仲間
テントの中には木箱がいくつもあり、それを家具のように使っていて中心にテーブルクロスが引かれたものと本とペン、小さな丸い鏡が置いてあるものがあり、鏡に向かい眼鏡をかけた銀髪の男性がまえかがみで独り言を話していた。ナルシストってやつなのかなと思ったがナシュアさんが声をかけるとこちらを見て不機嫌そうに眼鏡をあげ、溜息をつき無駄のない動きで膝をついたのを見て神経質で恐そうな人だなと思った。
「おかえりなさいナシュアさん。貴方が前回の村で張った結界が既に壊れたと馬鹿どもから連絡が来たので補強のための指示を。全く人手不足も良いところですよ、もっと使える魔術師を育成して狩り出してほしいものです。」
「了解した。サー殿は優秀な魔法師で今、国軍から補佐の為に派遣されている。先に話を聞いておいてくれ。」
彼女が鏡の方へ行くと彼は一歩前に出て、お姉ちゃんと目線を合わせた。
「初めまして、私はサー・ダイヤモンド。魔法師をしていますがこの部隊専属では無いので基本は共に行動しません。覚えておくように。」
「初めまして、Mrサー。あなたの事は噂で耳にしたことがあります。お会いできてとても嬉しいです。」
お姉ちゃんが微笑みながら一礼する。
「それはどうも・・・二人の事は貴方の父上、ファウストさんから聞いています。早速ですがルアン・ファウスト君はウルフチーム、隣の青いテントへ。オリビア・ファウスト君はイーグルチームに。」
表情を変えず彼はお姉ちゃんをテントの外へ連れて行った。私は待つように言われたが、ナシュアさんは鏡に話し続けているし、することも無いので木箱に座った。足をプラプラと揺らして革袋から小瓶を出して、飴を一つ口に入れた。
「新人さんはどうやらお子様の様だ!」
「お子様なんて失礼だよ!お嬢さん気を悪くしたらごめんね。」
「え、はあ・・。」
一つの三つ編みになった白髪を揺らしながら私を観察する男の人と同じ顔の刈り上げられた白髪の女の人。二人は赤色の袖の広いチャイナ服を着ていて、戦っている人というよりマジシャンという印象だ。二人とここに来るまでの経緯やどんな場所で生まれたかなどを話していると、男の人がチャクラさんで女の人がチャイラさんと自己紹介をしてもらった。そしてこの部隊の事と他にも一緒に戦う人がいることについても話してくれた。