☆5話もうちょっとだよ
私は叶乃ちゃんと別れた後、いつも通り自分の教室に入った。
私達は少し遅く教室についたせいで、クラスにはもうほとんどの生徒が集まっている。
ショートホームルーム始まる前にトイレに行っておこうかな……
私はふとそう思い、自分の机の上にカバンを置いて、教室の後ろのドアから出ようとした。
私が横開きのドアの取っ手に手を当てた時だった。
前のドアから担任の先生が入ってくる。
私はショートホームルームが終わった時にトイレに行こうと思い、しぶしぶ席に戻った。
今日はまだ学校が始まってそんなに日にちが経っていないせいで、いつもよりも提出物が多く時間がかかる。
それに、身体計測や体力測定など様々なこれからの予定について先生が話すせいで、ショートホームルームと一時間目の間に休み時間はほどんどなかった。
少し尿意を感じていただけの私はまだ大丈夫だろうと思い、1時間目である数学の用意をする。
担任の先生が教室から出ると同時に数学の先生が教室へ入ってきた。
そしてそのすぐ後に始業を知らせるチャイムが鳴り響く。
これでもう私は次の休み時間までトイレに行けないのだ。
授業が始まって30分くらいが経った。
私の膀胱には30分前とは比べられないほどの量のおしっこがたまっている気がする。
黄色いおしっこが私の膀胱を内側から圧迫しているようだ。
じんじんと私の下腹部が痛み、授業が終わるまでの残り20分も我慢できないような気がした。
そういえば、叶乃ちゃんも同じように我慢してるんじゃ……
私はふと叶乃ちゃんのことを気にかける。
それからまた5分が経過した。
おしっこの波は一時的に収まり、今ならちゃんと歩いてトイレに向かえるほどになっている。
中学二年生の乙女が授業中にトイレ申告するだなんてとても恥ずかしい。
でも私たちは中学生になってからは学校ではおもらししていない。
教室でおもらしをして周りの生徒に見られるだなんてそっちの方が恥ずかしい。
私は左手で股間を抑えながら勇気を出して勢いよく右手を挙げた。
「せ、先生…… お、お手洗いに行かせてください……」
私の顔が真っ赤になるのがわかる。
しかしそのすぐ後には先生が私のトイレを許可する声が聞こえてきたので、私は教室の後ろのドアまで少しへっぴり腰で歩いた。
私は恐る恐るドアを開けて、左手で股間を抑えたまま教室をでた。
私は教室を出て左右を確認する。
すると教室を出て左側に叶乃ちゃんがいた。
叶乃ちゃんはおそらく私と同じようで、授業中にトイレ申告をして教室を出てきたのだろう。
私の姿を見てか、叶乃ちゃんはとぼとぼと歩いていたのを、少し歩くスピードを上げて私の方へ近づいてきた。
しかし我慢していて前を抑えているせいか、少し歩くのは遅かった。
「叶乃ちゃん!」
「夢乃ちゃん!」
叶乃ちゃんがやっとのことで私のもとまで来ると私たちはお互いの名前を呼び合った。
それから私たちはいつものように二人で手をつなぎながらトイレまで向かう。
一歩一歩が小さく非常にゆっくりだがトイレまではもう少しだった。
「夢乃ちゃん! もうちょっとだよ!」
叶乃ちゃんがどこかを指さして私にそう言った。
私はおぼつかない足取りのまま歩きつつ叶乃ちゃんの指さす方向を見る。
その時だった、前へ出していた左足に右足がかかり私のバランスが崩れた。
このままだと叶乃ちゃんまで引っ張ることになってしまう……
咄嗟にそう考えた私は叶乃ちゃんの手を離し、そのまま廊下に転んだ。
手をついたもののその体制はほとんどうつ伏せに廊下に寝ているような状態だった。
「夢乃ちゃん!」
「だ、だめ…… 出ちゃう……」
叶乃ちゃんが私を呼ぶ声が聞こえたが、私の意識のほとんどは下半身に言っていた。
今まで我慢してきていたものがとうとうあふれ出し、寝たままの状態でおしっこが放出される。
おしっこはいつものおもらしとは違い、足を濡らさずに鼠径部やお腹周りを濡らしていく。
スカートだけでなく上の制服もおしっこが染み込み温かくなる。
私はそのままの状態で動けない。
そんな私自身が情けなくて、気が付くと私の目には涙がたまっていた。
あふれ出たおしっこは下は太ももの付け根まで、上は胸の下までを濡らして温めた。
「夢乃ちゃん、大丈夫? 保健室に行こっか」
叶乃ちゃんが左手で自身の股間を抑えながら私の右手をつかんだ。
「叶乃ちゃんはトイレに間に合うんだから行かないと……」
私は叶乃ちゃんには何としてでも成功してもらいたかった。
でも叶乃ちゃんは顔を横に振る。
「おしっこでびしょぬれの夢乃ちゃんを置いていけないよ」
そう言いながら叶乃ちゃんは私の手を引っ張り私を立たせてくれた。