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運動会 ①

 さて、本日は運動会である。

 正直言って、朝から僕はそこまでやる気が出ていない。

 元々、運動が得意ではない僕は少し面倒だなと思っている。


 

 寝ぼけながらリビングに向かえば、乃愛がお弁当を作っていた。乃愛は本当にいつでも元気だなと僕はそんな風に思う。



「博人、おはよう」

「おはよう……。乃愛は朝から元気だね」

「うん。私は博人のためにお弁当作るの楽しいし。博人と一緒に運動会に参加するのも楽しいし」

「そっか」

「うん。博人はまだ眠そうだね」



 乃愛は僕に近づいてきて、にっこりと笑っている。



 僕も乃愛みたいに常に元気だったら……想像出来ないけれどもっと暮らしも違うんだろうなと思った。常に元気だったら何かこう……色々とやりたいことが沢山ある活動的な感じになるのだろうか?




「博人、朝ごはんちゃんと食べないと駄目だよ」

「うん」



 それにしても凄く眠い。

 まだまだ寝ぼけている僕は椅子に腰かける。



 そうすれば乃愛が甲斐甲斐しく、僕の前に朝ごはんを持ってくる。あと飲み物もコップについで持ってくる。



 お弁当の残りではなく、別に朝ごはんを作っているらしい。





「ほら、博人、口開けて」

「いや、自分で食べるよ」

「でも眠たそうだよ?」

「……大丈夫だよ」



 乃愛が食べさせてくれようとしているが、僕は首を振る。

 少し寝ぼけながらも朝ごはんを食べる。



 寝ぼけていて、少しご飯を溢してしまった。

 乃愛は元気よく隣で食事をとっている。





「寝ぼけている博人もいいよね。私が運動会で頑張ったらご褒美だからね」

「……うん」

「抱きしめてキスしてくれたりする?」

「う……いや、それは流石にしない」




 危ない。寝ぼけたままついつい頷いてしまいそうになった。乃愛はそれを狙っていたようで、不満そうな顔をしている。

 そんな不満そうな顔をしても駄目なものは駄目である。





「じゃあ、一緒に寝るの!」

「……それはやめた方がいいでしょ」

「旅行の時も一緒に寝たから大丈夫だよ。今度は一緒のベッドで寝るの!」

「……それ以外で」

「じゃあ私から博人に沢山抱き着く権利もらう!」

「……うん、じゃあ、それで」



 ご褒美をもらわないという選択肢は乃愛にないみたいなので、寝ぼけた頭のままとりあえず頷く。



 母さんが何だかニヤニヤしているけれど、それは無視である。どうせ、僕と乃愛が仲良しだなとか思っているだけだと思う。






「博人、乃愛ちゃん。私たちも見に行くからね」

「うん」



 母さんたちも見に来ることになっている。とはいっても保護者は僕たちよりももう少し後に学園に来る形になるけれど。



 とりあえず乃愛が母さんと一緒に作ったお弁当は母さん達が来る時に持ってきてくれるらしい。



 僕と乃愛は朝ごはんを食べた後に、学園へと向かうことにする。

 乃愛が寝ぼけたままの僕の手を引いている。






「博人、昨日夜まで起きてた?」

「ちょっと発売したばかりのスマホのゲームやってたから」

「ふふ、運動会前にそういうのするのは博人らしいよね。博人が運動会をなくしたいとかならすぐにいってね」

「そんな物騒な事は言わないよ」


 言ったら最後、何だかんだ運動会を当日になくすのだろうか? 乃愛は本当にブレないなと思ってしまう。



 僕たちが学園まで歩いている間、同じ学園の生徒たちの姿も見える。

 何だか、割と朝から元気そうな生徒達が多い。中にはおそらく運動が得意ではないのだろう、うんざりした様子の生徒も見かけられる。



「博人、二人三脚頑張ろうねー」

「うん、出来る限り」

「私が博人を抱えるとかならすぐ一位になれそうだけどなぁ」

「それ二人三脚って言わなくない?」

「漫画とかであったよ!」

「……実際にやったら反発ものだと思うけどね。普通に二人三脚している人からしたらびっくりするだろうし」



 運動会って、漫画やアニメで結構描かれることが多い。その中で乃愛がいうように男が女を抱えてゴールみたいなのは見かけたことはある。

 あとは運動会が描かれるものだと、借り物競争とか? 僕は面倒なお題が来たら嫌だなと思ってそれには立候補しなかった。



 大人しめの男子生徒と、あと杉山もこれに参加予定らしい。ちなみに何で借り物競争に杉山が立候補したかといえば、ただたんに面白そうだかららしい。これ、女神様とかを借りるとかになるのかな? そう言うイベントありそう。






「一位じゃなくても、博人と二人三脚は楽しいからいいけどね」

「一応競い合う感じの行事なんだけど、乃愛は興味なさそうだね」

「だって、ただ運動が出来るだけとか、どうでもよくない? そもそも私より早い者なんていないしさ」



 はっきりとそう言い切った乃愛は、やっぱり神様らしい傲慢さが見え隠れしているように見えた。

 僕も運動会で優勝しようがどうでもいいとは思っている。世の中には運動会で全力を尽くす熱血な生徒もいるだろうけれど、僕はそういう風に全力を尽くすような性格でもない。



 そんなこんな話しているうちに、学園に到着した。

 生徒たちはとても盛り上がっている。




 



 

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