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GWの、いつもと違う日々 ①




「博人、おはよう!!」

「ええっと、何で乃愛は此処にいるの?」

「下の人間達に入れてもらった」

「……僕の幼馴染設定なら、ひとくくりに人間っていうのやめない?」

「んー。そうしたほうがいいの?」

「うん。おばさん、おじさんとか呼びでもいいから。周りがどれだけ乃愛がやっていることに気づかなかったとしても、乃愛に違和感を持たなかったとしてもそれでも一緒に学校に通うのならばその辺はちゃんとしようよ……」


 昨日、乃愛と会話を交わした翌日。

 昨日は混乱のままに一日が終わった。




 やはり昨日のことは夢ではなかったんだなぁ……と遠い目になりながら、にこにこと笑っている乃愛と会話を交わす。


 ちなみに乃愛は、昨日僕が言った言葉を素直に聞いているからか、黒髪黒目に偽装している。あと服も母さんに借りたのか、普通の服を着ている。

 なんだろう、母さんの普段着なのに乃愛が着ると別物に見える。




「んー。じゃあそうする! それにしても人間って本当にぐっすり眠る必要があるのね」

「乃愛は寝なくてもいいの?」

「うん。別に寝なくてもどうにもならないわ。でも本当にぐっすり寝てたね」


 何で僕がぐっすり寝てただけで、にこにこ微笑んでいるのだろうか。

 異世界からやってきた人の考え方はいまいち分からない。……まぁ、それは乃愛だからなのかもしれないけれど。

 乃愛って聞いている限り異世界でも大分、目立った存在みたいだし。



 ……いや、もう本当にどうして僕の傍にそういう子がいるのだろうか。

 GWの残り数日で飽きてくれないかななんて思いながらもリビングへ向かう。



 そして母さんの作った朝ごはんを、乃愛もなぜか一緒に食べる。





「博人は今日何するの?」

「……テレビ見たり、ゲームしたりするだけだよ」

「ふぅん。そっかぁ」


 というか、普通に考えて僕は普通の日常しか送らないので退屈そうに生きている乃愛からしてみれば飽きてくれるはずとそう思いたい。



 乃愛がいるからといって特別なことをするつもりもない。


 ゲームをするために僕は自室に行く。なんか乃愛もついてきた。

 乃愛は寝転がってゲームをする僕をじーっと見ている。……うん、気にならないと言えば嘘になるけれども、乃愛のことを気にしていても仕方がない。



 そういうわけで僕は黙々とゲームをする。

 ゲームにはまってしまえば、乃愛のことなんて気にならなくなる。

 


「ふぅ」

「ふふ。博人、楽しそうだった。ゲームって楽しいんだね」



 ゲームを一旦やめて顔をあげれば、まだ乃愛がいる。

 ただゲームをしている僕を見ているだけなんて飽きるだろうに、本当によく分からない。




「……乃愛は、自分の好きな事やったらいいのに。僕がゲームしているのずっと見てても飽きない?」

「ううん。全然」



 何が面白いのかはさっぱり分からない。

 だけど、乃愛はただ嬉しそうに笑っている。




 乃愛はその日、一日僕の傍にずっといて、僕について行って回っていた。

 テレビを見ながら興味深そうにしていた。というか、母さんも父さんも当たり前みたいに乃愛を受け入れていて、本当に違和感しかない。


 こうしてただ楽しそうにしているのを見ると、ただの少女のようにしか見えない。

 だけれども、異世界の女神の妹……女神と呼ばれる存在である。……いや、本当に何でこんな子が僕に興味抱いているんだろうか。



「これはどう?」

「ええっと、どうだろ? まだ違和感ない気がする。ただの骨董だよね?」

「うん。これはただの骨董。魔法が込められた魔法具もあるけど」

「いや、それは駄目!! せめてただの骨董品とか、此処にあっても違和感ないものにしようよ……」



 ちなみに今は乃愛が売ろうとしているものを見せてもらっている。



 魔法の効力が込められているというわけのわかんないものもちろん却下。

 あとサラマンダーとか、異世界の生物が材料になっているものも却下。

 まだこの世界にあるもので出来ているものを売りにだすことを提案してみる。



 乃愛はその物がどういう素材から出来ているかも一瞬で分かるらしい。それでこの世界にあるものなのか、異世界に独自であるものなのかすぐにわかるとか、本当にすさまじい能力だと思った。




「――ふむ。じゃあ、これ売ってもらおう」



 乃愛はそう言って、目の前で何かしたらしい。

 ……僕は何かしたようには見えなかったけれど、満足気に頷いていたので聞いてみた。



「乃愛、何かした?」

「うん。これ、日本で売るように依頼した。ちゃんと違和感ないようにもしているし、他言しないようにしているから安心してね、博人」

「ええっと、うんと、誰に?」

「異世界の私の言う事聞いてくれる人」

「いう事聞いてくれる人っていうのは……?」

「そんな引いた目しないでよ。皆、私の言うことなんでも聞くから全員そういうものだよ? 私の意志でどうにかできないの博人ぐらいだよ」



 鼻歌でも歌いそうなほどご機嫌に乃愛はそんなことを言っていた。


 あと一時間もしないうちに「お金が手に入った」とか乃愛が言っていて、意味が分からなかった。

 なんだろう、乃愛はテレパシーとか使えるのだろうか。あと気づいたら乃愛が口座も配下の人に作ってもらったらしい。

 額を見たら凄い額になっていた。




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― 新着の感想 ―
[一言] おもしろい。 続きが気になる。 更新待ってます。
[一言] 適当に物を売って来てくれる人が居るのなら、金貨が一番簡単に換金できるのじゃないの。最終的には、グラム単位の重量で換金してくれるでしょう。
[一言] 薄い君なんだかんだ面倒見いいよな
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