事件、経過、逃走。
何が起きてる……?
まずは王の安否確認だ。
まあ、アーカーがいるから大丈夫だとは思うが、年のため。
ついでに何が起きたかも聞こう。
というわけで、僕はアーカーに念話をとばす。
『アーカー、何が起きてる? それと、王は無事だろうな?』
『ああ。問題ねェ。王は無事だが……、不味いことになった』
『何が起きてる?』
『簡単に言うと、揉めたんだよ。そんで、武力的な衝突に発展した。とりあえずは逃げるのが最善だろォな。向こうはどうも初めから武力で来る気だったみてェだ』
『わかった。まずはそっちに向かう。合流しよう』
『あァ。了解だ』
『じゃあ、またあとで』
そう言って、僕は念話を切った。
「さて、という訳で一度戻ります。戻り次第、僕たちはまず逃げますので、よろしく」
「ん? ってことは、帰っちまうのか?」
「ええ。戦争になるにしろ、戻らなければなりませんし、そもそもどのみちここは危険です」
「そうか……」
「言わば敵地のようなもの。さっさと逃げます。という訳で、また会えたら。出来れば平和的に解決できるといいですね。さようなら。シロナも、またね」
そう言って僕はヒヨ様を連れて進もうとする。
すると、
「いやまて」
ブラウンさんに引き止められた。
「何です?」
「せっかくだ。送るよ」
「ありがとうございます。しかし、急ぎますので、飛びますが?」
「着いてく。大丈夫だ。これでもこの国の第五席だぜ?」
この人そんな強かったんだ。
まあ、急ぐとしよう。
今はひとまずこの人は敵じゃない。
シロナもいるしね。
そうして、僕らはミサゴ宅付近に着いた。
ここからすぐの辺りのはずだ。
「よし、では、行きます。ありがとうございました」
「じゃあ、またねシロナ」
「はい。また会いましょう。ヒヨ」
「じゃあな」
ささっと別れを済ませ、早速アーカーたちとの合流を果たそうと動き出した。
そこへ、だった。
ピキ、バキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキ!!!!
氷の壁が立ちふさがった。
どうやら、素直に通してはくれなさそうだ。
『付近まで近付けたけど、アーカー、そっちはどんな感じ?』
『あァ? まあ問題はねェが、時間は多少かかりそうだ。面倒なのと当たった』
『そうか』
どうやら救援はすぐには望めない。
「悪いが、通さないよ?」
頭上から声がする。
「さっさと捕らえさせてもらう」
その声と同時に、氷が襲いかかってきた。