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文化祭の準備 ④



 その後、にこにこしている乃愛と一緒に一泊二日で出かける予定を立てる。

 乃愛はメイド服のままにこにこと笑っている。


 とても嬉しそうな笑みを浮かべて、旅行のことを話している。



「ねぇねぇ、ご主人様はどういった宿がいいー?」

「……高いのはなしで。母さんがお金払ってくれるとはいえ、高すぎるのは駄目だから」

「えー? 露天風呂付きで博人とまったり一緒の風呂入りたい」

「やらないから。というか、部屋も別だから」

「なんで!? 私、博人と同じ部屋がいい!! 大丈夫、安心して? 博人が嫌がるなら手を出さないから」

「……それ普通、男の台詞じゃない?」

「博人はどんどん、私に手を出していいんだよ!」



 乃愛が何だか馬鹿なことを言い出したので軽く小突いておく。

 ……というか、そういうことされても乃愛は笑っていて、もしかして乃愛って僕が何をしても怒らないとかあるのだろうか……なんて気持ちになった。

 流石にやりすぎると乃愛は怒りそうだけど。


 でも乃愛は他の人なら殺すかもだけど、僕に関しては半殺しぐらいではおさめてくれる気がする。




 結局母さんにも「別に同室でいいじゃない」って言われて同じ部屋になってしまった。ベッドは二つだけど。

 というか、乃愛も母さんも気にしなさすぎじゃない?

 



 休日の間、乃愛はずっとメイド服を着ていた。




 休日明けの学園でもメイド服をなぜか持っていこうとしていた。


「何やっているの?」

「私が博人のメイドだって学園でも見せつけようかなって」

「いや、それはなしで。せめて家だけにして……」

「博人がいうなら」



 乃愛にメイド服を持っていくことを諦めさせて、学園へと向かう。乃愛は終始にこにこしていた。

 というか、通学中も「ご主人様」って言おうとするなんてやめてほしい。ご主人様ってフレーズ気に入ったの?

 でも乃愛って女神だし、傅かれるのが当然で、こうして誰かをご主人呼びなんてしていなかっただろうから面白いのかもしれない。




「乃愛、文化祭の準備でしばらくバタバタしそうだね」

「博人と一緒に出来るなら何でも楽しい」

「いや、もしかしたらずっと一緒は難しいかもよ。同じ係でも役割分担はあるし」

「えー? 私、博人と一緒じゃないと、こういうことする気が出ないなぁ」

「いや、そういう場でもちゃんとやろうね。だって高校卒業したらずっと一緒に居れる感じではないからさ……。ちゃんと慣れた方がいいよ」

「んー……分かった」



 乃愛は少し不機嫌そうにしながらも、頷いた。



 乃愛が飽きずに僕の側にいることを望むならずっと一緒にいることは難しいのだ。

 そういうのに慣れておいた方がいい。というか、乃愛って普通に働けるんだろうか? 乃愛って神様だし……。本当にずっと地球にいるつもりなら乃愛はもっとこの地球の常識に適応してもらわないと……って思う。


 出会ってからしばらく経っているけれど今の所飽きる気はなさそうだし。

 いつか僕に飽きたらそのまま異世界に帰るんだろうけれど……。っていうか、乃愛にとって僕の人生である数十年なんて一瞬だろうし、そのくらいならって傍に居る可能性もあるのか。



 そういうことを考えながらじっと乃愛を見れば、僕と手を繋いでいる乃愛は「どうしたの?」とこっちを見上げている。




「……乃愛はいつまで僕の横にいるかなって」

「いつまでって? 博人は前々から飽きるかもって言ってるよね? 私、多分、博人のこと飽きないよ?」

「んー……そうは言われても」

「博人は中々疑い深いよね。博人のずっと隣にいるから。というか、博人が死んでも離す気ないしー」

「いや、何怖いこと言っているの?」



 乃愛は何だか笑っているけれど、離す気ないって魂でも縛るってこと? でも女神ならばその位も出来るか。

 ……まぁ、そういうのはとりあえず先のことだろうし置いておこう。



 そんなこんな話しているうちに、学園に到着する。



 教室では文化祭の話で盛り上がっていた。メイド服と執事服をクラスメイトたちが着ると思うと、年頃の男女としては色々思う所があるのだろう。ちなみにやっぱり乃愛にも着てほしいと声をかけてくる人がいたが乃愛はばっさり断っていた。


 でも教室で「私は博人のメイドだもーん。昨日もメイドだったし」とか言わないでほしい。僕が変な趣味みたいに思われるでしょ……。まぁ、いいけどさ。




 執事&メイド喫茶のメニューは簡単に作れるものの中から選ばれた。まぁ、高校の文化祭何てそんなものだ。


 フラッパーさんはもっと豪華なものにすべきでは? といってルードさんや杉山に止められていた。あとトラジーさんは、相変わらず護衛的な立場だからか無言過ぎる。

 それにしてもお姫様だとやっぱりこういう何かやる場合はとことん豪華にしたいと思ってしまうものなのだろうか。




「乃愛はメニュー何がいいかあるの?」

「んー。博人の好物?」

「……いや、僕たちはお客様側じゃないからね」

「うん。分かってる。ねぇねぇ、博人、文化祭って他のクラスのもの見て回れるんだよね? 一緒に回ろう」

「うん」


 僕も乃愛と回るつもりだったので、頷いておく。




3/6 三話目

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