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天真爛漫おてんば娘は異世界を自由気ままに満喫したい  作者: cvおるたん塩
第一章 貴族の生活編
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幕間 シエラという存在

 最近よく見る夢がある。

 親しい男の人と、何かを楽しそうに見ながら語っている夢だ。しかし、その男が誰なのか、何を見ているのか、何を語っているのか、そもそも本当に男の人と語り合っているのが私なのかわからない。


 この夢を見るたびに思う。

 そもそも私は誰なのだろう。


 私に前世の記憶はあるが、それは知識としての記憶、そして人格だ。しかし、前世の私がどういう人間だったのかは思い出せない。ただ、あるのは感覚だけだ。


 では私は前世の記憶を持った「シエラ」なのかといえば、そうでもない。恐らく、今の私の人格のベースは前世の私だ。


 なら、今の私はいったい何なのだろうか。

 私は前世の記憶があり、現世での出来事を「前世でもこういうことがあったな」と思い出すことがあったり、何かあったとき、前世の記憶を頼りにしたり、そもそも行動原理自体前世の私がベースになっていたりする。それなのに、自分がどういった人間なのか全く思い出せない。友人との楽しい思い出はあっても、その友人にどう接していたか思い出せない。家族に至っては両親がいたという記憶以外がなく、名前も顔も、声も思い出せない。もっとひどいものだと、自分の顔や声どころか名前も思出せない。

 シエラに乗り移った私という存在。少なくとも元居たシエラではないが、私でもない。しかし、シエラではないはずの私がシエラとして生きている。よくわからない。自分でもいまだに整理がついていない。


 エレノア邸の書斎で本を読んだ時の違和感もいまだに拭えず、考えるたびに胸が痛くなる。

 なぜか勇者壮馬に私の事を教えた神が恐らく私の転生にも関わっているのだろうが、一切私に接触してくる様子はない。


 もしかしたら、勇者と戦ってきた歴史がある魔王——魔族たちなら私の事もわかるのだろうか。精霊なら、天使なら私が一体何者なのかわかるのだろうか。

 少なくとも家にいては何も進展しないだろう。しかし、勇者と旅していればきっと私が何者なのか、その答えに近づけるはずだ。


 きっとこの先の旅ではたくさんの人、たくさんの種族に出会うだろう。獣人、エルフ、魔族、もしかしたら勇者の末裔にも会えるかもしれない。運がよければ竜もいるかも。


 その中で、答えを見つけたい。


 私はいったい何者なのか。私はなぜシエラとして転生したのか。その答えを——


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