表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

101/121

クリスマスの近づき ③

2022/7/17 四話目



 僕は乃愛へのクリスマスプレゼントを悩んでいる。

 あとちょっとしたクリスマスに纏わるバイトも始めた。乃愛は自分も! とかいっていたけれど、「乃愛のプレゼント買うためだから」といったら嬉しそうに笑って留守番してくれた。


 ……乃愛は基本的に僕にひっついてばかりなので、僕は乃愛がいないのが何だか不思議な気持ちになっている。


 とっくに僕の日常は乃愛に浸食されていて、乃愛が僕の側からいないことが考えられなくなっていることを実感する。

 まぁ、乃愛が僕に飽きて僕の側からいなくなれば僕はそのことを受け入れるだろう。でも僕は多分、寂しいなぐらいは思うだろうなと思う。





 バイト帰りに、夜道を歩いていたら騒がしい声が聞こえてきた。




 また杉山たちだろうか? それにしてもこれだけ騒がしくても誰も気づかないあたり女神様の常識改変は中々効力を発していると思う。





 近くで戦闘音がしているというのは僕にとっては心臓に悪いことなので、さっさと帰ることにした。僕がそれに関わったところでどうすることも出来ないし。

 それにしてもクリスマス直前もドンパチやっていて大変だなぁと思う。

 異世界で勇者になったから、この世界でも異世界からやってくるものたちの対応をしなければならないということなのだろうか。

 そもそも異世界に勇者として召喚されたからといって、絶対に勇者をやらなければならないというのもなんかよく分からない感じだよなぁ。


 ああいう場合、拒否なんてしたら殺されたりするものなのだろうか?

 杉山は困っている人が居たら助けようとする性格だから、多分断ったりしなかったんだろうけれども。



 異世界召喚の仕組みってどういうものなのだろうか。

 杉山みたいなタイプが異世界に召喚されるのならば問題ないだろうけれど、召喚されるのを嫌がるタイプの人間が召喚された場合ってどうやっているんだろうか?


 そんなことを考えながら僕は歩いている。

 歩いていたら、黒い何かを見た。


 ……魔法か何かなのだろうか? というか、大量のその黒いものが僕の方に……そのあたり一帯に襲い掛かろうとしている。



 これは避けられない。

 ……どうしようかなと思いながらどうしようもないので、僕はそのままその黒い球体の物体が僕にぶつかった。


 と思ったら、何もなかった。

 寧ろ消えた?


 なにこれ?

 前方を歩いていた女性が「何か飛んできたわ」とよろけていたので人に効果がないものではないだろう。僕だから効かなかった??



 よくわからないけれど、一先ず僕はよろけた女性にかけよる。怪我はないみたいだ。それにしてもあの黒い球体のものは本当に何だったんだろう……。


 とりあえず女性に怪我がなかったことにほっとする。

 目の前で誰かが怪我をするなんてあんまりないから、正直どうしたらいいか分からないから。



 僕はそう思いながらそそくさと家に帰宅した。

 家に帰ると乃愛が「おかえりー」と嬉しそうに笑って迎え入れる




 乃愛に先ほどの件を言えば、「え? 博人に魔法があたったの? 殺す?」などと物騒なことを言っていた。



「それにしても博人は魔力を使ったものに関しての抵抗力というか、無効化というか、そういう感じなのかもね。完全にそうだから、私の力も効かない。私の力が効かないのを見るに、神力系も無効化してるっぽいよね。博人の生態は本当に不思議」

「何生態って。僕が不思議生物みたいに」

「不思議生物だよ。今まで見た事がないような生物。だからこそ、面白い。そもそもそういう能力ってだけでも珍しいのに、博人の性格も含めると天然記念物レベル」

「そんなことないでしょ」

「あるの!!」

「あれ、でも僕、文化祭の時に火は熱いって感じてたよね?」

「あれは魔力の炎と自然の炎半々だったからじゃない?」

「……えーっと、自然のもの混じっているとかあるの?」

「そりゃそうだよ。無から有を生み出すというのは、結構大変な技だもの。魔力を完全に変換するよりも、実在するものを魔力で動かした方が簡単だし、安上がりだから人間の魔法使いはそうやってるものが多いよ」



 乃愛はそう言いながら椅子に座っている僕の身体をぺたぺたと触っている。

 怪我がないかを確認してくれているらしい。



「うん。無傷。流石、私の博人は面白い」



 乃愛はそう言いながら満足気である。




「私の博人に私以外の魔力の痕跡があるのも嫌だし、博人がそういうのの影響受けない体質で良かったかも。私の博人に影響を与える存在が居たら私許せないし」



 ……相変わらず乃愛が物騒なことを言っている。あと何で何回も私のって主張しているんだろうか。


 それにしても魔力などの力が使われたものだと、僕効かないのか。

 益々乃愛以外に僕のことを悟られないようにしないと……。面倒なことに関わるのはごめんだし。



 僕がそう決意している中で、乃愛はしばらくバイト先に向かうのも送り迎えするなどと宣言していた。

 ……それでバイト先の人たちにからかわれるわけだが、乃愛が譲らなかったので仕方がない。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ