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女神の来訪、記憶改変もするらしい。 ①




「ねぇねぇ、博人、今日は何をする? って、クラ!! 邪魔!!」

「にゃぁああああ」



 僕がベッドに寝転がって本を読んでいたら、乃愛が僕を覗き込んで笑っている。

 ――今日は休日。僕は何処にもいかずにのんびりと過ごそうと思っていた。乃愛はどこかに出かけたとしても、家でのんびりしたとしてもどちらでもいいと思っていそうだ。



 さて乃愛が僕を覗き込んだ時、クラが僕と乃愛の間に立ちふさがったため、なんか乃愛はクラに少し怒っている様子だ。ただ力の差は歴然なので、わざわざクラに何か力を使ったりはしないみたいだけど。



 クラは乃愛に両手を掴まれ、だらーんとされている。暴れていても乃愛は離す気はないようだ。



 それを見ながら面白そうに笑っている乃愛は、やっぱり異世界で邪神と呼ばれるような恐ろしい存在には見えない。だけど時々、そういう一面が垣間見えるから、僕は少しびっくりするけれど。



 乃愛は本来の姿には中々ならない。それは多分、この世界に馴染む努力というのをしていると言えるのだろう。僕の言葉をちゃんと聞いてくれている証とも言えるのだろう。





「乃愛、今日はごろごろする予定だったけど。勉強もするけど、本読みたいし」

「そうなの? おばさんが買い物行こうって言ってたけれど行かない?」

「んー。気が向いたら行く」

「むー、私、博人が一緒の方が楽しい」

「……じゃあ行くよ」



 何だか子供のような表情をされて、僕は思わずそう言った。

 乃愛も随分、僕の母さんと父さんと仲良くなったと思う。そのことに僕はほっとしている。でもまぁ、幾ら仲良くなっているように見えたとしても、乃愛は僕らを簡単に殺せるだけの力を持ち合わせているし、それにむすってしているより笑っている方が見ていて気持ちいいから行こうかなと思ったのだ。



 乃愛は僕の言葉に嬉しそうににこにこと笑った。



 というわけで、乃愛と僕と母さんで買い物に出かけた。ただスーパーに買い物に来ているだけなのだが、それでも乃愛は楽しそうだ。

 乃愛の暮らしていた異世界ではこんな風にスーパーに食べ物が沢山並んでいるということはないらしい。だからこそスーパー一つに来ただけでも楽しそうにしている。




「本当にこの世界は食べ物が溢れてるよね」

「この世界ってか、この日本がだけどな」

「ねーねー、お勧めのお菓子とかは?」

「僕はこれが好きだけど」

「じゃあこれ買おうかなぁ」




 乃愛は僕がチョコレートのお菓子を進めると、それを手に取る。母さんがそれを見て「買ってあげるわよ、乃愛ちゃん」といって笑いかける。乃愛は嬉しそうに微笑み、買い物かごにチョコレートを入れる。




「乃愛、あんまり食べ過ぎるとお腹壊したりしない?」

「私は大丈夫だよ。そんな風にやわじゃないから。人間、食べ過ぎるとお腹壊す?」

「うん。壊すよ」

「そっかぁ。じゃあ博人にどんどん食べさせないようにしないと」

「うん。そうして」



 それにしてもスーパーには、色んな商品が並んでいる。子供のころから当たり前に見てきた光景だから、こういうスーパーに並ぶものを見ても特に何か考えることはなかったけれども、異世界を知る者からすると不思議なものなのだろう。





 スーパーで買い物をした後、レジ袋いっぱいに購入したものを入れて持つ。乃愛が全部持つといったけれど流石にそれはアレなので、僕が結構持った。でも重かった。流石に牛乳とかお茶とか飲み物が沢山だと重い。というかこれだけ重いものを持っていても涼しい顔をしている乃愛はやっぱり普通とは違うのだとそれを実感した。



 家に帰宅して、乃愛はまるで自分の家かのように冷蔵庫をあけてかってきたものを入れていった。全然疲れていないのを見るに、体力の差を感じる。




「乃愛は元気だね」

「うん。私は結構身体動かすの得意だよ」

「……だろうね」

「博人は、もう少し身体動かした方がよさそう」

「んー、そのうち考える」


 運動不足はあまり身体によくないのは分かるけれど、運動は苦手なんだよなぁ。でも適度に身体を動かしていたほうがいいっていうのは分かるのだけど。






「あ、そういえば博人、お姉ちゃんがね、ちょっと気にしているんだよね」



 買い物を終えて僕の部屋に向かう。乃愛も当然のようについてきた。

 そして乃愛がふと告げた言葉に僕は驚く。





「乃愛の姉って……あの、女神?」

「そう。なんか私が異世界であるこの地球に留まっている理由を気にしているみたい。まぁ、私が知られないようにしているからお姉ちゃんにも博人のことは知られてないけど」

「……その女神に知られたらややこしいからやだ」

「んー。でもお姉ちゃんが博人を認識しても、そのことを忘れるようにするよ? 博人が嫌なら」

「えっと……、それはどういう……?」

「んーとね、私が望んだ時だけ博人と私を認識するようにするの。例えば博人とお姉ちゃんが話したとしても、私が改変しちゃえばお姉ちゃんは博人のこと忘れるよ?」

「……本当に乃愛って、チートだよね」



 僕は思わず乃愛の言葉にそんな言葉を告げてしまった。





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