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目が覚めたら幼馴染が出来ていたとか……どういうラブコメ ③

5/4 本日三話目




 はっ、なんだか大真面目な赤目に見つめられて、そのまま流されてしまいそうな雰囲気になっていた。

 とりあえず僕がノースティアの行いをちゃんと認識していること、人を操れる能力がきかないことで、興味を持たれているというのは分かった。


 心の中で深呼吸をする。

 そして僕は、ノースティアを見る。



「ええと、とりあえず僕に興味を持っているのは分かった。分かったけれど……、それで何で僕の所に幼馴染とかいっているの?」

「博人と一緒にいるためだよ?」

「……ノースティア、ずっとここにいるつもり?」

「うん。だって博人は私の運命なんだよ? 私が傍にいるのは当然でしょう?」

「……ええっと、そっか。うん。僕の傍にいるつもりってことね……うん、わかった」


 何だか納得は出来ないけど、無理やり自分を納得させる。




「だからこれからずっと一緒だからね」

「……ええっと、うん。僕、杉山たちと関わりたくないんだけど。ノースティアと一緒に居たら絡まれるよね?」

「それは大丈夫だよ? だって『勇者』は私の力に抗えないもの。私が気にしないようにってすれば、気づかれないもの」


 そんなことをさらりと言われてしまう。


 ……いや、本当になんというチート。なんという恐ろしい力。

 僕はそんな気持ちになりながら、ふぅと息を吐く。


 何故か目の前のノースティアは、嬉しそうに微笑みながら僕をただ真っ直ぐに見据えている。多分、本人は良い事をしていると言う感覚でそのまま口にしているのだろう。

 そう言う目で見つめられると、そのまま頷いてしまいそうになる。


 僕はノースティアにそういう風に魅了されているというわけではないだろう。ノースティアの話だとそもそもそういう風にメロメロになっていたらノースティアに反論も、自分の言葉で話しかけることも出来ないらしいから。




「ええとさ、あのさ、ノースティア、ばれないならまぁ、いいんだけど。その見た目で学園に通うつもり? その名前で?」

「そうだよ? だって皆気づかないし」

「いや、うん、あのさ。杉山についてきていたフラッパーさんたちにもずっと思ってたんだけど。日本には郷に入れば郷に従えって言葉があるんだよね」

「なに、それ?」

「その土地や環境に入ってきたならば、そこの土地に馴染むように習慣などに従うっていうか。だからさ、本当にノースティアが、ええっと、僕の幼馴染として……学園に通うとか言うのならばもっと違和感がないようにしてほしいっていうか。というか、僕には常識改変とかきかないわけで、明らかにノースティアがいるとおかしいし、違和感しかないし」


 混乱してばかりだけど、なんとか言葉を選んで言う。

 そもそも本当に日本で過ごしたいという気持ちがあるのならば、もっと日本に馴染める努力をするべきだと思う。


 フラッパーさんたちを見ていて思ったけれど、常識改変がきくからと、常識改変を信頼していて、そのままの姿で学園にいるわけだし。



 ……百歩譲って幼馴染として学園に通うなら。いや、まぁ、その段階で意味が分からないんだけど。実際は幼馴染では全くないし。

 だけれども断れる気はしないし、こんな強大な力を持っている存在相手に逆らえる気もしない。



 でも気に入ってくれているというのならば……僕の言葉を聞いてくれるはずと強い意志で言った。





「いいよー。このあたりだと黒髪黒目が正常?」


 そう言ったかと思えばノースティアは、何か不思議な力でも使ったのだろうか。黒髪黒目に変化する。

 一瞬でこんな髪と目の色を変えるとか明らかにおかしい力が働いている。



 というか……びっくりするぐらい素直なんだけど。僕、もっと反発されるかと思っていたのに。

 正直、ノースティアの反応に驚いてしまう。

 黒髪黒目でもちょっと目立つけど、白い髪に赤目よりはまだいい気がする。




「う、うん」

「あとはどうしたらいい?」

「ええ、っと名前。あのさ、僕ら日本人はさ、僕で言うとこんな感じの名前のわけ。ノースティアだと明らかに外国人じゃん? 黒髪黒目にしてくれるっていうなら日本の名前の方がいいんじゃないかなぁって」

「ふむふむ。じゃあ、どんな名前がいいの? 博人がつけて」



 何て言いながらノースティアはキラキラした目で見ている。

 僕に名づけを期待されているだと……。僕なんて小学生の頃に夏祭りで手に入れた金魚ぐらいにしか名前をつけたことがないのに。

 しかもセンスがないなんて母さんに言われたぐらいなのに。



 じーっとノースティアは僕を見つめる。

 ノースティア、ノースティア……いやもう安直だけど縮めるか?



「ええと、ごめん、僕名づけセンスないんだけど」

「いいよ? 別に? 思いついたら教えてよ」

「……じゃあ、乃愛ノアで。漢字も適当だけど、縮めただけだからアレだけど」

「ふぅん。へー。うんうん。乃愛ね。じゃあ私、此処で過ごしている時は乃愛にしよーっと! それで名字ってのもいる? なら博人と一緒でいいかなぁ」

「いやいや、幼馴染設定でも同じ苗字とかおかしいから」

「えー。じゃあ名字もつけてよ」

「……じゃあ白井で。もう本当に単純だけど、白い髪だから」



 僕には名づけの才能なんてない!!

 そういうわけで僕はそう言い切った。



 ノースティアが、乃愛が怒るかなと思ったけれどにこにこ笑っていた。



「じゃあ、白井乃愛ね。私」




 嬉しそうに隣で笑っている乃愛。

 さて、他に何を矯正したら日本人らしくなるだろうか。というか学園に通うにしても、制服とかはあるんだろうか?



 そういうわけで制服とかはどうなっているか聞いてみる。



「んー。じゃあ適当に持ってきてもらう!」

「いや、待って!! それって操った人に適当に持ってきてもらうってこと? 日本に馴染もうとしているならそういう力もなるべく使わないでほしいんだけど。あと持ってきてもらうってお金を払わないってこと? 日本で暮らすならちゃんとお金も払う!」

「お金?」

「……乃愛、異世界で買い物とかしたことないの?」

「買い物?? 存在は知っているけど、私、お金払ったことないしなぁ。皆勝手に貢いでくれるし。あ、でも金貨なら言えば出してくれるだろうけど。金貨ならあるかな?」

「……ええと、日本じゃ金貨は使えないね。異世界のお金は使えないから」

「むー。博人、注文多い。でもこんな風に私を注意する人いなかったからいいけど。じゃあ、誰かからお金もらってくる!」

「いや、待って! だから、そういう力を使った力業はしないようにって!! せめて何か売ってお金手に入れるとか、あとは働いてお金手にするとか……ちゃ、ちゃんと正当法にして」



 思わずそう言い切れば、乃愛はにこにこと嬉しそうに微笑んでいる。

 ふぅ、なんとか納得してくれたか?


 それにしても乃愛ってやっぱり普通とは違う。そもそも異世界でも普通に買い物ぐらい皆しているよね? 田舎だと物々交換とか??

 それにしてもそういうの抜きにただ物をもらっていたって……なんていうか本当に与えられてばかりだったのだろうと思った。




「ふぅん。了解。ちょっと何か売って、お金にしてもらう」

「何か売ってっていうのは……」

「異世界の私の宝物沢山あるから。皆もらった」

「……ええと、売る前に一回見せてもらっていい? せめて日本で売っても違和感ないものにしたほうがいいと思うんだよ」

「じゃあそうする」



 ……なんだろう、本当に思ったよりも乃愛が素直でびっくりする。

 というか本当にGW明けに学園に通う気満々なのだろうか?


 GW中に僕から飽きてくれることを願って仕方がない。






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[一言] 嬉しいんだろうなぁノースティアさん
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