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二学期の始まり ②



 それにしても乃愛の神獣……まぁ、本人が否定しているから違うみたいだけど、そういうの自称しているけれどやっぱり乃愛が此処にいることには気づけないみたい。

 女神様だって気づけないものだから、気づいている僕がおかしいのだろうけれども。


 そして乃愛はそういう子がやってきていても気にしていない様子だ。

 乃愛にとってどうでもいいのだろう。


 杉山の声は、第一声だけが大きかったがその後は聞こえてこなかった。

 その神獣って人と話しているのだろうか。授業もさぼっているみたいだし。


 二限目が終わったぐらいでようやく教室に杉山たちは戻ってきた。

 女神様の常識改変がきいていようとも、仮にも学生として過ごすと決めたのならばちゃんと授業を受ければいいのになと正直僕は思ってしまう。




「まさか、あの方がこんな場所にきているなんて」

「ノースティア様以外には興味がない神獣様が姿を現わすということは、やはりノースティア様がこの世界に興味を持っているということなのですわ。何を考えているのでしょう……」



 杉山とフラッパーさん、授業中に声がでかすぎる。

 しかも何を考えているかって、乃愛がただ地球に留まることを望んで此処にいるとは考えていないようだ。何か企んでいるように思われるなんて、乃愛は今までどういう暮らしをしていたのだろう。


 そう思いながら乃愛をちらりと見る。

 乃愛はただにっこり笑っているだけだった。うん、後で聞いてみるか。



「ノースティア様が何を企んでいようとも、俺がどうにかしてみせる」

「ふふ、流石、ひかるですわ。ひかるがそう言ってくれると安心できますもの」

「ひかるがいれば何も問題ないだろう。それにあの方がこの世界を壊そうとしても私たちならどうにでも出来るはずよ」



 ……っていうか、ルードさん何言っているの。

 乃愛が世界を壊すみたいないい方にえーって感じだよ。まぁ、乃愛はそういうの出来るだろうけれども……少なくとも僕と出会ってからの乃愛の様子を見ているとそういうことしないと思うのだけど。


 乃愛って割と常に世界を壊しそうとか、何かやらかしそうとか、そういう目で見られていたのだろうか。散々そういう行動をしていたのならば、そういう気持ちを抱かれても当然と言えば当然か。







 そんなことを考えながらその日の授業が終わり、放課後になる。



「博人、放課後デートいこー」

「商店街ぶらぶらするだけでしょ」



 授業が終われば、すぐに乃愛が僕に駆け寄ってきた。

 無邪気な笑顔を浮かべる乃愛。僕と乃愛の会話を聞いて、何とも言えない表情のクラスメイトとかもいるけど、まぁ、それは放置。

 乃愛に手を引かれて、教室の外に出る。




「博人と放課後にお出かけ出来るの嬉しい! 楽しみ!!」

「良かったね」

「博人は楽しみ?」

「うん。それなりに。なんか面白いのないかなとか」

「ならよかった」



 そんな会話をしながら、普通に杉山たちや乃愛の神獣っていう人の隣を通ったけれど気づかれなかった。



 それにしても乃愛の神獣の人、近くで見るとこんな所に居るのが違和感しかない。

 褐色の肌はまぁいい。そういう人はいるから。でも角は明らかに人じゃないし。目が鋭くて、ちょっと怖い系だ。あと髪の色も白くて、この場だと目立つ。乃愛と一緒で人にあんまり関心はないみたいで、ちょっと聞こえてきた言葉は口が悪かった。

 あと女性型の姿なので、杉山のハーレムの一員にでもなるのだろうかって気持ちになった。



 神獣ってことは、元々の姿がありそうだけど、元々の姿はどうなんだろうか。





「乃愛の事、気づかなかったね」

「私のこと、気づくわけないじゃん? 私の能力がきかないのは、博人ぐらいなんだよ? 流石、私の博人だよね」

「あれ、もとは獣なの?」

「うん。髪白かったでしょ。真っ白な毛並みの獣だよ。博人を丸のみに出来るぐらい大きいよ」

「……本当怖いんだけど、人とか食べるの?」

「んー、ちょっとは食べてるんじゃない?」



 商店街に向かいながら人に聞こえないように小声で軽くそんな会話を交わしたが、ちょっとは食べてるかもって恐ろしいな。

 人も動物だと考えると弱肉強食で、食べられるのも異世界からしてみればそういうものなのかもしれないけれど。



「大丈夫だよ。博人は私がちゃーんと守るからね?」

「……うん。頼りにしてるよ」


 僕にはそんな恐ろしい獣と戦う力なんてないので、素直に頷いておく。



 それにしても乃愛を気にしてやってきた存在ってことは、しばらくこの世界にいるのだろうか。



 そうやって会話を交わしている間に、商店街に辿りついた。

 買い物や、軽い食事をすることにする。



 乃愛が新作アイスを見つけて、「食べたい」と口にしたので、味の違う二種をそれぞれ食べることにする。乃愛に一口ほしいって言われたから。僕も一口もらった。




 文房具店で必要なものを購入したり、雑貨屋さんで乃愛の気に入ったものを買ったりもした。そして帰宅した。



 翌日になって、制服を着た例の神獣の人がクラスメイトになっていた。

 乃愛探しのために『勇者』であった杉山のクラスメイトになり、協力してもらおうとしているようだ。



 乃愛、此処にいるけどね。



 

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― 新着の感想 ―
[一言] 杉山君達の滑稽さが際立つなあ
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