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薄井君は気づいているけど、気づかないふりをする。~高校三年生に上がったはずが、二度目の高校二年生を過ごしている件~  作者: 池中織奈


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文化祭の準備 ⑤

3/6 四話目



 執事服とメイド服は裁縫が得意なクラスメイトたちの手によってつくられているわけだが、乃愛は裁縫も得意らしい。

 というか、やっぱり乃愛は女神なので、万能感がある。出来ない事なんてないのだろうと思う。


 でもあんまりやる気は出てないみたいだ。



「博人の服だったら、喜んで作るのになぁ。あ、でも博人は執事駄目だよ。だって誰かが博人に執事として仕えられるって嫌だもん」

「面倒だし、やらないよ……」

「ふふ、良かった。ねぇねぇ、博人の服、今度縫ってもいい?」

「うん」



 とりあえず乃愛は結構独占欲が強そうなので、僕はなるべく乃愛を刺激しないようにしようと思った。

 乃愛が怒っても僕にあたることはないだろうけれども、それでも周りに被害があるのはどうにかしたいし。



「博人の身に着けるもの、全部私が全部作れたら最高だよね。私色に博人を染める! みたいな」

「何言っているの? でも確かに女性向けの漫画とかでそういうの見た事ある。自分の瞳の色で染めるみたいな」

「いいなぁ、それ!」


 乃愛はキラキラした目でこちらを見ている。

 何だろう、乃愛はいつか僕の服とか全部作成するつもりなのだろうか?




「ねぇねぇ、博人。私、文化祭の準備頑張るから、ご褒美頂戴! ちゃんとさぼらずにやるから」

「何かしてほしいの?」

「んーとねぇ、じゃあ、博人から頬にキスしてほしい!」

「……ええっと、それご褒美?」

「ご褒美だよ。博人から頬にキスでもしてもらえたら私嬉しいもん。ね、ちゃんと暴れずに文化祭やりきるから」



 文化祭を暴れずに、真面目にやるのは学生としては当然のことだけど……。そもそも頬にキスって、僕女の子にそんなことをしたことないから、なんかうん……頷きにくい。



「博人、だめー?」


 ちなみにこの会話は、周りにもクラスメイトがいる状態でされている。なんか「爆発しろ」って言葉が聞こえてくるし、「頬にキスぐらい可愛いじゃない」とか聞こえてくる。

 乃愛は周りの目なんて全く気にしていないけれど、文化祭の準備中に引っ付きすぎだと思う。




 周りから頷けよというような視線を感じる。




「……僕はいいけど」

「やった! じゃあ私、真面目にやる」



 周りの視線や乃愛の視線に頷く。

 うん、僕としては恥ずかしいだけで嫌ってわけでもないし……。でも頷いておいてなんだけど、やっぱり何とも言えない気持ちになった。

 ……でもまぁ、乃愛が喜んでいるからいいか。



 ちなみに杉山たちは相変わらず、文化祭の準備を騒がしくやっている。というか、杉山たちは執事服やメイド服を着て、周りからキャーキャー言われている。



 似合うなぁなんて横目に見ながら僕はスルーである。まぁ、クラスメイトとはいえ、そこまで関わりがあるわけでのないし。





「そういえば女神様がくるって言ってたんだよな?」

「ええ。そうですわ」




 ……なんか衝撃的な言葉を口にしているんだけど。

 なんなの、乃愛のお姉さんの女神様来るの?



 女神様は影響が与えられるからあんまり来ないって話じゃなかったっけ。




「依り代の身体を使うんだと思う」

「何それ」

「本体じゃないってこと」


 乃愛が小声で教えてくれた。



 よっぽど杉山と関わりたいってことなのだろうか。杉山は異世界で『勇者』で、異世界の女神様にとっても特別な存在であるのだろう。だからわざわざ女神様がくる気なのだろう。



 そう言えば前に女神様と僕は喋ったけど、あの時の記憶は乃愛が消しているから、女神様側からしたら僕は気にしないでいい存在なんだよな。あの女神様ってやっぱり杉山にべた惚れなのだろうか。





「クダラさんも居なくなったし、ノースティア様もきっと何か起こすのだろう」



 いや、乃愛は起こす気何もないよ。

 というか、相変わらず常識改変されていると知っているとはいえ、周りに人がいるのにそういう会話しすぎじゃないか?? って毎回思う。




 杉山たちは顔がいいので、執事&メイド喫茶で売り上げに貢献することだろう。杉山もフラッパーさんもルードさんも、トラジーさんも全員が顔がいいからなぁ。異世界の有権者だとそりゃ当然だと言えば当然だけど。

 というかあれかな、常識改変って周りからするとどんなふうに見えているんだろうか。お姫様達がいても気にならないのは分かるけれど、普通に見えているとか? そのあたりは常識改変のさじ加減な気がするけれど。


 まぁ、どっちでもいいか。



「ねぇ、博人。今日の放課後出かけようよ。ゲームセンターいこー!」

「うん。いいよ」



 僕もいきたかったので、乃愛の言葉には頷いておいた。



 その日は、文化祭の準備を終えてゲームセンターで乃愛と一緒に遊ぶ。

 乃愛はクレーンゲームを取るのも楽しいようだ。というか、滅茶苦茶取っていた。お菓子とか、ぬいぐるみとか。




「乃愛、前もぬいぐるみ取ってなかった? 置く場所ある?」

「ん? あるよ。なくてもしまえばいいし」

「……魔法的なのはなるべくやめようね」

「んー。博人がいうならそうする。でも私、博人の家に浸っているし、部屋に置くものは沢山置いててもいいし。寝にいっているだけだし」


 まぁ、確かに乃愛がいつの間にか住んでいたことになっていた隣の家には、乃愛は寝る時しかいっていない。

 それ以外は僕の家に入り浸っていて、寧ろ僕の部屋にばかりいるからなぁ……。




 


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[一言] こんなに連続投稿してくださるとは 感謝です! キス、楽しみ
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