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旅の終わり、嘘、ハッタリの始まり。

 翌朝、僕らはまた歩いていた。

 朝食は食べなかった。

 食べようと思っても、なにもないから。

「お腹すかない?」

「はい。すいています。でも、我慢するしかないでしょう?」

「ん~、確かにそうなんだけど……。なんとかならないもんかな」

「心配してくれるのはありがたいですけれど、クロトさんは大丈夫なのですか?」

「うん。たぶん加護のお陰じゃないかな。全くお腹すかないんだよね。だから気づかなかったっていうのもあるんだけれど」

「そうですか。では、気にせず進みましょう。その方が食事に近づける気がします」

「まあそうかもね。あ、そうだ。おぶってあげるよ。少しでも体力残さないとね」

「いいのですか? 助かりますけど……」

「大丈夫だよ。はい」

 そう言いつつ、僕は背中を差し出す。

 やはりというべきか、彼女は僕におぶられると、すぐに眠ってしまった。

 疲れていたのだろう。

 僕はそのまま歩き続ける。

「え~と、魔獣がいるかもしれないから気を付けないとって話だったよな」

 魔獣は、魔力を持った生き物で、普通の動物よりも獰猛らしい。

 とは言え、ここは周りが見渡せるので、大丈夫そうだ。


 キョロキョロしながら歩いていると、前方から隊列を組んだ集団が来るのが見えた。

 歩いていくうちに、声が届く距離まで近づいたので、話しかけてみた。

「あの、すみませ~ん!」

 声が届くとはいっても、叫ばなければ届かない。

 この調子で話していると、喉がやられてしまうな。

 向こうもこちらに気づいてくれたようで、一人がこちらに走ってきた。

「こんにちは。我々は軍です。この辺りで大きな爆発があったということで調査に来ているのですが……。そちらは?」

 なるほど。僕が落ちたときの爆発は、相当大きかったみたいだ。

 僕は、ここまでで決めていたことを話す。

「ああ、そういうことでしたか。であれば、その爆発の原因は僕。そして、この子は爆発の影響で壊滅した町の生き残りですよ」

「え!?」

 その人は驚いた。

 さて、ここからは慎重にいかないと、この子まで殺されかねない。

 この子には、生きてほしい。

 僕と一緒にいては、おそらくそう遠くないうちに死んでしまうだろうから、僕はどこかでこの子を誰かに預けたいと思っていた。

「で、相談なのですが、……、僕をとらえますよね?」

「はい。恐らくですが」

「なら、僕を捕まえていいですから、この子を保護していただけますか?」

 これでいい。どうせ僕は死なないのだから、何をされても大丈夫だ。この子の安全を考えれば、これが最善の策だろう。

 そんな僕の考えを読んだわけではないだろうが、彼は、僕のこの子を助けたいという思いは汲んでくれたようだ。

「わかりました。では、着いてきてください。案内します」

 そう言って、彼はシロナを渡すように僕に促しつつ、僕を連れていった。



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