週末に乃愛は出かけてる。①
女神様と会話を交わして少しが経つ。
僕は相変わらずいつも通りの日常を送っていて、女神様と話していたのなんて夢だったのではないかといったそういった気持ちにさえなる。
でも確かに女神様と話したのも全部真実だ。
今日は週末。僕はのんびりと家で本を読んだり、勉強をしている。
僕の足元にクラが寄ってきてにゃーと鳴いている。乃愛が傍にいないからか、僕の側で嬉しそうだ。
ちなみに乃愛が何でいないかといえば、女神様に言われたため、一度異世界に行ってくるっていって出かけて行った。
元々平日に乃愛は異世界に行こうと考えていたみたいだけど、「高校生として真面目に授業を受けるって決めていたでしょ」と言ったら、「そうだね!」といって土日に出かけることにしたらしい。
放課後に行くことも考えていたらしいけれど、「放課後は博人と遊ぶ!」といって土日に行くことにしたらしい。
……僕が普通に行ってらっしゃいっていったら、「むー、寂しがらないの?」と不満そうだった。
寂しくないと言えば嘘になるけれど、僕は元々一人で過ごすことが好きだからいなかったらいなかったで特に問題はない。そういう本音を口にしたら乃愛が面倒そうだから口にはしなかったけれど。
クラの頭を撫でる。
動物は撫でると何だか癒される。クラを拾うまで動物を家で飼ったことはなかったけれど、こうして動物を飼うのはいいなぁと思う。
クラは僕が本を読んだり、勉強をしている間邪魔をしたりはしない。時々僕の周りをうろうろしているけれど邪魔になるほどではないし。
受験勉強を行いながら、二度目の高校二年生だからこそ大学受験では前回よりは良い所を選択できるっていう良いこともあるんだよなぁ。将来なりたいものって何だろうかってあんまり考えてもぴんと来ない。
中高生や、下手したら小学生ぐらいから将来について見据えている人もいるけれども、そういう人は本当にすごいと思う。大学生になって、色々経験していくうちに何になりたいとかそういう目標も出てきたりするんだろうか。
……というかその時に乃愛は相変わらず僕の周りにいるのだろうか。正直そのうち飽きるだろうとは思っているけれど、もし乃愛が傍にいたら……というその時の場合も考えておく必要があるだろう。その場合、僕はどんなふうに過ごしているだろうか。
乃愛が傍にいるなら……うん、なんかすごい騒がしくなりそうだ。というかあれか、乃愛もちゃんと受験するの? 何だか受験をするなんてイメージ全くないけど。でも僕が不正をしないようにいったらちゃんと授業は受けそう。……軽く一緒に受験するつもりなら勉強したらって声をかけておくか?
乃愛の場合受験に落ちたらなんかややこしそうだし。それに他の所で何かやらかされるよりも近くにいた方が変なことをしだかす時に止めることが出来るだろうし。
ただ乃愛は結構すぐに覚えたりしそうだから、受験もそつなくこなしそうなイメージしかない。そもそも乃愛に出来ないことなさそうだし。
しばらく勉強をした後、僕は母さんに名を呼ばれる。
リビングへと向かうと、母さんがご飯を用意してくれていて食事をとる。
「今日は乃愛ちゃんがいなくて寂しいわね。乃愛ちゃん実家に帰っているんだって?」
「うん」
……実家。うん、まぁ、確かに実家だろう。異世界で乃愛はどんなふうに過ごしているんだろうか?
拝まれているとか、そんな感じだろうか。
母さんも乃愛がいないことを何だか寂しそうにしている。常識改変をされていて、乃愛のことを昔から知っているつもりになっている。時々それを前提で話をふられたりして僕はなんとなく困っているものだ。
そうだね、うん、とかで大体流しているけれど。
乃愛の常識改変は他方にも広がっていて、僕が乃愛といるのが当たり前だと周りに思われている。それこそ幼いころからそうであったとされているから、ご近所さんにもそういう風に言われる。
僕はご飯を食べた後に本を買いに外に出た。よく行く本屋には乃愛も僕について一緒にその本屋にもいっている。本を購入した帰り道に、公園の横を通った時によくわからないものを見かけた。
なんか異世界の異種族っぽい小さな何か。多分乃愛とか杉山関連のものだ。僕はその存在をもちろん無視した。というか、誰も気づいてなかったし。その周りで子供が遊んでいたりして、何だか異様だった。
……あとで乃愛が帰ってきたら乃愛に報告しておこうと思う。
それにしても何のために、どうしてあんなところにいたのだろうか。女神様がいうにはこの世界に興味を持っている人もいるっていっているから、それできたのだろうか。それともそんな好意的なものではなく、この世界をどうにかしようと思ってきているのか。
僕にはどうする事も出来ないので僕はそのまま家に帰った。