☆15話 私たちやっぱりオムツインズ!!
叶乃ちゃんが突然ベッドの上でおもらしをして私は驚いていた。
それを見てからは私だけがおねしょをしてしまったことなんて全く気にもしていなかった。
むしろ叶乃ちゃんがおもらししてお母さんに抱きしめられているこの状況が全く分からない。
「ママ、おむつつけて」
叶乃ちゃんがお母さんに抱きしめられたまま甘えた声で言う。
私たちは中学生になるまではお母さんのことをママと呼んでいたが、中学生になってからは少し恥ずかしさを感じたためママとは呼ばなくなっていた。
なんで叶乃ちゃんはお母さんの呼び方が変わったの?
叶乃ちゃんのおもらしや、お母さんの呼び方の変化など、処理するべきことが多すぎて私の頭が全くついていかない。
私が混乱しているとお母さんが叶乃ちゃんの背中に回していた手をほどき、少し叶乃ちゃんから離れる。そしてお母さんはいつもおむつを置いてある場所におむつを取りに行った。
お母さんが叶乃ちゃんの部屋を出ていくのと同時に叶乃ちゃんの顔が少し暗くなる。
徐々に暗くなっていく叶乃ちゃんの顔を見て次に起きることが予想できた。
あ、叶乃ちゃんが泣いちゃう。
私には今の叶乃ちゃんの状態が全く分からなかったが、私は叶乃ちゃんに泣いてほしくはなかった。そう考えたら私の体が動くのはすぐで、私は今にも泣きそうな表情の叶乃ちゃんをぎゅっと抱きしめた。
すると叶乃ちゃんは、お母さんに抱きしめられた時と同じように私の背中にも両手を回してくれる。何かいつもとは違うけど、双子でこうやってお互いを助け合うのはやっぱりうれしい。
しばらくそのままでいるとお母さんが一枚のおむつと一枚のショーツをもって部屋に入ってきた。するとお母さんは私たち二人のことを手招きして呼ぶ。
それからお母さんについていき、たどりついた先は私の部屋だった。
恐らくいつもなら叶乃ちゃんの部屋でおむつを外して、おしりを拭いてもらったりするのだが、今日は叶乃ちゃんのベッドが濡れているので代わりに私の部屋でするためだった。
「じゃあまずは叶乃からお着換え始めよっか。叶乃、お洋服脱げる??」
お母さんがいつものようにやさしく反応してあげている。
しかし、叶乃ちゃんはいつもとは違い少し表情が曇っていた。
「脱げない。ママ、脱がして……」
今にも途切れそうなとてもとても細い声で叶乃ちゃんがお母さんにそう言う。
私はこれほどまでに叶乃ちゃんが甘えっ子になっているのを見てとても驚いた。
しかし、お母さんはそんな叶乃ちゃんにも微笑み、頭をなでてからパジャマのズボンに手をかけた。
それから叶乃ちゃんはお母さんの肩に両手を置き、お母さんがそんな叶乃ちゃんのパジャマのズボンを降ろしていく。
すると突然叶乃ちゃんが太ももをくねっとよじった。
それから少しの間叶乃ちゃんがそわそわとして落ち着かない。
「叶乃、どうしたの??」
お母さんが視線を叶乃ちゃんの足元から叶乃ちゃんの顔へと向ける。
「ママ…… おしっこ出ちゃいそう……」
叶乃ちゃんが途切れ途切れの声で顔を赤らめ、声を震わせながらお母さんに言った。
「あっ!」
叶乃ちゃんが可愛らしい小さな声を上げたときだった、叶乃ちゃんのすでに黄色くなっているショーツからレモン色の水流が現れる。
その水流は二、三本に分かれて太ももを伝い、膝や膝裏を舐めてふくらはぎへと流れていく。
「大変!」
お母さんが慌てて、おしりを拭くために用意していたタオルで叶乃ちゃんの股を抑えた。
しばらくして叶乃ちゃんが体を小さく震わせる。
それは叶乃ちゃんがおしっこを出し終えたサインでもあった。
さすがについさっき布団の上でおもらしをしたばかりだったためそれほどおしっこの量は多くなく、さっきの残りを突然催したようだった。
お母さんが叶乃ちゃんの股にあてていたタオルを離し、まだ濡れていない部分で叶乃ちゃんの脚を拭いていく。
お母さんはそのタオルを床に置き、叶乃ちゃんをベッドに寝かせた。
ちらりとそのタオルを見ると、そのタオルはおしっこを吸っていて少し重たそうに見えた。
横になった叶乃ちゃんのおしりをよくふいて、お母さんがテープタイプのおむつを叶乃ちゃんにつけていく。
その時の叶乃ちゃんの表情はとても幸せそうで、目がトロンとしていた。
叶乃ちゃん、本物の赤ちゃんみたいでとってもかわいい……
って何思っているんだろ私。
私は一人、脳内の中でそんなことを考えていた。
しばらくして叶乃ちゃんがお母さんにおむつを付けてもらった後、ベッドから起き上がった。
「じゃあ、夢乃おいで」
お母さんがベッドに座ったままで私のことを手招きして呼ぶ。
私はパジャマを脱いで、ぷっくりと膨れたおむつをあらわにさせて、自分のベッドに横になる。
お母さんは私のおむつのサイドを破り、おむつを抜き取ってから私のおしりをよく拭いてくれる。
おしりを拭いてもらった私はお母さんが持ってきてくれていたまっしろなショーツに足を通した。
おむつを外してもらっておしりを拭いてもらったのになぜか心がもやもやする。
なんでだろ……
それから私たちは私服に着替えて、いつも通り朝ご飯を食べた。
ご飯を食べ終わり30分ほど経った時だった。
突然叶乃ちゃんがお母さんの方へと歩いていく。
その時の叶乃ちゃんの歩き方は少しぎこちなく、どこか歩きにくそうだった。
「ママ、おしっこ出ちゃった」
するとお母さんは叶乃ちゃんと目線を合わせるために少ししゃがみ、叶乃ちゃんの頭をやさしく二回なでる。
「ちゃんと教えられて偉いね。おむつ替えよっか」
すると叶乃ちゃんの顔が笑顔になり、ぱぁっと明るくなる。
お母さんはおむつ替えシートをリビングの絨毯の上に広げて、叶乃ちゃんがそこに寝転がった。叶乃ちゃんが横になっているのは、今私がちょうど座っているソファのちょうど前にある絨毯の上だった。
スカートをまくりあげて叶乃ちゃんが両手でそのスカートのすそをお腹あたりに手で押さえる。
お母さんにより叶乃ちゃんのそのぷくっと膨れたおむつが開かれて、叶乃ちゃんのあそこと黄色く湿ったおむつが露わになる。
私はソファに座り小説を読んでいたのに、私の視線は小説のその文面よりも叶乃ちゃんのおむつ替えにくぎ付けだった。
叶乃ちゃんが赤ちゃんみたいにおむつに何度もおもらしして、赤ちゃんみたいにお母さんにおむつを替えてもらっている。
とってもかわいくて、愛らしい。
それに今朝叶乃ちゃんがベッドでおもらしするまでは私だけがおもらししたり、おむつを付けられたり、おねしょをしたりしていて、お姉ちゃんらしくなかったのに、今は叶乃ちゃんよりもおもらしをせずにとてもお姉さんのような気持ちだった。
そしてかすかに叶乃ちゃんのおしっこの臭いが私の鼻をくすぐるが全く嫌な気持ちではない。
でもやっぱり心に何かが詰まっているようだった。
ギュッと心臓をつかまれているようで苦しい。
何か、変な気持ちが私の心を犯しているようだ……
せっかく叶乃ちゃんがいっぱいおもらしをするようになって、とうとう私がお姉さんのようになれたはずなのにどうして……
そう考えていると突然私のおしりのあたりがじわっと温かくなった。
ふと気が付くと私はおしっこを出してしまっている。
無意識にもどんどんとおしっこが出てきて止まらない。
私のおしりから出てきたおしっこは革製のソファを濡らし、そして私の足をつたい絨毯を濡らしていく。
「お、おかあさん…… おしっこが!」
私は咄嗟に、叶乃ちゃんのおむつ替えを終えたばかりのお母さんを呼んだ。
するとお母さんが私の方を振り向き、私のところへ近づいてきてくれる。
「夢乃! 大丈夫?? どうしたの??」
お母さんが心配してくれているが、そんな最中にも一度出てきたおしっこは止まることなく、私のショーツ、スカート、脚、ソファ、絨毯を濡らしていく。
私はどこか悲しくなって少しの嗚咽を漏らす。
「夢乃。大丈夫よ。全部出していいから」
お母さんがさっき叶乃を抱きしめていた時のように私のことを抱きしめてくれた。
私はおしっこを出しながらも何も考えずにお母さんの背中に両手を回し、お母さんの胸に顔をしずめた。
「ママ、おしっこ止まらないよ……」
自然とそんな言葉が私の口から出た。
「いいの。あとでちゃんとおむつ付けてあげるから」
そう言われた瞬間、心にあったもやもやが解けたようだった。
そっか、結局は私もこんな風にもっと甘えたかったんだ。
おしっこを出し終えた私はママにスカートとショーツを脱がしてもらい、脚や太もも、そしておしっこの出るところを拭いてもらった。
そして私はさっきまで叶乃ちゃんが寝ていたおむつ替えシートの上に横になり、ママにおむつを付けてもらう。
その時のおむつの感触はいつもよりももっとふわふわで心が安心するような感覚だった。
「そうだ! お母さん、いいこと思いついちゃった」
ママがあからさまに右手をグーにして、開いた左手にポンと当ててひらめいた時の行動をした。
「叶乃! ちょっと今朝のおもらしパジャマもってきて!」
「はーい!」
そう言われて叶乃ちゃんは洗濯籠が置いてある場所に向かい、ぐっしょりと濡れていて今はもう冷たくなっていそうなパジャマを手に持ってやってきた。
「じゃあ、夢乃はさっき濡らしちゃったスカート持って!」
私はいまだにママが何をしようとしているのか分からずに混乱していて、うなづいただけだったが言われるとおりに動く。
「じゃあ叶乃も今履いているスカートは脱いで、二人ともそこに並んで」
私たちはママに言われるがまま、下半身はおむつだけの姿でおもらしで濡らしてしまった衣服を手に持って隣り合わせで並んだ。
すると、ママは突然ポケットからカメラを取り出して、レンズを私たち二人の方に向ける。
「二人ともとってもかわいいよ! 5年前と変わらないね。二人はやっぱりオムツインズだよ」
ママが私たちにそんなことを言った。
”オムツインズ”という”おむつ”と双子を意味する”ツインズ”の重なった文字の部分をつなげただけのその安直な呼び方に私たちはクスッと同時に笑ってしまった。
その瞬間、お母さんのカメラがカシャっと音を鳴らし、シャッターが切られる。
するとすぐにお母さんはカメラからSDカードを抜きだしてコピー機でその写真を印刷した。
プリンターから出てきた写真を受け取るとそこには、下半身はおむつ丸見えで、両手で濡れた衣服を持ったよく似た笑顔の女の子二人が写っていた。
私と叶乃ちゃんは同時にそれぞれの部屋から、5年前のエレベーターおもらしのあとにとったあの写真を持ってきた。 私たちはその合計4枚の写真をテーブルの上に並べる。
その並べられた写真を見て私ははっと気が付いた。
そっか、どちらかだけが成長して変わってしまったと思ったけど、何にも変わってなかったんだ……
私たちはお互いの目を見ながら口をそろえていった。
「「 私たち、5年前とほとんど変わってないね!! 」」