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貴方のお探しの女神は、すぐそこにいます ③

「ノースティア様は何処にいるんだ! どうして姿を現わしてくれないんだ!」


 おー、怖い怖い。

 僕は情緒不安定なクダラさんの様子を見ながら怖いなとしか思えない。

 それにしても軽く机を壊すのやめてほしい。


 というか、素手で壊すってなんなの? 怖すぎる。



「私もあれぐらいできるよ!」

「はいはい。やらないでね」

「うん。やらない」


 じーっと、クダラさんが机を破壊したのを見ていたら、乃愛が自分も出来るなどと言い出した。

 僕の答えに、乃愛は嬉しそうににこにこと笑っている。何が楽しいのだろうか。




 それにしてもクダラさんがどれだけ荒れていても乃愛は全く、関わる気はなさそうだ。

 というか、クダラさんは何だかんだ乃愛に甘えている節でもあるのかもしれない。絶対に乃愛ならば自分の前に出てくれるはずだとそんな風に思っているだなんて。これで出てこないと大暴れする気なのだろうか。……此処ってクダラさんの世界でもないのになぁ。

 異世界だと女神の神獣が好き勝手してもいいのかもしれないけれど、此処、君の世界じゃないんだよ?


 って突っ込みたい。



 杉山もまぁまぁって止めてはいるけど、完全に止めれてないし。本当に止めたいなら力づくでも止めたらいいのに。クダラさんが女性体だから、そういうことが出来ないのかもしれないけれど。


 クダラさんって乃愛を追ってここに来ただけで、全く持ってこの世界で生きて行こうって気がないんだよなぁ。

 それはフラッパーさんたちもだけど。

 



 そう考えると乃愛って、僕が言ったからっていうのもあるけれど本当に真っ当な学生生活送っているなぁと思う。

 

 破壊された机は、驚いた様子を見せて、片づけていた。というか、クダラさんが片づけないのか。常識改変で異常を感じないようになっているとはいえシュールである。


 授業が始まって、乃愛に視線を向ける。

 乃愛はにこにこしながら僕の方を見て、視線が合った。

 前を向くようにと、前を指させば乃愛は前を向いた。僕も乃愛の方を向いているのもあれなので、前を向く。そのまま授業を真面目に受けて、休み時間がくる。



「ねぇねぇ、博人。私のこと、見てたでしょ? 私に何かいいたい?」

「……乃愛は彼らに比べたら真面目に学園生活送っているなぁって」

「えへへ、いい子でしょ、私!」

「うん」


 頭を差し出してきた乃愛の頭を撫でれば乃愛は嬉しそうに笑った。





 何だかその様子を見てクラスメイトたちにからかわれたりするのも、最近の日常の一部である。乃愛も嫌な風にからかわれていないので放置しているみたいだ。



 それにしても昼休みもクダラさんは荒れていた。



 そんな風に暴れたところで、乃愛は出てこないが。

 というか、乃愛はこんな隣にいるんだけど。そして乃愛はめんどくさそうにクダラさんたちのことを見ているのだけど。


 乃愛からの好感度、どんどん下がっていると思う。

 元々そういう感情は何もなかっただろうけれど。……クダラさんって、乃愛の神獣って呼ばれていて、乃愛の特別な存在って周りに認識されてそうだけど……乃愛から何とも思われてないってなんかかわいそうな気もする。




 なんでこうも色んな意味で特別な乃愛が僕の側でにこにこ笑っているのか……うん、やっぱり少し不思議な気持ちになる。



 一日の授業を終えて、乃愛から「帰ろう」と言われる。

 乃愛は嬉しそうな笑みを浮かべて、僕にくっついている。うーん、今日一日クダラさんが荒れている様子を見ても、乃愛は全くもって気にしていなかったんだよなぁ。


 というか、もう乃愛が見つからないって諦めてくれると一番良いのだけど。




「乃愛、楽しそうだね?」

「楽しいよ? 博人と一緒に居れるだけで嬉しいもん」



 それにしても乃愛は毎日楽しそうだ。

 そうやって楽しい乃愛を見ていると、僕も笑ってしまう。



 放課後、クダラさんたちと関わる事もないと思っていたのだけど――クダラさんを見かけてしまった。



 乃愛を探して徘徊しているのだろうか。

 此処に乃愛はいるのだが……本当に全然気づかなさそうな様子に、乃愛の常識改変能力や、人を操る能力って凄まじいのだなと思った。




 それにしても機嫌悪そう。

 絶対に関わりたくない。



 ……なんて思っていたのだけど、何だか機嫌が悪いクダラさんが家の塀を蹴った。その塀が崩れて、僕らに降りかかろうとして僕は思わず青ざめる。



「は?」


 だけど、乃愛が隣にいるので、それに関しては問題なかった。

 というか、乃愛はやっぱりすごいな。僕だけだったら怪我していたと思う。




 乃愛が、冷たい目をしていた。




「博人、ちょっと待っててね」

「……うん」


 あ、乃愛がちょっとおこっている。

 自分の神獣を名乗っているクダラさんが、多分、僕に怪我を負わせるかもしれないことをしたから。




 クダラさんは当然乃愛に気づいていなくて、乃愛が塀をどうにかしたのも認識していない。そんなクダラさんを乃愛は思いっきり蹴りつけた。いつの間にか、元の姿に髪や目の色も変わっているし。着ている服も制服ではなくなっている。



「ノースティア様!?」


 声をあげるクダラさんに、乃愛は容赦がなかった。




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― 新着の感想 ―
[一言] ふと思ったんだけど、足蹴にされてそうなタイプだな、と
[一言] 慈悲を与える価値も無し
[一言] 死んだな、アイツ
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