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魔物の存在を感じて、震えてしまう ①

 杉山がどのような『勇者』なのかというのを考えていても、実物を見てみないとどうしても分からない。そもそもそんな現場に遭遇したら僕は怖いけれど。



 それか話を聞いて推測するぐらいかな。

 でも結局話を聞いていたとしても、想像がつくか分からないけれど。



 そういえば、杉山たちは異世界に行った話をしていた。異世界で王様と食事をしたり、魔物を倒したりしていたようだ。あとハニートラップにも合いそうになっていたらしい。そんな風な話を聞いて、高校生でそういう目に合うなんて大変だなぁと他人事ながら思った。



 フラッパーさんたちの話を聞いている限り、結構露出の激しい女性や、なりふり構わない貴族令嬢に襲われかけたりしていたっぽい。そういう風な目に異世界であっていたら、この高校で女子生徒にきゃーきゃー言われても何も感じなくなるのかもしれない。



 一週目の高校二年生の時は、杉山が行方不明になった影響で、杉山を狙っていた女子生徒たちは他の男子生徒と付き合ったりとそれぞれの道を選んでいた。それなりに幸せそうに過ごしていたのが頭に残っている。

 ……でも杉山がいる時間軸だと、そういう女子生徒たちも杉山を狙うのだろうか。時間が遡って、やり直すって結局何かが違えば、前の時間軸と違う道を選ぶものも多いだろう。僕だって、杉山たちがいて、異世界からやってきたフラッパーさんたちの存在に、前とは違う生活を過ごしているし。



 ただフラッパーさんたちが周りにいるから、杉山にアプローチ出来ない女子生徒も多いみたいだけど。

 というか、異世界だと一夫多妻制とかなのかな? 日本だと一夫一妻だけど、フラッパーさんとルードさんは、どちらかしか選ばれなかった場合、ぎすぎすした関係になるんだろうか? これだけ僕の目から見ても杉山に好意を抱いている事が丸わかりなのだけど、気づいていないのか?





「聖竜様は相変わらず神秘的でしたわね。あのお方に認められているひかるはやっぱり流石ですわ。わたくしも、ひかると共に聖竜様の前にたててとても光栄ですもの!!」

「『勇者』であるひかるは聖竜様に気に入られているものね」




 ――せいりゅう。なんてまた新たな単語が出てきた。耳で聞くと、どの漢字だろうか? と疑問に思い?

 青いって字? でもそれにしてもありがたがっているから、聖なるっていう方かな? 異世界だとやっぱり”りゅう”は竜って漢字の方か? 中華系だと、龍の方で細長いイメージだけど、フラッパーさんたちを見る限り、竜だと思うけれど。





 それにしても竜ってやっぱり大きいのかな。聖竜なんて呼ばれるものだとやっぱり数十メートルぐらいある? そんなものが目の前にいたら僕は気絶する自信がある。そんなものが目の前にいても杉山は平然としているのだろうか。



 それだけこの一年で杉山が普通とは違う、『勇者』として暮らしていたという証なのかもしれない。






「聖竜様は本当に綺麗な竜だよな。あんな神秘的な存在が俺と会うと嬉しいと言ってくれるとそれだけで嬉しいんだ」

「ひかるは本当に謙虚ですわね。貴方はわたくしたちの世界の英雄なのですから聖竜様も感謝するのも当然ですのに」



 そんな言葉に、世界の英雄かぁなどと思う。



 『勇者』ってその国を作って『勇者』と呼ばれるパターンとかもあるけれど、杉山は本当に異世界全体の『英雄』ということなのだろうか。というか、たった一人の人間に全てを託す異世界ってなんなんだ? って僕は思うけどさ。



 『勇者』がいなかったら、滅びる世界ってこと?

 などと突っ込みどころが多かった。流石にそんなことを口にされたら注目されるし、僕に常識改変がきいてないことをバレてしまうし。





 僕の存在を誰にも悟られないなら、竜とか見てみたい気もするけれど……。でもそんな超人的な能力は僕にはないので、そういう魔物的な存在には一切会いたくないって思うけど。





 そんなことを思いながら僕はのんびりと学園生活を送っている。今の所、突っ込みどころはとても多いけれども、平穏な生活は送れている。

 それでも……異世界からやってきた者たちや、杉山がいることで一抹の不安を感じてならない。







 その日、僕は授業が終わってから、いつも通りにさっさと教室を出る。教室には長居しないことにしている。というのも、長居しているとおせっかいな生徒とかが一緒に出掛けようなんていってきたりするから。

 実際に杉山がそうやって取りまとめているのを見かけたりしたし。正直言ってカラオケとかに人と行きたくない。行くなら一人で行くからいい。




 そんなことを思いながらさっさと帰路についていたら……、謎の声が聞こえてきた。






「がうがうがうあああああ」




 何かの叫び声か、鳴き声なのか。……人の声だろうか、違うものの声だろうが、何にせよ、何らかの厄介ごとに巻き込まれそうで怖いので、僕は早歩きをして家に戻った。

 その最中に驚くほど周りに人がいなくて、不安な気持ちで一杯になってしまった。

 家に帰ってしばらくして、ネットでその情報が出てないか確認したけれど何処にもそう言った情報はなかった。







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― 新着の感想 ―
[一言] 誤用になるのかな? 一介の不安ではなく、一末の不安ではないかな?
[良い点] 伏線をはって、最後に少し回収するの、いいですね。今度、少し真似したいと思います。気になるところを読者に提示して、興味を引くのはすごいと思います。
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