表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/15

★11話 なんで私だけ……

 私たちはそのままデパートに入り、デパートの館内案内図を見つめる。

今日、私たちがデパートに来た理由は他のおそろいの服を買うためだった。

四色程度で色分けされた館内案内図を目の前にして、私は夢乃ちゃんとその図を指さしてどこのお店に行くかを決めていた。

大体の行くべきお店に目星をつけた私たちはすぐさまエレベーターやエスカレーターを使いそのお店まで向かう。


 休日ということもありデパート内はだいぶにぎわっていて多くの人が歩いていた。

お店に向かっている途中に私がふと夢乃ちゃんのことを見ると、夢乃ちゃんはなぜかスカートを余計に気にしている。一瞬その理由を考えたが、自分のことを思い出せばその答えはすぐに浮かび上がってきた。

このしぐさは、私がスカートの中におむつを履いているときにするしぐさだ……

もしかして夢乃ちゃん、おむつ履いてきたのかな……

私はいろいろなことを考えたが、その疑問に確証は持てずにいた。

 

 「ねえこの服、可愛いんじゃない??」

お店につき服を探していると、夢乃ちゃんは片手で一つの上下セットの服を持ち私に見せる。

「ちょっと試着してくるね!」

夢乃ちゃんは私にそう告げた後にすぐに店内の試着室へと入っていった。

私はその試着室の前で夢乃ちゃんが着替え終わるのを待つ。

私たちの場合、どちらかが試着をすれば自分が来ている姿をいとも簡単に想像できる。


 すこし着替えに手間取ったのか10分ほどしてから夢乃ちゃんが試着室のカーテンを開けた。

その様子は双子の妹である私が言うのもおかしいがかわいい。

しかし心なしか、夢乃ちゃんのおしりは不自然に膨らんでいて、おむつをしているようだった。

その時私の下半身圧迫したのは、例のいつもの感覚。

私は突然のその感覚に足をよじる。

ふと夢乃ちゃんの方を見ると、夢乃ちゃんも私と同じようなポーズをとっていた。


 「夢乃ちゃん、おトイレ行きたい……」

「私も行きたいの! だからすぐに着替えるから一緒に行こ!」

夢乃ちゃんは私にそう告げて、再び試着室のカーテンを閉ざした。

それから3分後に夢乃ちゃんは元の淡い水色のワンピース姿で私の前に現れる。

私たちははその持ってきた服を一度元あった場所に置き、デパート内部のトイレを探すことにした。


 休日のデパートには人が多くなかなか思ったようにトイレまではたどり着けない。

ある時は正面から歩きスマホをしながら歩いてくる人をよけ、ある時はたくさんの人混みをかき分けかき分け進みながら私たちはトイレへと向かった。

あんまり行きなれていないデパートなせいか、トイレを探すのになかなか苦労する。


 「夢乃ちゃん、おトイレどこぉ……」

あまりの我慢のきつさに私の口からは少し泣きそうな声が出る。

「た、たぶんあとちょっとだよ……」

夢乃ちゃんの声も私と同じように震えていた。

それだけ夢乃ちゃんもおしっこを我慢しているのだろう。

私はここ最近は夢乃ちゃんだけがおもらしをしてしまうことが多かったが、今日は同じように我慢している感じで少し安心した。


 突如、猛烈な尿意が私たちを襲う。

だめ、このままだったら漏らしちゃう。そして周りの人に見られちゃうよ。

何とか我慢しないと……

「あっ、うぅ……」

極度の我慢の末に変な声が出る。

私はどうしても外に出ようとするおしっこを抑えようと股間を抑えたが、その手はどうやら無意味でただただおしっこで濡らされるだけだった。

びしゃびしゃと地面をたたきつけるおしっこは私の足元だけに広がっていく。

しかし夢乃ちゃんの方をみると、夢乃ちゃんも私と同じようなポーズをしていた。


 やっぱりそうだったんだ。夢乃ちゃんだけおむつをしてたんだ……

私の気持ちは変に渦巻いていた。

おもらしをしていて恥ずかしい気持ちもあったし、夢乃ちゃんに抜け駆けされた気もした。

そして一番大きな気持ちは夢乃ちゃんが一人だけお母さんにおむつを付けてもらったのだということへの嫉妬だった。


 そんなことを考えている間にもおしっこはどんどんとあふれ出し私の下半身を濡らしていく。温かい、だけど冷たい。

せっかくの双子コーデだった淡い水色のワンピースは私だけ股の部分が濃い青へと色を変えていた。なんで、なんで私だけ……

周りからの視線は夢乃ちゃんではなくほとんどが私に向けられる。

嘲笑、驚嘆、心配、哀れみ、そんな様々な意思を持った何本もの視線という糸が私を拘束し、そして突き刺す。

「やだよ…… 私だけなんて……」

私は叶乃ちゃんの手をいつも以上に力強く握った。


 「叶乃ちゃん、ごめんね。私だけおむつで…… ここから逃げてトイレに行こ!」

夢乃ちゃんが私の両頬に手を当てて強制的に私と目を合わせて言った。

私の少し歪んだ視界に見えるのは私を元気づけようとしてくれる叶乃ちゃんの笑顔。

私は何も言わずに頷く。

するとその振動でいくつかの涙が地面にできた黄色い水たまりへと落ちていった。




 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ