッキーだったな。この場は大人しく互いの軍に戻って共闘の件はまた日を改めて話すことにしよう)」


 「(分かったよ。それとGGZ-72さん……じゃなくてアイシーンさんって謂ったけ?。軍に戻ったらちゃんと手当てしてあげてできれば仲間として良くしてあげてね。ちょっと気が強くておっかない一面もあるけど転生してるのは仲間思いでとても頼りがいのある魂だから)」


 「(ああ。俺もアイシーンとは出会ったばかりだが結構気に入ってる奴だから心配には及ばねぇよ。……それじゃあな。まだ正体はバレテないみたいだが『味噌焼きおにぎり』の連中には十分気を付けろよ)」


 「(うん……。それじゃあBS1-52君も気を付けて……)」


 互いに戦闘中止の命令が出ているとはいえいつまでも敵対している相手の者達と共にいるわけにはいかない。

 

 【転生マスター】のテレパシーによる通信で別れを告げた後僕とBS1-52君が互いの味方の軍の元へと撤退していく。


 その道中で戦闘中止の命令の理由を強く問い質す僕達であったがブランカにも詳細な理由については知らされていないようだった。


 その説明を受ける為にヴェントからメノス・センテレオ教団の幹部である僕達に本部へ帰還するようにとの命令も出ているようで、僕達は配属されたばかりの陣営を後にしてヴェントの待つカレイジャス城塞へと向かって行く。


 「しかしアークシア要塞攻略作戦の真っ直中であったというのにいきなり作戦中止の命令が出されるとは一体どういうことだ……。戦局が特別不利であったわけではないし撤退する理由などなかったはずだ」


 「さぁ……。だが戦闘中止の命令はどうやら魔王アークドー軍側にも出されていたようだ。もしかしたら私達の知らぬ間に両軍の間で新たな条約が結ばれたのかもしれん」


 「新たな条約って……まさか停戦協定でも結んだっていうのかよっ!。俺達を部隊に招集した直後だっていうのにそんなの冗談じゃないぜっ!」


 「まだ条約が結ばれたかどうかも分かっておらぬというのに要らぬ憶測をするでないっ!。何にせよ急を要する事態が起こったということじゃろう。もうすぐリヴェラ閣下から理由が説明されるのじゃから今は大人しく待っておれ」


 カレイジャス城塞へと戻った僕達だがその本拠の内部は同じく突如として帰還を命じられた者達で溢れかえっていた。


 皆作戦中止の理由が理解できずに騒がしくしている。


 そんな中ヴェントが人混みを掻い潜って到着したばかりの僕達を迎えに来てくれた。


 「こっちだ……皆」


 「ヴェン兄っ!。折角私等の部隊がアークドー軍の連中を蹴散らしまくってる最中だったのにいきなり作戦を中止にするだなんて一体どういうことよっ!。まさか他の部隊の連中がとんでもないヘマでもやらかしたとかじゃないでしょうねっ!」


 「だとしたら魔王アークドー軍側にも戦闘中止の命令が出ている理由が説明できないよ、アイシア。僕達がいくら考えたところで理由なんて分かりっこないしリヴェラ閣下の説明を聞いた方が早いよ」


 「ヴァンの言う通りだ。皆リヴェラ閣下の元へ案内するから着いて来てくれ」


 ヴェントの案内に従って僕達はリヴェラ閣下が僕達への説明の為に特別に用意した部屋へと案内されていく。


 厳重な警備の施された重苦しい雰囲気の地下の空間へと連れられていきこの時点で余程重大な事態が引き起こったのだと僕達は感じていた。


 そんな地下の空間の一室へと連れられて来た僕達の目に飛び込んで来たのは……。


 「失礼致します、リヴェラ閣下。我々メノス・センテレオ教団の幹部の者達を連れてまいりました」


 「失礼しま……ってっ!。あ……あれはっ!」


 「………」


 僕達の連れられて来た地下室にはリヴェラ閣下にクレイヴァーさん。


 それにこの合同部隊に参加している組織の幹部級の者達が集められていた。


 部隊の混乱を防ぐ為に重要な役職に就く少数の者達に対してから事態の説明をするのは当然のことだが、その皆に囲まれて部屋の中央に立つ1人の人物の姿を見て僕達は驚きを露わにする。


 その者の姿は甲羅のように固そうな赤い皮膚に覆われた顔から真珠のような瞳のない丸く真っ白な目が飛び出したように付いており、下顎が何層にも別れ口がまるで縦についているかのような形状をしていた。


 甲羅のような赤い皮膚に覆われているのは顔だけではなく全身であり、右側の腕の先は巨大な鋏の形状をしている。


 それは明らかに人間ではなく……。


 蟹のモンスターと思われる姿をしていたのだった。

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