表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/121

夏の近づきを感じている ①

「ねぇねぇ、博人。博人の部屋の漫画で見たんだけど、夏って高校生にとって一大イベントなんでしょ。博人と一緒に夏の思い出作りたいなって思うんだけど。夏休みになにする?」

「……僕はあんまり出かける予定はなかったんだけど」

 



 僕がそう言ったら、乃愛が口を尖らせた。

 うん、不満なのがよく表れている表情だ。



 それにしても僕たちの日常は、乃愛が異世界に一度帰ろうとも、異世界から来た小さな存在を見かけたとしても――それでも変わらない。


 わずかに変化していても、こうして日常を送れることに僕はほっとする。だって僕は普通の高校生でしかないので、ファンタジーな世界の『勇者』だとか、魔物だとか、そういうのには関わらずに生きていきたいと思っているのだから。



 そいえばあの小さなファンタジーの生物については、乃愛が接触する予定らしい。僕は何も心配しなくていいとそう言って乃愛は笑っていた。



 で、乃愛はそういう異世界から来た存在はどうでもいいみたいだ。それよりももうすぐ訪れる夏の事を考えているようだ。

 まだ時間あるけれど、夏休みはもうすぐだ。

 というか、乃愛は神様という立場にも関わらずこういう当たり前の日常とかが好きみたいだ。……いや、自惚れでなければ僕と一緒に過ごせるからなのかもしれないけれども。

 




「乃愛が行きたいなら少しぐらいなら付き合うよ。だけど僕は乃愛と違って体力なんて全然ないからお手柔らかにね……」

「本当!? やった! ちょっとクラスの人間たちにどういうところに博人と一緒にいったら楽しいか聞いてみよう」

「……乃愛、クラスメイトの名前、全然覚えてないよね」

「ん? 覚える必要ある?」

「んー……一応覚えていたほうがいいかなって思うよ。何か声をかける時に名前分からないと話しかけにくいでしょ。顔は覚えている?」

「うん。一応顔は。覚えてた方がいいって博人がいうから」


 クラスメイトの顔は一応憶えているようである。

 うん、それだけでも乃愛からしてみれば十分頑張ってクラスメイトたちを覚えようとしているってことなのかもしれないけれど。



 

「乃愛がちゃんと、クラスメイトたちの名前も覚えてくれたら夏休みもっと、付き合ってあげるから」

「ほんとう!? じゃあ覚える」



 何だかこう考えてみると、乃愛って動物的だよなって思う。何だろう、餌に釣られて尻尾振っている犬みたいな。そんなことを言ったら乃愛は怒るかもしれないけれど。

 でも僕が何か条件にしたら乃愛が色々言うことを聞いてくれそうだなって思ったけれど、そういう慢心の心はどうかと思うし、あんまりこういういい方はしないようにしようと思った。




 それにしても夏休みかぁ。

 去年……一度目の夏休みは変わり映えのしない日常だった。ほとんど外に出ることもなく、海にいったりみたいな夏らしいことは一切しなかった。受験勉強をしていたぐらいだろうか?



 今回は、乃愛に連れられて色んな場所に行くことにはなりそうな気がする。




「乃愛、出かけるのはいいけれど僕は勉強もするから。あと乃愛が僕と同じ大学に行きたいっていうなら乃愛も、不正とかせずにちゃんと勉強してほしいんだけど」

「んー? 大学ってなんだっけ?」

「そこから? えっと、僕らのいる日本では学生って、小学生、中学生、高校生、大学生っているんだよ。で、大学は将来的にどういうところに就職したいかというのに重要な学び舎なんだよ。だから僕は自分の行きたい大学に行きたいから勉強するんだ」

「へぇ……それ、私が大学に通わなかったら、博人といる時間へる?」

「うん」

「じゃあ受ける」

「でも乃愛、僕が就職したら僕は一生懸命働くし、乃愛の相手はしてられないよ?」

「えー……」

「いや、乃愛、この世界に適応していきていくって決めたのならば、大学生はまだ僕の傍に居ても学生だしいいけど、卒業後のことはちゃんと考えなよ。家にいるでも、働くでもいいけど……」



 うん、乃愛がいつまで僕の傍にいるつもりがあるかは分からないけれども、卒業後の事はちゃんと考えた方がいいと思う。

 乃愛が実際は異世界の神様だろうとも、この世界では人間として、白井乃愛として過ごすことにしているのだから。



 僕の言葉に乃愛は考えるような素振りをして、「博人がいうなら考える!」と言い放つのだった。




 乃愛はその後、僕のスマホを見て夏のお勧めスポットを探していた。

 ちなみに乃愛はスマホを持っていない。スマホというものを見て、乃愛は面白い物と思っているようなので、今度買いに行くことになってる。


 乃愛は僕の傍にいるし、別にスマホなくてもどうにでもなる的なことを言っていたが、人間として生きるならスマホを持った方がいいと思うから。




「海かぁ。私の世界だと魔物がいるし、そういう場所って遊び場ではないけれどここではそういう遊び場かぁ」

 


 ……乃愛は海の画像を見ながらそんなことを言っていた。

 やっぱり異世界の海は危険なものらしい。



 でもこの日本でもサメとか出る時はあるし、波にさらわれたら溺れ死ぬだろうし、そういうのはちゃんと気を付けないと。

 乃愛はそういうサメとか現れても倒せそうだけど……。


 というか僕、着れる水着とかないなぁ。行くなら買った方がいいだろうか。海に入らない選択肢すると乃愛がまたむくれそうだし。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ここまで読んで既視感に気付きました。 ミスターサタンと魔人ブウだこれ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ