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目が覚めたら幼馴染が出来ていたとか……どういうラブコメ ①





「ん……」


 僕は目を覚ました。

 あれ、僕、何時の間に眠ってしまっていたのだろうか。



 そこはふかふかのベッド。

 ……僕の部屋である。何時の間に僕は家に戻ってきたんだろうか。



 そうだ。僕は……ショッピングセンターに行って、そこで異常な状況に陥って――そしてあの子が。

 あの明らかに人とは違う雰囲気の少女がいたんだ。

 あの少女は人を操っていて、それでいて僕は……あの少女にキスをされて、なんか意識失って。



 それで、どうなった??



 僕はそんな気持ちになりながら身体を起こす。着ている服は、眠る前と変わらない。スマホを見ればまだショッピングセンターに向かった日であった。

 


 母さんと父さんは無事だろうか?

 ちゃんと二人とも無事にいるのだろうか。これで二人ともいなくなっていて、最初から二人ともいない事とかになっていたらどうしよう。


 というか、あの女の子から見逃してもらえたということだろうか。

 あの女の子は、恐ろしい子だった。僕が意識を失う前に何かその子が言っていた気がするけれど……、見逃してくれたってことでいいのだろうか。

 それにしても本当に生きた心地がしなかったものだ。自分の命が失われていなかったことに僕はほっとする。

 ああいう人外的なものに巻き込まれれば、一般人である僕は正直生きていられない。ああいう場で生きていられるのなんて、よっぽど運が良くないと無理であろう。




 ふぅと息を吐いて、僕は一階のリビングへと向かうことにした。



 リビングからは話し声が聞こえてくる。

 ……母さんと父さんが話しているのだろうか。というか、二人は何処まで記憶があるのだろう? あのショッピングセンターは大分悲惨な状態になっていたとおもうが、どうなっているのだろうか??

 などと疑問に思いながらリビングの扉を開ける。





「ふふ、これ美味しいでしょう」

「うむ。美味しいものね。人間」




 僕はそこにいるのは母さんと父さんだけだと思っていたのだが、予想外にそこには……褐色の肌に真っ白な髪を持つあの子がいた。


 しかも母さんが準備したであろうお菓子を食べているし。

 



 なんで? どうして僕の家にこの子がいるのか??

 そして当たり前みたいに僕の母さんと話しているのか。





「あら、博人、目が覚めたのね。大丈夫? 急にショッピングセンターで倒れるからびっくりしたのよ」

「え、うん。と、ところで、その子は?」



 僕は戸惑いながらそこにいる女の子のことを聞く。

 というか、この子、家にいると違和感しかない。こんなところでドレスを身にまとっていて、母さんのことを「人間」なんて呼んでいるし。




「何を言っているの? 幼馴染のノースティアちゃんじゃない」



 何いってんの?? と思った僕は正常だと思う。何時の間に僕に幼馴染が出来たの? しかも何で僕の家にいるの? 意味が分からなさすぎる。どこかのラブコメか何か??


 でもこの感じは明らかに常識改変が聞いていて、僕が何かを言ったとしても僕がおかしな人になるだけだしな。

 そういうわけで僕はそのことを受け入れた上で、母さんに促されるままにソファに腰かけた。丁度、ノースティアと呼ばれた少女の隣である。




 僕が隣にくれば、その子はにこにこと笑った。可愛い……ってそうじゃない! ええと、明らかにこんな訳の分からない状況は隣のこの子が産みだしている。僕の家にこんな子が入り込んでいるとか怖すぎる。

 でもこんな遠回しな常識改変しているってことは、僕ら家族のことを殺そうとしているわけではないと思う。



 だから僕は息を吐いて、意を決して彼女に話しかける。




「――ええっと、ノースティアさん」

「あらあら、幼馴染なのにどうして急に他人行事なの?」

「そう!! 私は幼馴染。幼馴染なら、呼び捨てでいいよ、博人」



 意味が分からない。

 訳の分からない状況だけど、なんか本人にも呼び捨てにしろと言われてしまった。

 そして何でそんなにご機嫌で、僕の名前を呼んでいるのか。僕は本当にどうしたらいいか分からない。




「……ノースティア」

「ふふ、何?」

「……こ、この状況がどういうことか凄く聞きたいのだけど」



 こそっと、ノースティアさん……ノースティアに聞く。

 僕は近づくのは恐ろしかったけれど、ノースティアに顔を近づけた。何故か笑っているノースティアを見ながら、僕は問いかけたのである。



「あははは、やっぱり、きいてない。博人、全部、覚えている? 私がやったことなど全部分かっている?」

「……ええ、と、うん。覚えている。あと、声を小さくしてもらえる? 母さんと父さんは全然何も覚えていないんだよね?」

「覚えているわけないでしょ。そもそも私が思う通りにならないというだけでありえないもの。大丈夫よ、私たちの声はあの人間たちにちゃんと認識されないから」

「えぇ……?」



 ……いや、もうなんなんだ。

 あの杉山たちが異世界の事を話していても誰も気にしていなかった現状が、此処でも起きているってこと??


 やっぱり目の前の子、ノースティアはそう言う風に息をするたびに常識改変を起こすようなことが出来るらしい。なんて恐ろしいんだろうか。



 僕が困惑した目で見ていても、ノースティアは楽しそうに笑っていた。

 いや、本当にこの状況はなんなの?




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― 新着の感想 ―
[良い点] やっと面白い状況になってきた!
[一言] この子の能力って、自分の思う通りのことが起こる、みたいなのかな?
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