表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/72

旅の始まり、説明話。

「つまり、この世界には、赤青黄緑白の五種類の魔法があります」

「へぇ、それで、それぞれに特性があるってこと?」

 僕らはある程度休憩すると、歩き始めていた。

 とりあえずは、近くの町へ。

「はい。赤は炎系統、青は水系統、黄色は土系統、緑は風系統、白は光系統です。すべての生物は何らかの魔力を持っていて、それぞれに異なった色の魔力です」

「ああ、赤と青を持ってたら紫みたいな?」

「そういう感じです」

「なるほどね~、面白いもんだね。君は何色なの?」

「私は桃色です。炎系統と光系統が使えるんです」

「へ~、てことは回復とかも?」

「できます」

「そういえば、僕、不死鳥の加護っていうのをもらってるんだけど、加護っていうのは何?」

「加護……、確か、超自然的な存在などが与えるその存在の力の一部だったはずです。それにしても、不死鳥の加護とは、すごいですね」

「ん~、けっこう不便だけどね」

「加護は、たしか、持ち主の努力次第で力を引き出せるはずですよ」

「そうなんだ。そう聞くと、やる気出るなあ」

「まあ、元の存在を越えることはないらしいですけど」

 そっか……。

 残念。

「台詞として出してくれないと何もわかりませんよ?」

「うん、まあ、進もうか。あっちだっけ?」

「はい。このまままっすぐです」

「ん~、今日は道中で野宿かな」

 まだまだ見えてくる気配すらない。

「そうなりますね……。ああ、夜這いの際は、優しくお願いします」

「しないって!」

「そうですか。こちらとしては、されておいた方が、くっついておく理由になっていいのですが」

「別にそんなことしなくても一緒にいるよ」

「そう言ってもらえるのは嬉しいですが、口約束だけでは不安です……」

「そっか。でもなあ、……、よし、これから、シロナは僕の妹ってことで」

「はあ、妹、ですか?」

「うん。まあ、嫌になったら、というか、僕から離れることになったら忘れてくれていい。身分が証明しづらいから、関係性がほしいと思ってね」

「なるほど。では、よろしくお願いします。クロトお兄さん」

「うん、よろしくね、シロナ」

 僕らは手を繋いで歩き続けた。


「この辺で野宿にしよう」

「わかりました。薪を集めてきますね」

「いや、危ないでしょ。僕が行くよ。シロナは、ここで待ってて。何かあったら呼んでね」

「はい、気を付けて」

「はいはい」

 どうせ何かあっても死にゃしない。


 もう暗くなってきた。

 そろそろ寝ようと、焚き火を消そうとすると、

「……、あの」

「ん? どうかした?」

「あの、用を足したいんですけど……」

「あ~、そっか、その辺の茂みで大丈夫かい?」

「わ、わかりました。覗かないで下さいよ?」

「勿論だよ! 大丈夫! どんだけ信用無いの、僕……?」

 というか、体を売る感じの事を言ってたのに、恥ずかしがりはするんだな。

 それにしても、完全に失念していたな。

 というか、僕の体は大丈夫なんだろうか。

 全く尿意を感じないけど。

 なにも食べてないからかな?

 あ、しまった。

 その声が口から漏れていたのかもしれない。

 あるいは、表情から何か察したか。

 どちらにせよ、

「どうしたんですか?」

 茂みから出てきたシロナが僕に問うた。

「いや、食べるものがないなあと思って、どうしようか?」

「一日二日食べなくても死にませんよ。明日以降考えましょう」

「そうだね、お休み」

「はい。お休みなさい」

「じゃ、火を消すよ? いや、消さない方が安全か?」

「そうかもしれませんね。でも、どっちにしろ寒いですし、」

 そう言いつつ、彼女はこっちに寄ってくる。

「これなら暖かいです」

 そう言って僕に抱きついてきた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ