★14話 叶乃はもうお姉さん
おむつい14話★
「あのね! おむつつけてたから私はトイレのことを忘れて叶乃ちゃんを連れまわしてたの。それで私が叶乃ちゃんを連れまわしすぎて叶乃ちゃんがおもらししちゃったの」
夢乃ちゃんが私のことをかばうためなのかお母さんにそう言った。
私はかばわれたい訳では無い。
むしろ私は私だけがおもらしをしてしまい、まだまだ子供だということで甘えたかった。
それなのに……
でもこれは夢乃ちゃんの優しさだ。
私には夢乃ちゃんの優しさを踏みにじることなんて絶対にできない。
「叶乃頑張ったね。立派だよ!」
お母さんがそう言いながら私をほめてくれる。でも私は嬉しくなかった。
褒められれば褒められるほど私が夢乃ちゃんよりも先に成長してしまっているようだから。
私を褒めないで。お姉さんのように扱わないで。
むしろ子供のように、幼い子のように扱ってほしいの。
「お母さん! 実は私たち今おむつしてるんだけど、濡れちゃってるの」
夢乃ちゃんが突然お母さんにそう言った。
「そっか、じゃあ二人とももうお風呂入ったら?」
「うん!」
私と夢乃ちゃんはお母さんのその提案に二つ返事をしながらうなずく。
脱衣所に行き今日買った服を脱ぐと、おしっこを吸って重くなり垂れ下がっているおむつが露わになった。
脱衣所には私たちがオムツのサイドを破る音が鳴り響く。
私たちはずっしりと重くて、黄色く染まったおむつをくるりと丸めて、テープで止めた。
裸になった私たちは一緒にお風呂に入った。
二人でお風呂に入るのは久しぶりではなく週に何度かある。
それから私たちは二人で体と髪を洗いあって一緒に浴槽に浸かった。
お風呂を出るといつも通りお母さんが着替えを置いてくれていた。
しかし、私の分の着替えがあるところにはいつもあるはずのものがない。
それはおむつだった。
いつもならパジャマの上におむつが置かれているはずなのに今日は代わりにショーツが置かれている。
一方で夢乃ちゃんの着替えにはちゃんとおむつが置かれていた。
私は脱衣所から少し大きな声でお母さんを呼ぶ。
しばらくしてお母さんがやってきて、私はおむつがない理由を聞いた。
「ほら、叶乃ったら今朝はおねしょしなかったじゃない? このままおむつを外せばおねしょが治ると思って」
お母さんはすこし笑いながら私にそう説明してくれた。
私の心は少し落ち込んでいた。
本当ならおむつをしたかったのに、おむつをできないだなんて……
私のすぐ隣で夢乃ちゃんがちょうどいまおむつに足を通している。
それなのに私はその隣で、おむつよりも薄いショーツに足を通す。
おむつだったらあるはずのふわふわとした感触と安心感がショーツにはない。
なんで私だけおむつじゃないの……
それから私たちは夜ご飯を食べていつものようにテレビを見ながら時間を過ごし、いつも通りの時間にそれぞれの部屋で眠りについた。
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翌朝、私は今日もお母さんにゆすられて目を覚ました。
私はまだ重たい瞼をこすりながら上体を起こす。
「おはよう。叶乃! やったね! 今日もおねしょしてないよ!」
お母さんが少し喜んでいる様子でそう言った。
そしてお母さんの隣で少し顔を暗くして立っているのは夢乃ちゃんだ。
夢乃ちゃんはおそらくおねしょしてしまったんだろう。
いいなぁ、私も本当ならおねしょしたかったのに……
「叶乃はこれでもうおねしょしないお姉さんだね!」
お母さんが私に向かって元気そうに言う。
”お姉さん”という言葉が私の脳内で何度もリピート再生されている。
嫌だ。私はまだ赤ちゃんでいたい。まだ甘えていたい!
私が心の中でそう強く考えたときだった。
突然私のおしりの周辺が温かくなる。
私はあわててその感覚のするところに視線を向けると私の股間からはおしっこが出てきていた。
無意識にもあふれ出てきた私のおしっこはまっしろなショーツをレモン色に染めてから、その外に水流を作っていく。
ショーツを通り抜けたおしっこは次にまっしろなベッドのシーツを濡らしていく。
次第にその”地図”は広がっていき太ももまでもを濡らしていく。
「や、やだ。なんか出てきちゃった。おしっこ出てきちゃったよ……」
そんなことを言っている私の股からはいまだにおしっこが出続けていて、布団をどんどん濡らしていく。
次第におむつを付けずに寝ておねしょをした時のようなシミが広がっていた。
ちょうど私がおしっこを出し終えたときだった。
お母さんが私に声をかける。
「叶乃ったら大丈夫?? 我慢できなかったの?」
そう言われると自然と私の目から涙があふれ出してきた。
涙で私の視界は歪み、前が何も見えなくなる。
すると次の瞬間、私の状態が何か温かく安心するもので包まれた。
それは紛れもなくお母さんの体だった。
お母さんが私の背中に手を回し私をギュッと抱きしめてくれる。
あ、私やっと甘えてるんだ。
私はこのぬくもりと安心感とやさしさがほしかったんだ。
私はゆっくりと私の体よりも一回り大きいお母さんの体に両手を回し抱き着いた。
するとお母さんが私の背中をゆっくりとやさしくさすってくれる。
私の心はとても温かくなっていた。