表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

転生

初小説です。緊張しています。

「ママー おままごとしよーよー」「しおー」

「ママはお客さんね」「おきゃんしゃん」

「真依は運ぶ人ね」「はごぶぅ」

「真央は作る人!なににしますかー?」「しましゅかぁ」

「じゃぁハンバーグ下さいな」

「はい!ちょっとまっててくださいね」「まってくだしゃーね」


随分と変わった夢。見たことのない部屋に変わった服を着ている。初めて見る子供たち。1人は5歳くらいのボブヘアの女の子。眉毛の上でぱっつん前髪。自作の歌を歌ってお料理中。

もう1人は2歳くらいのツインテールの女の子。こっちもぱっつん前髪。お姉ちゃんの真似っこお料理中。

知らない子達なのにどこか懐かしくて心が温かくなる。もう愛おしくて堪らない。


(ふふっ。可愛い。ちょっと前髪切り過ぎちゃったかな)


あれ?何でそんなこと思ったんだろう。


え?私が切った・・・の?



「今日は自転車で大きい公園に行こうか?」

「やったー!行くー!」「いくぅー!」


「青信号だよ!レッツゴー!」「ごぉー!」


あっ!駄目!待って!お願い止まって!!







目を覚ますとそこには見慣れた天井。白のカーテンに小花柄の刺繍が入った天蓋ベッドの中。窓には夕方なのだろう、赤く染まっている空が見える。

ここは、『今』の私の部屋。


「はぁ もう最悪」

これは前世でよく好んで読んでいた小説の、ありきたりの設定。


そう、転生だ。


私はあの事故で死んで転生したんだ。

子供達は!? あの子達はどうなったの!?

心臓の鼓動が激しく打ち、胸が張り裂けそうに痛い。

落ち着いて、よく思い出して。あの時、信号は青になって自転車を走らせた。そこに馬鹿な車が突っ込んで来て、私は吹っ飛ばされた。

まさか子供達も!?

いや、違う。子供達はヘルメットをしてきちんとシートベルトを閉めていた。だから吹き飛ばされてはいないはず。薄れ行く意識の中、視界に写っていたのは・・・

倒れた自転車に乗ったままの2人。

泣いている?

そうだ、ママーと呼んで泣いていた。2人とも元気に声を上げて泣いてた。元気に、泣いて、生きていた!!

なら、子供達は助かっているよね?駆け寄って来てくれた人もいたはず。その人達が救急車を呼んでくれているよね?ケガはしているかもしれない。でも命に別状はないはず。

だからきっと生きてる。絶対生きてる!



「お目覚めになられたのですね。本当に良かった。すぐに旦那様と奥様をお呼びして参ります」

目に涙を溜め、そう声を掛けて部屋を出たのは、侍女のユーリア。

いつも冷静で何事もさらっとやって退けてしまう、できる女の子 ユーリア。敢えて言うなら表情をあまり顔に出さないのが欠点かな?そんなユーリアが涙ぐんでいた。確か熱を出して寝ていたはずだけど、結構重症だったのかしら?


とりあえず上半身を起こして座ってみる。

特に痛い所もないし、気分も悪くない。至って普通。

ただ、前世と現世の記憶が混濁して気持ちが追い付いていない。


そこへ、扉が勢い良く開く音がする。


「ティアナ!!」


「お父様、お母様 あの、私・・・」


2人の顔を見て驚いた。目の下には隈ができて顔色が良くない。少しやつれた感じがする。これじゃぁどっちが病人かわからない。

「良かった、本当に良かった。熱も下がらず5日も眠ったままで、医者に見せてもわからないの一点張り、このまま目を覚まさない可能性もあるなんて言うものだから・・・」

えっ!? 何それ!? 怖い! そりゃ心配するわ。5日も眠るって何?熱が下がらないとか無いわー。1日熱が下がらなくてもヤキモキするのに。それを5日もだなんて。考えただけでゾッとする。

にしても、そんな状態だったのに私よく普通に起き上がれたな。


「お父様、お母様、私はこの通り元気です」

もう心配いらないよ、大丈夫だよと伝えるために笑ってみせた。すると、お母様には強く抱きしめられ、お父様には頭を撫でられた。


温かい。 優しい手。


あ、駄目だ。 


私の中で何かが切れた。



私もあの子達をもう一度抱きしめたい。

笑顔が見たい。

会いたい。

会いたい。

会いたい…


あの子達は目の前で母親を失った。心に大きな傷を負わせてしまった。まだまだ甘えたい年齢なのに。

悲しいよね。寂しいよね。辛いよね。

なのにもう抱きしめて慰めてあげることも、大丈夫だよって声を掛けてあげることもできないなんて。


どうして私は死んでしまったの!?


大きくなったら一緒に買い物したり、料理をしたり、好きな子の話をしたり、テレビを見てこの人面白いねーなんて話したり。特別なことなんて望んでなかった。

ただ、あの子達と一緒に過ごせれば良かった。

成長を見届けたかった。

それだけで幸せだったのに…


止めどなく流れてくる涙を堪えることもできず、ひたすら泣き続けた。


読んで頂けて嬉しいです(泣)

ありがとうございます!

続きはなるべく早く掲載出来るよう頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ