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悪魔っぽい人の姿を時々みかける ②

24日 六話目



 また別の日、僕と乃愛がゆっくり歩いていたら目の前に悪魔っぽい人を見かけた。

 その人たちは飛んでいた。空を飛ぶ姿を見ていると、何だか不思議だなぁと思う。羽や翼は小さいのに、どうやって浮いているのだろうか?

 あの羽や翼を実際に使っているわけではなく、魔力か何かで飛んでいるって感じなのかな。



 あとは川を不思議生物に乗って移動している人とか。

 ……結構悪魔っぽい人たち来すぎじゃない?



 そして人の血を吸おうとして、杉山たちに止められている喫茶店で見た吸血鬼っぽい人とか。やっぱり吸血鬼だったっぽい。



 

「ねぇ、乃愛。こんなにずっと異世界の人たちきていると困るけど」

「まぁ、そうだよね。今だけだよ」



 部屋の中でぽつりとつぶやいた言葉に乃愛はそう答える。



 

「あの悪魔っぽい人達の事、杉山たち気づいているのかな」

「全員分は気づいてなさそう。お姉ちゃんも何だかんだ抜けているから、どうだろう?? あの勇者のために色々と動いてはいそうだけど」


 女神様は勇者である杉山のことを特別視しているので、杉山のために色々動いたりはしているようである。

 まぁ、そもそも特別視していなければ一年間時を戻したりなんかしないだろう。






「ふふ、例えばお姉ちゃんがあの人たちに負けたとしても、私がどうにかするから博人は何も心配しなくていいんだよ?」



 乃愛はそんなことを言って笑みを溢している。

 乃愛は例えば悪魔たちがこの世界で何か起こしたとしても、この世界を征服したとしてもどうにでも出来ると思っているようだ。

 というよりも乃愛なら多分、本当にどうにでも出来るだろう。


 僕もそういうことを理解出来るからこそ、何だかんだ本気であせってはいない。

 





「それより博人、遊びに出かける計画立てようよ。悪魔のことなんて放っておいてさ。どうせ、博人は知らんぷりをするのならば関わらないでしょ?」

「まぁ、うん」

「じゃあ、いいじゃん。どうせ、お姉ちゃんと勇者たちがどうにかしようとするもの。私、博人と一緒に行きたい場所沢山あるの。だから、休みの日に出かけようよー」

「何処行きたいの?」

「えーとね」



 乃愛は悪魔たちのことなど全く気にしていない様子でそんなこと言う。

 まぁ、僕も乃愛もよっぽどのことがなければそういう異世界関連に関わる気もないので、関わらないようにするために彼らが行きそうな場所以外に行くようにするぐらいだろうか。


 でも最近だと悪魔っぽい人たちって、杉山たちが居ない場所にも結構顔を出しているんだよなぁ。

 杉山たちが居る場所にだけ、そういう悪魔っぽい人たちが現れているのならばそこそこ対処がしやすいのだけれども。




 悪魔たちは何をどんなふうに起こそうとしているのかは僕には想像も出来ない。そもそもこの世界をどうにか征服して何をどうしようとしているのかもわからない。

 もし征服なんてことになったら、この世界の人たちにかけられている常識改変はどうなるのだろうか。――このままそれが解けたらこの世界は混乱するだろうけれども。




 そういう悪魔っぽい人達がこちらに来るようになったのは、杉山が勇者として召喚されて、異世界の存在が認知されたからというのもあるだろう。あとは杉山たちが行き来しているから、そういう世界に目を付けたというのがあるのかもしれない。






 まぁ、でも二度目の高校二年生を過ごしているからこそ僕は受験勉強に有利になっているし、そのおかげで乃愛とも会えたんだろうから、まぁ、良い事なのかなとはちょっと思うけど。

 多分、一度目のままだったら僕は受験のための勉強をこんなに余裕をもって出来なかっただろうし。






 乃愛の行きたい場所の話を聞きながら僕はそんなことを考えていた。





「博人、私の話、聞いてる?」

「聞いてるよ」

「ほんと? 博人は私の話だけ聞いていればいいんだからね? 他の人のことで博人がいっぱいになったら駄目だからね?」

「うん。乃愛以上に僕に関わっている人いないし、そんな言わなくても僕が一番考えているのは多分乃愛のことだよ」

「ふふ、ならよかったー。これからもそうしてね」


 乃愛は自分の考えていることをはっきりという。そこに何の偽りもなくて、乃愛は自分の気持ちをごまかすこともしない。

 そういう乃愛だから話しやすいし、付き合いやすいんだろうなとは思う。




 この世界は杉山たちのこともあり、これからどんな風に変わっていくのかは分からない。

 悪魔っぽい人達が何か起こそうとしていて、その関係でどんなふうに動いていくのだろうかとは少し思っている。

 でも多分、僕の生活は悪魔っぽい人達が何か起こしたとしてもきっと変わらない。無理やり替えられたとしても乃愛がどうにかするだろうなぁと思っている。



 そして何か起こったとしても、多分乃愛はしばらく僕の側にはいるんだろうし。

 ……というか乃愛がいるから落ち着いているのもあるだろうけど、僕は多分乃愛がこの場にいなかったとしても多分知らないふりを出来る限りしていただろうから、結局生活は変わらなかった気はするけど。







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