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第30話 アイテム配布

 「あの……それでハーディンさん。実はこれも錬金術師としてパーティに参加させて貰った貰った者の務めだと思って皆に配布する為のアイテムを錬成してきたんだけど……」


 「えっ!、それは本当かいっ!。ギルド認定の依頼を受ける際は出立前にギルドから必要最低限のアイテムが支給されることになってるからそこまで気を遣わなくても良かったのに……。先に僕がちゃんと説明しておくべきだったね。ごめんよ」


 「いえ……。でもそういうことなら僕の持って来たアイテムはやっぱり要らないかな……」


 「そんなことないよ。君の錬金術師としての腕前は試験でしかと見させて貰っているし支給品のアイテムより断然良い性能をしているだろう。性能の良い方を持っていた方が良いに決まってるし早く皆に配ってあげてくれ」


 「分かりました。それじゃあ……」


 ハーディンからの許可を得て僕は錬成してきたアイテムをパーティのメンバーへと配布していく。


 詳細な能力までではないがメンバーのジョブについては事前にハーディンから知らされていたからぞれぞれの役割に応じたアイテムを錬成して持って来たのだが果たして皆の反応はどうだろうか。


 「こ……これはっ!。火属性強化の魔石の中でもトップクラスの性能を誇る『紅蓮ブライト・レッド』じゃないかっ!。いつの間にこんなの錬成できるようになったんだっ!、アルっ!」


 「こっちの霊薬ポーションもまさか……。魔力回復系霊薬(ポーション)の錬成法の中でも最高難易度と謂われている『ラーイル式』を用いて錬成されたものじゃないっ!。こんなの普通の店だったら1瓶買うだけでも3000メグト以上の値はするわよっ!」


 「いやホント……。試験の時も凄かったけどまさかその時より更に数段も価値の高いアイテムを錬成して来てくれる夢にも思わなかったよ」


 「試験の時は時間制限があったからね。それに素材だって一通りの物は揃っていたけど高価なものは用意されてなかったみたいだし……」


 不安があったけど僕の錬成して来たアイテムに対する皆の反応は上々だった。


 コズミさんが僕の錬成して来たアイテムを価格で評価してくれていたけどメグトとはこの世界の通貨の単位のことだ。


 皆喜んでアイテムを受け取っていたのだが、只1人バージニアさんだけは受け取るどころから一向に僕の持って来たアイテムに目を向けようとせず無言のままツーンとした態度を続けていた。


 そんなバージニアさんに僕は勇気を出して自分からアイテムを手渡しに行くことにする。


 「あ……あの……。もし良かったらバージニアさんも僕が錬成してきたアイテムを受け取って……」


 「……いらねぇよ」


 「えっ……。でも皆にもギルドで支給されるアイテムより性能が言って貰えてるみたいだし……」


 「しつけぇな……いらねぇっつってんだろっ!」


 ……っ!。


 練成してきたアイテムをきっかけに少しでもバージニアさんに歩み寄ろうとした僕だったが見事に跳ね付けられてしまった。


 どうやらこれは相当疎ましく思われていそうだ。


 「バージーっ!。折角アル君達が好意的に接してくれてるのにその態度はないだろうっ!」


 「ちっ……うっせぇな……。私がいつもアイテムを必要としねぇことはてめぇ等も知ってんだろ」


 「そうじゃなくてアル君達への君の態度を怒ってるんだっ!。これはリーダーからの命令だっ!。今すぐアル君達にちゃんと謝罪しなさいっ!」


 「ふざけんじゃねぇっ!。正式なライセンスも持ってねぇひよっ子になんで私が謝らなきゃならねぇんだっ!。リーダーだからって勝手にこんなうざってぇ奴等連れて来やがってよっ!。……けっ!」


 「あっ!、こらっ!、バージーっ!。何処へ行くっ!?」


 「ちょっと煙草たばこ吸いに出てくるだけだ。待合室ここで吸ったらまたお前等文句言ってくるだろうがっ!」


 ダァンッ!


 っと勢いよく扉を閉めると共にバージニアはそっそとした様子で部屋を出て行ってしまった。


 扉だけでなくこれからの僕達との関係まで閉ざされてしまったような気分だ。


 こちらから寄り添おうとしてもまるで取り付く島を与えてくれない。


 「はぁ……どうやら滅茶苦茶嫌われてるみたいだね……僕達」


 「そんなことはないよっ!。バージーは只僕が独断でパーティの編成を決めてしまったことに腹を立ててるだけさ」


 「でも折角錬成してきたアイテムも受け取って貰えなかったし……」


 「あっ……出て行く前に自分でもチラッと言ったと思うけどバージーが通常のアイテムを必要しないのはいつものことでね。今回もちゃんと自分専用のアイテムを持参にして来てのことだからアル君達のことが嫌いだから受け取らなかったってわけじゃないから気にしないでやってくれ」


 「専用のアイテム……」


 「そうだ、アル。それにもしあいつが本当にお前達のことを嫌ってんなら俺達に遠慮なんかせずとっくにこの場から追い出されちまってるよ。あいつは元々人見知りな性格をしてやがるんだ。打ち解けるのには結構な時間が掛かるだろうがまぁ我慢してやってくれ」


 「ドン兄さん……」


 ハーディンさんやドン兄さんはああ言っているがあのような態度を取られて不信感を抱くなという方が難しい。


 しかしだからといってあの人の前に折角冒険者として名を上げるチャンスを辞退するのもあれな気がするしここは我慢するしかないか。


 他の皆とはそれなり上手くやれそうだしまぁ仕事に支障をきたすようなことはないだろう。

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