表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/72

発見、戦闘、発覚。

 どういうことだ……?

 さっきまで、人が結構いて、どう見てもありふれた日常風景だっただろう……?

 何が、起きている……?

 というか、まず、アーカーはどうした? なぜ、ここにいない。

 まずい気がする。何か、重大な何かを見落としているような、そんな気が。

 このまま逃げて大丈夫か?

 アーカーは、どうする?

「いや、とりあえず、もう逃げると決めたんだ。アーカーにも、会えるはずだ。すぐに。あいつが負けることはない。逃げる」

「いいんだね?」

 僕のつぶやきを聞き、ドークが確認をとる。

「行こう、時間がたつごとに見つかりやすくなる」

 そう、こうしている間にもリスクは高まって……。


「残念、もう見つかっていますよ?」


 声が、した。

 そう、そうだ。街に誰もいない状態で、隅でごそごそ動いていたら、気づかれるにきまってる。

 だから、今こうして先ほどの氷使いが僕らを見ていることも、想定できたはずだった。

 でも、過去を悔やむのは後でいい。

 今は、少なくとも後悔してる場合じゃない。

「逃げるぞ! ドークがこいつを、イグールは、もう一人のほうを!」

 氷の奴と、僕たちから見て反対側にいたおっちゃん、つまりはブラウンを指さしながら、僕は指示を出す。

「氷使いと、黄色と緑の魔力を使うやつだ! 頼んだ!」

「待った、ボクたちが戦いに出れば、君たちはどこから逃げる? 両側がふさがれるぞ?」

「大丈夫、道ならある」

 僕は頭上を指さしながら言う。

「なるほど、君は」

「うん。屋根を使う」

 先ほど飛んだ時に確認できたが、幸いにも上は平らだった。

 ここを使えば、逃走は可能だ。

「行くよ!」

 僕のその声を合図に、全員が動いた。

 イグールは屋根に上れるよう、足場を作り、ドークは剣を抜き氷を操る男に切りかかった。

「帝国軍、第三席、ドーク=スナーク、参る!」

「そちらが名乗るのであれば、こちらも名乗らなければ、無礼というものでしょう。和国連合軍、第一席、ヒューズ=アイス、参りましょう」

 それらの声を、走りながら聞く。

 帝后様たちを前に置き、もし誰かが正面に現れても、守れるように炎翼を展開しておく。

「急ぎましょう! これは確実に目立ちます! いつ別動隊が来てもおかしくない!」

「ちゃんと走ってる!」

「つらくなったら行ってくださいよ! 抱えて飛びます」

 ただし、三人を同時に抱えることはできない。やはり、人手が足りないか。

 と、僕らの出発を見届けたようで、ようやく後ろからこんな声が聞こえてきた。

「さて、こっちもそろそろ始めますか~」

「俺としては、とりあえず彼らを止めたいんだがなぁ……」

「こっちの仕事はあんたを止めることなんでね。何か言い残すことは?」

「生意気なこと言いやがる。いいか、坊主」

「何です?」

「簡単に勝てるとは思うなよ?」

「困難だけど勝てるってことね」

「減らず口を」

「遺言はそれでいいのか?」

「死ぬ気はない!」

 その声とともに後方から爆発音がした。

「始まったか」

 ここからは、時間との勝負だ。

「誰にも追いつかれないうちに、逃げ切る!」

 僕がそう叫ぶのと同時だっただろうか。

「やってみろよ」

 声が空から降った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ