帝都、一休み、再会。
「しまった!」
しまった。長いこと寝ていたような気がする。
「イン、僕はどのくらい寝ていた?」
「さあ? 私も寝ていましたので」
使えねぇ……。
いや、寝ていた僕が言えたことじゃないか。
まあいい。
大事なのは、夕食がもう終わってしまったかどうかだ。
悩んでいても始まらない。
「聞いてみよう」
とりあえず外に出る。
外といっても、部屋の外だ。
一応、首巻は巻いておく。まあ、どうせバレてはいるのだが。
と、女将さんが来た。
ということは、夕食は始まっていないか終わっているかだ。
「あら、お出掛けですか?」
「いえ。夕食はいつからでしたっけ?」
「ああ、お夕食でしたら、先程始まったところですいつでも参加してもらって大丈夫ですよ?」
「わかりました。よかった。寝過ごしてしまったかと戦々恐々としてたんですよ」
「大丈夫ですよ。まだまだたくさん残っておりますから」
「それはよかった」
「よろしければ、ご案内しましょうか? そこまで広いわけでもないので、迷うこともないでしょうが」
「大丈夫です。一階でしたね?」
「はい。でしたら、大丈夫ですね」
「では。ありがとうございました」
「いえいえこちらこそ。ゆっくりお召し上がりください」
女将さんと別れ、僕は一階へと向かう。
夕食はいわゆるビュッフェ型式だそうだ。
そういえば、よくよく思い出せば、帝国の料理はあまり美味しくないんだったか……。
適当にいくつか食べ物をとってきて、席を探す。
「ん~。まあ、どこかに相席させてもらおうかな」
そもそも一人で座るような席は存在しなかった。
たいていが四人席、若しくは六人席だ。
僕は二人で四人席を使っている組を探し、声をかける。
「すみません、相席いいですか? あ」
声をかけてみてから僕は気づいた。
「ええ、大丈夫です……、あ!」
「うわあ、久しぶりですね、クロトさん!」
向こうも気づいたようだ。そういえば、彼にさん付けで呼ばれたのはなにげに初めてかもしれない。
「ああ、久しぶり。ドーク、イグール。まさかここで会うとは思わなかった」
「ボクもだよ!」
「こっちもですね」
そう、つまり、そこにいたのは、ドーク=スナークとイグールだった。
その後、僕たちは別れていた間のことを話しながら食事をした。
帝国の料理は相変わらずの味ではあったが、久しぶりの食事というのと、誰かと一緒に食べているということで、以前より美味しく感じた。
話のネタはたくさんあった。食事中、尽きることはなかった。
長くなるので割愛するが、楽しかったとだけ述べておこう。
その日は、部屋に戻り、寝た。
なんだかんだ疲れていたからだろう。ぐっすりと眠れた。
翌朝、起きると僕は二人と共に少し久しぶりの帝国を見て回った。
タイトルを変更するつもりです。
「チートで無双じゃない」というフレーズは残しますが、見つけにくくなるかもなので、よろしければブックマークなどしてもらえると、見つけやすくなると思います。