話し合い、化かし合い、果たし合い!?
「早速本題に入るよ。君、強いのだろう?」
「ええ、まあ。そちらの彼には負けますがね」
僕がアーカーを示しながら言うと、彼の肩を叩きながら王が言う。
「こいつは世界で五本の指くらいには入るだろうからな」
だが、一番じゃあない、……と。
それを自覚しているからか、アーカーは嬉しそうな顔はしない。
誉められているというのに嬉しそうな顔をしていないというのは、中々に面白い画だ。
「道理で強かったわけです」
僕はとりあえずそう言いつつ、先を促す。
「ああそう、話だったな。……、君、この国の軍に入らんかね?」
「軍?」
「ああ、我が国の軍事力は、こいつ頼みでな、正直君が入ってくれると助かる。勿論、ある程度の椅子は用意しようじゃないか。どうだ?」
「……、ありがたいお話ではありますが、そもそも、僕は監禁されていましたよね? その事に関するお詫び等を一切いいただいてはいませんが?」
これについては僕はけっこう怒っている。
だから、
「謝罪を要求しても? そこから始めなければこちらからの信頼はありませんよ?」
「その件に関してはすまなく思っている。申し訳ない」
「では、先程仰っていた椅子というのがどの程度のものかお聞きしても?」
「ああ、軍隊長程度を考えているが……」
その王の言葉を合図に、アーカーに指示を与える。
「おい、もっと上だ。第二席、もしくは第三席だ。そのくらいの実力はある」
その言葉に、王が驚いて言う。
「なに、三か二席……?」
その渋る態度を見て、少し僕は安心した。
ここで即、では二席に、等と言い出すようなら、この国が心配になる。
そして、なおも考える王に僕は言った。
「いえ、僕はその辺りで十分です。ただ、知らない人間に上に立たれると言うのも辛いでしょう。ん~、どうしましょうか……」
提案をしてみるのもいいが、この王の力量も知りたいところだ。
そう思って王の言葉を待つが、中々なにも言い出さない。
仕方なく、僕は再びアーカーに指示を出した。
「なら、模擬戦でもやって実力を閉めしゃァいいんじゃねェのか?」
「おお、それだ! でかしたぞ! アーカー!」
「なるほど。模擬戦ですか。それはいいですね」
僕がそう言うと、王は立ち上がって言った。
「おい、誰か来い!」
すると大臣のような男が失礼しますと言いつつ入ってきた。
「なにかご用でしょうか?」
「ああ、明日、彼と我が国の第二席、ドーク=スナーク人の模擬戦を行う。その告知とドークへの知らせをしておけ」
「了解しました」
そう言うと、すぐに大臣風の男は出ていった。
「では、そういうわけで、明日、うちの二席と試合ってもらう。よろしく頼む」
「ええ、わかりました。……、ええと、どこにいけば?」
「迎えを送る。今夜は地下牢ではなく、部屋を用意するからそこに。これからもその部屋を使ってくれ」
「了解しました」
「よし、では使いを出す。おい!」
さすがは王。一声で執事のような人が入ってきて、僕を案内してくれる話をしだした。
「では」
「うむ。また明日」
「はい。それでは」
そこで、繋ぎっぱなしにしていた念話でアーカーに尋ねられる。
『おい、予定と違うが大丈夫か?』
そう、そんなに強いのと当たる予定ではなかったし、時間もあるはずだった。
『うん。何とかする』
しかし、明日か……。
え、待てよ……?
は? 明日ぁ!?
時間無さすぎだろう!
いや、無理ゲーだろう、これは⁉